「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」より

資産形成意識の変化は「資産形成額」の変化につながった?

提供元:三井住友信託銀行/三井住友トラスト・資産のミライ研究所

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前回は、コロナ禍前後の年間資産形成額の変化についてお伝えしました。今回は、この変化が、コロナ禍における「時間的なゆとりの変化」や「資産形成意識の変化」と関係しているのかをみてみます。

本シリーズ第3回では、時間的なゆとりの増加や資産形成意識の高まりが、資産形成に向けたアクションの活発化に結び付いていることが明らかになりましたが、年間資産形成額に対してはどう影響しているのでしょうか?

「ゆとり時間」の増加、「資産形成意識」の高まりと「資産形成額」の増加は微妙な関係

コロナ禍による「時間的なゆとり」や「資産形成について考える機会(時間)」の増加と、「コロナ禍前からの年間資産形成額の変化」の関係を示すと図表1のようになります。

1年間に資産形成できた金額が、コロナ禍以前と比べ「増えた」人は、回答者全体では12.4%、およそ8人に1人でした。そのうち「時間的なゆとりが増えた人」(回答者全体の2割強が該当)に限ってみると16.3%、更に絞り込んで「資産形成について考える機会が増えた人」(同 1割弱が該当)では22.1%まで上昇します。

一方、1年間の資産形成額がコロナ禍以前と比べ「減った」人の比率をみますと、全体では25.1%、「時間的なゆとりが増えた人」では36.6%、「資産形成について考える機会が増えた人」では40.8%と、こちらも比率が上がっていきます。

1年間の資産形成額が「増えた」人の比率、「減った」人の比率ともに

【 回答者全体 < 時間的なゆとりが増えた人 < 資産形成について考える機会(時間)が増えた人 】

になっているわけです。

本シリーズ第3回では、コロナ禍による時間的なゆとりの増加や、それに伴う資産形成意識の高まりが、資産形成に向けたアクションの活発化につながっていることをお伝えしました。しかし、実際の金額面(年間資産形成額)となると、増えた人の比率も、減った人の比率も上がるので、現時点では、「時間的なゆとりの増加」や「資産形成意識の高まり」が、「年間資産形成額の増加」という結果に結びついていると言えるかは微妙なところです。

ただし、「資産形成の種まき」は着実に進行中

年間資産形成額の増加という「金額的な成果」まで行きついているとは言えないにしても、コロナ禍で時間的なゆとりが増え、資産形成意識が高まる中で、「資産形成の種まき」が着実に進んでいることは間違いないと思います。

NISAの口座開設数(一般NISA、つみたてNISA合計)の推移をみると、2019年3月末時点では1,283万口座でしたが、2021年9月末には1,713万口座まで増加しています。

前期末比の口座増加数(3ヶ月間の口座開設数)をみても、感染拡大が始まった2020年3月以降、3ヶ月ごとに約40万口座ずつコンスタントに開設が進んできたことがわかります。2021年に入ってからは更にピッチが上がり、1~3月には60万口座、4~6月にはなんと70万口座が開設されました。

NISAの中でも特に口座開設が加速している「つみたてNISA」の動きを年齢別にみたものが、図表3です。この1年間で、20歳代では48万口座→94万口座と約2倍に、30歳代では73万口座→134万口座と1.8倍に増加しており、まさにこれから資産形成の主役となる人たちにおいて、つみたてNISAの利用が急速に進んでいることがわかります。

こうしたデータを見ますと、現在は、コロナ禍をきっかけに資産形成意識が高まり、「資産形成の種まき=資産形成に向けたアクション」が進行中の段階にあり、金額的な成果が出てくるのはこれから–と考えてもよいのではないでしょうか。

資産形成額の増加という「果実」がなるのはいつ頃か、期待しつつ待ちたいと思います。

(提供元:三井住友トラスト・資産のミライ研究所)

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