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上海封鎖で大混乱、ロックダウン生活のリアル

提供元:東洋証券

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中国最大の経済都市・上海が未曾有の大混乱に陥っている。同市は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月28日から一部地域でロックダウン(都市封鎖)に突入。4月1日からは封鎖エリアが市全域へと拡大し、上海市民2500万人が家から出られない事態になった。現地当局による「4日間限定」という封鎖公約は反故にされ、事実上の無期限延長に入っている。市民生活や企業活動など各方面への影響は必至で、中国経済の大きな足かせになりかねない。

上海ではこれまで、新型コロナの散発的なクラスターはあったものの、大規模な感染拡大には至らず、全国でも比較的優秀と評価されていた。だが、感染力が強いオミクロン変異株の流入で様相が一変。今年3月に入ると感染者がじわり増加し始め、3月12日には1日当たり新規感染者数が100人を超えた。世界の各都市と比べると少ないが、これまでの抑制実績を誇ってきた地元市民にとってはかなりショッキングな数字だ。その後も感染者数は右肩上がりで、同24日には一気に1000人を突破し1609人まで増加。4月5日には初めて1万人を超え、1万3354人となった。

4月中旬の1日当たり新規感染者数は2万5000人前後となる日が多かった。上海市の人口は約2500万人。東京(人口約1400万人)に例えると、毎日1万4000人程度の感染者が報告されていることになる。

ロックダウン下の上海市内中心部

さて、上海のロックダウンで大きな問題になっているのは食料調達だ。今回の封鎖措置は大変厳しく、市民は原則、家のドアから出ることすら許されない(実際にはマンションや団地により運用が異なる)。外出が禁止されるということは、もちろんスーパーやコンビニでの買い物もできない。そのため、食料調達は、(1)政府による配給、(2)ネットスーパー、(3)住民による共同購入、などに頼ることになる。

政府配給はロックダウンが始まって間もない頃に多くの家庭向けに行われた。区によって内容は異なるが、白菜やジャガイモ、ニンジンなどの野菜がメインで、卵や牛乳、肉や魚が供給されたところもある。ただ、即席麺やスナック菓子などのみの地域もあり、「配給格差」がネット上で話題になった。

一方、ネットスーパーはアクセス過多でサイトにほとんど繋がらない、もしくは繋がった時には商品完売という事態が相次いだ。配送スタッフの不足で、「モノはあるのに配送できない」という現象も多く見られた。

これは配給も同じで、各地から支援物資の野菜が届いているのに、各戸に配る輸送能力が追いついていなかったようだ。政府が民間の輸送トラックを接収し、スーパーなどの配送が滞るというちぐはぐもあった。そうこうしているうちに倉庫で野菜が腐ってしまう本末転倒の事例が伝えられたほどだ。

共同購入は、マンションなどの住民がグループを作ってまとめ買いをするシステムだ。企業側にとっても個別受注・配送よりも効率が良く、物流面での負担も相対的に小さくなることがメリット。

例えば、ある商品の最低購入数が50個と設定されれば、住民はスマホのグループチャット内で購入者を募る。チャット上には「米の購入者募集。50人以上必要」「皆で豚肉を100kg買いましょう」「トイレットペーパーが欲しい人は集まれ!」などのメッセージが目まぐるしく飛び交う。人数や時間制限で購入を逃すこともあるので、朝から夜までスマホから目が離せない。注文を取りまとめる人は「団長」と呼ばれ、住民のリーダー的存在だ。

マンションで行われた物々交換

ロックダウンによるもう一つの問題は医療面だ。中国ではPCR検査での陽性確認者は無症状や軽症者を問わず全員病院や施設での隔離が原則。感染者の爆発的増加により既存の病院や隔離施設がパンク状態となり、突貫工事で野戦病院が建設された。ただ、一部で劣悪な衛生環境が伝えられ、大雨の際にはひどい雨漏りが起きるなどの不備も目立つ。また、感染者の移送に遅延が生じており、自宅待機を余儀なくされた者の容態が悪化する事態もある。

高齢者や持病がある者は通院及び投薬もままならない。基本的に外出禁止なので、病院に行くためには特別な許可を取らなければならない。病院に入る際にもPCR検査の陰性証明が求められるため、その場で検査を受け、結果が出るまで門の前で車椅子姿で数時間も待つという姿が見られた。これはあまりにも杓子定規な運用のため後に改められたが、救急患者の搬送受け入れを拒否する病院もあるなど、実質的な「医療崩壊」も起きた。

上海の経済活動は3月中旬頃から1カ月以上、ほぼストップ状態が続く。特に小売や外食、観光などが中心のサービス業で甚大な被害が出ている。中国には「一時補償」「協力金」「支援金」という類のものはない。税金や家賃の減免措置は一部あるが、時短営業や臨時閉店、外食業の店内飲食禁止などでそもそも売り上げがまともに立たない状況だったので、大きな支えにはならないだろう。

4月18日に発表された中国の2022年1〜3月期GDPは前年同期比4.8%成長にとどまった。中国政府は今年通年の成長目標を5.5%前後と掲げているが、スタートからつまづいた格好だ。市場予想の4.2%成長を大きく上回ったため、統計の正確性にやや疑問が感じられるものの、上海を始めとした各地でのロックダウンや行動制限の影響は4〜6月期の経済にも影響が及ぶと見られる。3月の社会消費財小売総額は前年同月比3.5%減(市場予想は3%減)と大きなマイナス成長で、消費現場の厳しさが伺える。

今後、財政出動などを伴う景気刺激策の導入余地はあるが、一方で政府はゼロコロナ政策の貫徹方針を強調しているため、いつどこでロックダウンが起きてもおかしくない状況。市民は疑心暗鬼状態で、北京や広州などの大都市では生活物資の買いだめ・買い占めの動きが起きている。工場の生産停止、物流の停滞、サプライチェーンの混乱などが引き続きリスクとして意識され、中国及び世界の経済と株式市場にとって大きな不確定要因になるだろう。

(提供元:東洋証券)

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