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2022年4月号「投資環境レポート」

投資の視点:ウクライナ危機と原油価格

提供元:野村アセットマネジメント

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野村アセットマネジメントでは、毎月、世界経済や金融市場の注目点を投資環境レポートとしてお届けしています。

4月の投資の視点は、「ウクライナ危機と原油価格」です。

<注目点>

●ロシアの原油生産減少が懸念されている。ロシアによるウクライナ侵攻を契機として、米国は全面輸入禁止を表明し、英国も2022年末までに段階的なエネルギー輸入停止を発表した。さらに、欧州連合(EU)は2027年に向けてロシア産エネルギーの依存ゼロを計画している。このような動きを受けて、ロシアの代表的輸出品であるウラル原油は大きくディスカウントされている。

●ロシアの原油生産量減少を短期的に補えるのは、(1)石油輸出国機構(OPEC)の減産緩和、(2)イラン・ベネズエラへの制裁解除、(3)米国のシェールオイル増産だ。ただし、これらの地域はそれぞれに課題を抱えており、早期の増産は容易ではない。原油価格は高止まり続けるだろう。

ロシア原油生産量の減少懸念

ロシアによるウクライナへの侵攻を契機として、欧米によるロシア産資源エネルギーからの脱却が進んでいる。米国のバイデン大統領は3月8日、ロシア産原油・石油製品・液化天然ガス(LNG)・石炭等の輸入を禁止する大統領令に署名した。また、英国政府もロシアからの原油輸入を2022年末までに段階的に停止すると表明した。さらに、EUも2027年までにロシアへの化石エネルギー依存をゼロにする方針を発表している。このような動きを受けて、国際エネルギー機関(IEA)は、2022年4月のロシアの原油生産量は約25%減少する可能性があるとしている。

ロシア産原油に対する敬遠の動きは、原油価格にも反映されている。ロシアの代表的な油種「ウラル原油」の価格が、ディスカウントされているからだ。ウクライナ危機以前のウラル原油とブレント原油の価格差は1バレル当たり1~3米ドルであった。2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降、その差は拡大し、3月中旬には1バレル当たり約20米ドルまで拡大している(図1参照)。

ロシアはエネルギー大国であり、2020年における原油生産量のシェアは12%と米国、サウジアラビアに続く第3位である(図2参照)。

コロナ禍からの回復により既に引き締まっていた原油市場は、ウクライナ危機によりさらにひっ迫するだろう。2021年11月の経済協力開発機構(OECD)諸国の原油在庫水準は、27.4億バレルと前年同月の31.3億バレルから大幅に減少し、過去5年間で最低水準であった。現在の原油市場にロシア産原油生産減を吸収する余裕はない。

短期的に原油増産可能な地域

ロシア産原油への敬遠により懸念される減産量は、最大1日当たり約500万バレルと推定される。ロシアの原油生産量は1日当たり約1,100万バレルだ。このうち、中国や独立国家共同体(CIS)諸国等を除いた地域(欧州、米国、日本等)への輸出量は、1日当たり約500万バレルである。これは世界の原油生産量の5.7%に相当する。

このように膨大な生産減を、伝統的な大規模油田により補うことは難しい。大規模油田は投資から生産までのリードタイムが、最低でも数年と長い。このため、急激な原油生産量減少に対応して、生産量を増加させることは困難である。

ロシアの原油生産量減少を補うと期待されているのが(1)OPECの減産緩和、(2)イラン・ベネズエラへの制裁解除、(3)米国のシェールオイル増産である。OPEC加盟国は徐々に減産緩和を行っているが、余剰生産能力があると推定される。

現在、制裁対象となっているイランやベネズエラは、制裁解除による早期の増産が期待されている。また、米国のシェールオイルは、原油生産量の減退率は高いものの、伝統的な油田と比べて投資のリードタイムが短く、生産量に柔軟性がある。ロシアと欧米の関係が緊張する中、原油市場正常化に向けてこれらの地域の重要性は高まっている。

しかしながら、これらの地域はそれぞれに課題を抱えており、原油市場の期待に応えられない可能性もある。以下ではそれぞれの課題について検討したい。

2022年4月号「投資環境レポート」の続きは、こちらからご覧ください。

当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社の見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。

(提供元:野村アセットマネジメント)

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