普及には7割の壁

マイナンバーカードは手に入れた?

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普及がなかなか進んでいなかったマイナンバーカードだが、これを持つことで民間のキャッシュレス決済のポイントなどがもらえるマイナポイント事業が実施されている。会社員にはマイナンバーカードはどの程度普及しており、マイナンバー制度はどのように受け止められているのだろうか? 全国の20〜50代の会社員449人を対象に調査した。

Q. マイナンバーカードはお持ちですか?

マイナポイント事業が始まってから入手した 45.9%
マイナポイント事業が始まる以前から持っていた 19.4%
現在、申請中である 4.0%
持っておらず、申請もしていない 30.7%

65.3%の会社員がマイナンバーカードを保有しており、申請中の人も含めるとほぼ7割を占める。保有者のうち7割はマイナポイント事業が始まってから入手しており、同事業が会社員へのマイナンバーカード普及に大きな役割を果たしたことがわかる。

マイナポイント事業の開始以前からマイナンバーカードを持っていた人に、取得の目的を尋ねた。

Q. マイナンバーカードを取得した主な目的を教えてください。

身分証として必要だった 19.5%
住民票発行などの行政手続が便利になるから 46.0%
確定申告が便利になるから 16.1%
その他 2.3%
特に目的はなく取得した 16.1%

行政手続の利便性を挙げた人が最も多く、46.0%と半数近くにのぼる。マイナンバーカードがあると、コンビニで住民票の写しが発行できるなど役所へ出向く手間を減らすことができるのだが、それが会社員にとってはマイナポイント以外で最も大きなメリットのようだ。

身分証としての利用を挙げた人も19.5%いる。運転免許証などを持たない会社員には福音だったのかもしれない。確定申告の利便性を挙げた人も16.1%と少なくない。28.7%の会社員が毎年確定申告を行っているので(当調査と同じ対象者に調査)、そうした人にとっては必要性が高いのだろう。

他方で、マイナポイントがあってもなお申請していない人も3割以上いた。こちらの理由も見てみよう。

Q. マイナンバーカードを取得していない主な理由を教えてください。

取得に手間がかかりすぎるから 26.8%
取得するメリットが感じられないから 31.2%
個人情報の扱いが不安だから 12.3%
お金の流れを政府に掌握されたくないから 2.9%
マイナンバー制度に賛同できないから 22.5%
その他 4.3%

「取得するメリットが感じられないから」という人が最多で31.2%だった。次に多いのは「取得に手間がかかりすぎるから」の26.8%で、合わせると58.0%にのぼる。会社員にとってマイナポイント第1段の5千円はメリットとしては小さすぎたのだろうか。

他方で、「マイナンバー制度に賛同できないから」が22.5%、「個人情報の扱いが不安だから」が12.3%と、直接の利害とは別の理由から取得していない人もかなりの割合を占める。

Q. マイナンバー制度には賛成ですか?

賛成 71.9%
反対 28.1%

マイナンバー制度そのものには賛成の会社員が71.9%を占め、会社員にはマイナンバー制度は概ね歓迎されていると言えそうだ。

投資を行っている会社員では賛成が78.3%と平均よりも高くなった。証券会社に口座を開設する時には必ずマイナンバーの提出を求められるが、投資を行う会社員には好意的に受け止められているようだ。

Q. 前問の理由を教えてください。

【賛成】
「持ち物が減るから」(女性、30代)
「色んな個人情報と紐付けされたら便利になると思う」(男性、40代)
「ポイント還元があったから」(男性、20代)
「手続きが簡単になるから」(男性、30代)
「行政サービスが効率化できると思うから」(女性、40代)
「自治体が管理しやすいと思うから」(男性、50代)
「手続きがスムーズ」(女性、40代)
「この程度の個人情報を国に管理されても何の不都合もないし、それよりも行政サービスなどでこれからメリットを期待したいから」(男性、20代)
「脱税できなくなるから」(女性、40代)
「デジタル化の将来に役立つ」(男性、50代)
「事故などで本人の意識がないときや急死してしまったときにマイナンバーでいろいろ登録していると第3者でも確認できるため。いろいろな情報を一括で管理できていた方が高齢になった際に複雑に管理する必要がないためいいのでは、と思ったから」(男性、30代)
「確定申告が少しやりやすくなった」(女性、30代)
「役所に行く手間が省けて、将来のシステム対応に一歩前進すると思ったから」(女性、40代)

【反対】
「管理のリスクが高い」(男性、50代)
「今の政府に賛同できない」(男性、50代)
「個人情報が国に管理されるから」(女性、50代)
「全ての情報を管理されるのが嫌だから」(女性、30代)
「自分を番号で管理されたくない。お国の事は素直に聞き入れないタイプなので」(女性、50代)
「個人情報の流出が怖いから」(男性、40代)
「諸々使用できるのは便利だが、それだけの重要なデータをカードとして持ち歩かなければいけない危険性を感じる」(女性、40代)
「個人情報を盗み取られている気がする」(男性、50代)
「情報管理が信用できないから」(男性、50代)
「預金や受診などプライベートに踏み込みすぎ」(女性、40代)
「細かく監視されている感じがして嫌」(男性、40代)
「セキュリティに信頼がないから」(女性、40代)
「情報が全て政府に流れると思うと気が進まない」(女性、40代)
「情報漏洩等があった場合、全てわかってしまう危険があるから」(女性、40代)

賛成の会社員は行政手続の利便性や、行政そのものの効率化を評価している人が多かった。反対の会社員は国による情報管理を信用していない人が目立つ。

マイナポイント事業が会社員へのマイナンバーカードの普及に大きく貢献していたが、未取得の会社員も3割おり、マイナンバー制度そのものに反対の会社員も3割だった。政府はマイナポイント第2弾で一層の普及を目指しているが、これ以上の普及のためにはポイントよりもまず制度への不信感を払拭する必要がありそうだ。

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(三田祐介)

「あなたご自身に関するアンケート」
調査方法:インターネットによる調査
調査時期:2021年9月
調査対象:全国20〜50代の会社員
有効回答数:449件

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