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投資の視点:2022年のリスクシナリオ

2022年2月号「投資環境レポート」

提供元:野村アセットマネジメント

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野村アセットマネジメントでは、毎月、世界経済や金融市場の注目点を投資環境レポートとしてお届けしています。

2月の投資の視点は、「2022年のリスクシナリオ」です。

<注目点>

●今年は基軸通貨国である米国の金融政策が緩和から引き締めへ、財政政策も拡張から縮小に転換。コロナショック後の流動性相場の踊り場と位置付けられる。

●インフレを引き起こしている供給制約と需要過多からのリバランスを、供給制約の解消で実現できるか、はたまた金利上昇を招く金融引き締め政策で需要抑制を進めざるを得ないかで、金融市場へのインプリケーションが異なる点に注目。

●供給制約が解消しなければ、景気失速を覚悟した強力な金融引き締めで需要を抑え込む必要性が高まり、金融市場の動揺は大きくなろう。

●大型歳出法案の不成立や中国経済減速はリバランスの観点からはむしろ好材料。

政策転換で流動性相場の踊り場へ

2022年は年初から金利上昇と、株価下落が続いている。今年は基軸通貨国である米国の金融政策が緩和から引き締めへ、財政政策も拡張から縮小に転換する年であり、コロナショック対応で現出した流動性相場の踊り場と位置付けられる。年初からの市場の動揺は、これを反映したものであろう(図2参照)。

この政策転換の背景となっているのは、コロナショックからの経済活動の正常化に加え、現状が供給不足と需要過多の状態にあることを政策当局が認めたことである。例えば米国の労働市場の状況を見ると、雇用者数はコロナショック直前と比較して21年末時点でなお357万人少ないものの、一方で求人件数は失業者数を大きく上回っている。問題は金融緩和を必要とする労働需要の不足ではなく、供給不足であり、そこから派生するインフレに転じている。

インフレが人々の生活を圧迫しているという批判を前に、11月の中間選挙を控えたバイデン政権の優先順位は、コロナ前の水準まで雇用を回復させることからインフレ抑制へ移り、米連邦準備制度理事会(FRB)も昨年11月あたりから「最大雇用」より「物価安定」を重視する姿勢を鮮明にしている。ところがFRBには供給不足に対処する手段はなく、残された次善の策は金融引き締めを通じた需要の抑制である。

株価などのリスク資産価格を利益成長率と割引率(金利)に分けて考えると、金利上昇を通じて需要を抑制する金融引き締めは、成長率を低下させるとともに割引率である金利を押し上げる二重の枷となる。

供給制約解消か、需要抑制か

ここで重要なのは、インフレを引き起こしている供給制約と需要過多からのリバランスを、供給制約の解消を中心に実現できるか、はたまた割引率である金利上昇を招く金融引き締め政策で需要抑制を中心に進めざるを得ないかで、金融市場へのインプリケーションが異なる点である。

もし半導体供給不足やサプライチェーンの混乱などが解消して供給が増えるなら、需給の緩和に伴ってインフレ圧力も低下し、その分金融引き締め政策によって金利を引き上げて景気を犠牲にする程度は小さくて済む(図1の2緩やかな引き締めシナリオ)。

また、金融引き締め以外の要因による需要減退が進む場合も同様である。今年はビルド・バック・ベター法案が満額で成立したとしても、財政政策は縮小方向であり、耐久財のペントアップ需要も剥落するとみられる(図3参照)。

さらには足元の供給制約・サプライチェーンの混乱によって生まれた在庫に対する仮需も、供給制約解消に伴って剥落しよう。特に財政緊縮は、需要過多の解消により金融引き締めの必要性が和らぐ上に、それ自体が実質金利を下げる要因である。国内総生産(GDP)比で1割もの膨大な余剰貯蓄が米国の家計部門に歩留まっていることなどを踏まえれば、引き締め政策にもかかわらず景気失速は回避されよう。

このシナリオでは、時期は不明ながらも供給制約の解消と需要減速の組み合わせで、ほどほどの経済成長とほどほどの金融引き締めという資産価格上昇に好適な環境(ゴルディロックス)への回帰が見込まれる。

2022年2月号「投資環境レポート」の続きは、こちらからご覧ください。

当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社の見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。

(提供元:野村アセットマネジメント)

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