年金に関する手続きは複雑化する? 簡単になる?

2022年4月「年金手帳の廃止」が僕らに与える影響とは

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国民年金や厚生年金といった公的年金制度に加入していることの証明として、発行されてきた年金手帳。実は、2022年4月に廃止となることが決まっている。そのため、2022年4月以降に20歳になる人や、20歳未満で就職し厚生年金の被保険者となる人には、年金手帳は発行されない。

では、2022年4月以前に年金手帳が発行されている人にとっては、何かしらの影響があるのだろうか。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに聞いた。

年金手帳の廃止は「マイナンバー活用」の過程

「年金手帳が発行されてきた理由は、公的年金制度に加入していることや保険料納付の記録、一人ひとりに基礎年金番号を交付したことの証明のためでした。また、老齢年金・障害年金・遺族年金の受給手続きやiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入手続きなどの際に、年金手帳が必要になることもありました」(高山さん・以下同)

しかし、マイナンバーの導入によって、年金手帳の必要性がなくなってきたのだ。

「国は、社会保障や税金に関するデータをマイナンバーに紐づけて、一元化していく方向で動いています。年金も例に漏れず、マイナンバーさえあれば、年金記録に関する照会やさまざまな手続きが行えるようになってきているため、年金手帳は不要だと判断されたのです」

ちなみに、マイナンバーと基礎年金番号を紐づけることで、引っ越しや結婚をした際に日本年金機構に提出する住所変更届や氏名変更届を、原則省略できるようになるというメリットがある。

「ただ、現状では基礎年金番号がないと行えない手続きもあるので、2022年4月以降に20歳になる人、20歳未満で就職し厚生年金の被保険者になる人には、年金手帳に代わって基礎年金番号通知書が送付されます。また、年金手帳を持っている人が紛失した場合も、年金手帳の再発行はされず、基礎年金番号通知書を受け取ることになります」

「海外転出」「口座振替の申出」は基礎年金番号が必要

では、基礎年金番号がないと行えない手続きには、どのようなものがあるのだろうか。

「海外に転出する場合の手続きや、国民年金保険料の口座振替の申出に関しては、現在でも基礎年金番号が必要になるようです。そのため、基礎年金番号が記載されている年金手帳や基礎年金番号通知書は、2022年4月以降も保管し、すぐに提示できる状態にしておいた方が無難でしょう」

これらの手続きも、いずれマイナンバーでできるようになるかもしれないが、公的な発表がされているわけではない。廃止とともに年金手帳を捨ててしまうのではなく、保管しておいた方が安心だろう。

年金に関する手続きがスムーズになる可能性

「年金手帳の廃止は、あらゆる公的な手続きがマイナンバーに移行する過程の1つといえるでしょう。民間の企業と同じように、国もペーパーレス化を推し進め、業務効率を上げていきたいのだと考えられます」

年金に関する情報を含めた個人情報とマイナンバーが紐づけられることに、抵抗感を抱く人もいるだろう。ただし、メリットもある。

「現在のコロナ禍だけでなく、地震や台風などの自然災害による被害を受けた地域が出た際に、マイナンバーとお金に関する情報が紐づいていると、給付金を出すスピード感が上がることが期待されます。年金手帳の廃止をきっかけに、いろいろな変化を知っていけるといいでしょう」

年金手帳が廃止されることによって、生活に変化が生じるわけではないが、世の中が変化している過程であることは間違いない。年金に関する手続きについても、確認する機会にしてみてはいかがだろうか。
(有竹亮介/verb)

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