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ベトナムVN指数は史上最高値水準に

ベトナムへの資金流入目立つ

提供元:アイザワ証券

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ベトナム株式市場で、にわか投資家が急増

新型コロナ問題の長期化、米国の利上げによる市場からの資金吸収、ロシアウクライナ問題、インフレなど、多くの不安材料、不透明要因を抱えるなかで、世界各国の経済、株式はともに、20年春先の最悪期に比べてやや落ちついた状況となっている。まだ決して楽観視できる状況ではないが、実際、世界各国で往来や各種の制限が緩和されるなど、一部には改善の動きも出てきた。

なかでも、好調さが目立っているのが、ベトナムだ。もともと、ベトナムの株式市場は他の国との相関が低く、独自の値動きをする傾向があるが、直近は特に他国に比べてベトナム株の好調さが目立っている。

22年4月時点のベトナムVN指数(ベトナムの代表的な株式指数)は1500ポイント超と史上最高値水準になっている。株高と同時に市場参加者急増も顕著で、ベトナム国内での21年の年間証券口座開設件数は、前年の3.88倍、史上最多の154万口座であった。2017~2020年の4年間合計をも上回っており、急増といえよう。ここ数年取組んでいるシステム増強や法制度の整備なども、投資家増加の一因となった。

ベトナムは株式市場に加えて経済も好調

ベトナムは株式市場だけでなく、経済の方も好調だ。3月29日に発表されたベトナムの22年1-3月期GDP成長率は、前年同期比+5.03%であった。ちなみに、ベトナムは、GDPや各種の月次経済統計などを、期間が終了する直前に暫定値として発表するのが一般で、このたびのGDPも1-3月の期間が終了する直前に発表された。

成長を牽引しているのが海外からの投資(FDI)で、2021年のベトナムに対する対内FDI(直接投資)の認可額は、前年比9.2%増の約311億米ドルであった。ここ数年で、ベトナムはTPPやRCEPなど、多くの国とFTAを結んでおり、海外からのFDI拡大につながっている。

ここ数年のアンケートなどでは、新規投資や工場移転を検討する際の候補地として挙げられるケースも多い。今の不安定な経済情勢の中では、政情の安定、高い経済成長率などの点で、他国に比べてベトナムの魅力は大きく、今後もベトナムに対する投資拡大が続くと予想される。

発展段階に共通点の多い中国とベトナム

なお、他国の力をうまく取り入れながら、最終的に自国産業育成につなげていく、という流れで成長してきた国の代表格が中国だ。

中国は、2001年のWTO(世界貿易機関)加盟、相次ぐ経済特区の新設、交通、通信インフラや法制度の整備などによって自国に対する投資魅力を高めて、海外からの投資を呼び込んできた。海外企業の技術を吸収しながら、最終的には自国産業を育成する、という発展段階をたどりながら巨大化してきたといえよう。

そして、黎明期の中国とほぼ同じ道をたどっているのがベトナムだ。ベトナムでは2007年1月にWTOに正式に加盟、海外からの投資急増の一因となった。中国とベトナムでは、現時点で規模的に大きな格差があるが、進めようとしている政策の方向性はかなり似通っている。今後数年後には、ベトナムでも有力なグローバル企業が出てくる可能性もあるのでは、とみている。

デジタル関連の投資強化への期待も

ベトナムが安定した高成長を維持できている要因のひとつが、政治の安定だ。21年1月に開催された4年に1回の共産党大会を経て、主要ポスト、政治体制が確立、政治の安定につながっている。この共産党大会では、主要ポストに加えて、21~25年の5年間の中期目標などが定められた。

いくつか決定した基本原則のうち、特に目についたのが、デジタル環境の整備だ。直近22年1月には、臨時国会が開催されたが、その際に承認された景気刺激策にもデジタル変革が投資分野のひとつに挙げており、政府は、今後、通信インフラの整備、ITスキルを持つ人材の育成などを進めていくと思われる。

おりしも、22年1月には、NTTがベトナム・ホーチミンにデータセンターを建設する、と発表した。現在、NTTはハノイでもデータセンターを保有しているが、今後、クラウド、デジタルセンター市場への国の需要がさらに高まる、とみて、投資に踏み切ったようだ。

今後もベトナムでは、政府、民間企業の官民が一体となって、デジタル経済推進に向けて投資が強化されていく可能性が高いと思われる。

(提供元:アイザワ証券)

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