投資信託のトレンドが分かる!
2022年2月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
- TAGS.
投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2022年2月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「流入超が継続するも流入額は2ヵ月連続で減少」
2月の資金流出入動向は1年3ヵ月連続の資金流入超となった。流入額は約4,970億円と依然として高位であるものの、前々月をピークに2ヵ月連続の減少となった。
資金流入では、外国株式が約3,930億円の流入超となっているほか、国内株式、国内債券、複合資産等のカテゴリーでも流入超が続いているが、いずれも流入額は前月対比で減少した。一方、前月1年ぶりに資金流入超に転じた不動産投信は2ヵ月連続の流入超となり、流入額も増加した。
資金流出では、国内債券を除くすべての債券カテゴリーを中心に流出超が続いた。ただし、いずれも流出額は前月対比で減少した。
個別ファンドでは、「アライアンスB・米国成長株投信 D」(アライアンス)(約690億円)が資金流入で1位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際)(約520億円)、3位は「アライアンスB・米国成長株投信 B」(アライアンス)(約290億円)と続いた。
主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「外国株式を除く全カテゴリーのリターンがマイナス」
2月の金融市場は、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が開始されたことで、世界的にリスクオフが加速した。月末には両国の停戦交渉が開始されたことで投資家心理が上向く局面もあったが、月間では株式市場を中心に大きく下落した。
株式市場は、世界的に下落した。月上旬は、各国の経済指標や企業決算、金融政策の動向を見ながら底堅い動きとなったが、月中旬にウクライナ情勢が緊迫化すると下落に転じた。月下旬にはロシアによるウクライナ侵攻が開始され、米国や欧州、日本などによる対ロ経済制裁が決定すると、更に下落基調を強めた。月末には停戦への期待から反発する局面もあったが、月間では世界的に株価は下落した。
債券市場は、世界的に下落(金利は上昇)した。 月上旬は、前月の流れを引き継ぎ、米国やユーロ圏の早期の金融引締めが織り込まれる形で世界的に金利が上昇した。その後、地政学リスクの高まりから債券需要が増加し金利は低下に転じたが、月間では金利は上昇した。
為替市場は、米ドル・円はほぼ横ばい、ユーロ・円は僅かに円高となった。米欧ともに月上旬の堅調な経済指標や企業決算を受け、早期の金融引締めが改めて意識されたことで金利差が拡大し、月上旬は円安が加速した。しかし、中旬以降はウクライナ情勢の悪化に伴い米ドル・円、ユーロ・円ともに円高となり、月間では米ドル・円はほぼ横ばい、ユーロ・円は僅かに円高で着地した。
これらを背景に、当月のリターンは、外国株式を除くすべてのカテゴリーでマイナスとなった。外国株式市場自体は世界的に下落したものの、対ロ経済制裁に伴い原油等のエネルギー価格が急騰したことで、資源株ファンドなどが上昇し、外国株式カテゴリー全体としては僅かにプラスのリターンを確保した。
一方、エマージング債券やエマージング株式においては、ロシア関連株式やロシアルーブルの急落が影響し、カテゴリー全体としてはマイナスのリターンとなった。なお、 2月末現在、ロシアの株式や債券に投資を行うロシア関連ファンドの多くは、申込受付(買付、換金)が停止されている。
パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定本数は横ばいとなるも設定額は減少」
当月の新規設定本数は10本、設定額は約70億円となった。設定本数は前月と同数である一方、設定額は前月対比で100億円減少した。
新規設定ファンドのうち、当月末時点の純資産残高が最大となったファンドは、「グローバル厳選バランスファンド」(ちばぎんAM)であった。当ファンドは日本を含む世界各国の株式、債券、リート等を投資対象とする複合資産ファンドである。目標リターン(年率2.5%)に基づき、R&I社が算出した資産配分に応じて、投資対象地域や運用スタイルなど、特徴の異なる複数のファンドを組み合わせて運用を行う。
新規設定金額、設定本数の推移
最後に、2月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)