NISA口座は株主優待目的の投資に活用できる!メリットや注意点を解説

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一般NISA口座(以下NISA口座)は株主優待を目的とした投資にも適しています。なぜ適しているのか、また、どんな点に注意が必要か説明するので、ぜひ参考にしてください。同一の銘柄をNISA口座と課税口座で分けて保有しているケースでは、株主優待を受けられるのかについても解説します。

NISA口座が株主優待目的の投資に向く理由

株主優待目的で投資をする場合は、NISA口座の利用を検討してみましょう。次の3つの理由から、NISA口座は株主優待目的の投資に向いているといえます。

1.NISA口座は長期投資向け
2.株主優待が非課税になる
3.配当も非課税になる

それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。

【理由1】NISA口座は長期投資向け

株主優待は、優待品を受け取る条件を満たしている限り、毎年受け取ることができます。1度だけでなく何度も同じ企業の株主優待を受けたいのであれば、長期向けの口座が適しているといえるでしょう。

NISA口座は5年間非課税で投資ができ、非課税期間が終了した後は保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移すロールオーバーをすることで、運用中の株式の非課税適用期間を延長することも可能です。そのため、株主優待目的の長期投資に適した口座といえます。

なお、NISA口座内の株式や投資信託を売却しても、同一年内には非課税枠を再利用することができません。そのため、NISA口座は短期間で売買する投資には向かないので注意しましょう。

【理由2】株主優待が非課税になる

株主優待で受け取る優待品は「雑所得」となり、課税対象です。そのため、住民税・所得税を納付する必要があります。

ただし、雑所得は20万円以下であれば確定申告の必要はありません。優待品の価値が20万円を超えることはあまりないため、事実上所得税の課税はされていません。

しかし、住民税の方は、優待品の価値が20万円を超えない場合でも納付義務があります。とはいえ、誰がどのくらい株主優待で利益を受けたかを正確に把握することは困難のため、現在は課税されていないのが実情です。将来的には優待品も課税対象となるかもしれませんので留意しておきましょう。

【理由3】配当も非課税になる

株式を保有していると、株主優待だけでなく配当金も受け取れることがあるでしょう。配当とは企業が利益の一部を株主に分配することで、これも課税対象のため、20.315%の税率で源泉徴収された状態で口座に入金されます。

NISA口座で保有している株式であれば、配当金は非課税になるため、源泉徴収されずに全額を受け取ることが可能です。株式投資による利益を最大化するためにも、NISA口座の活用を検討しましょう。

NISA口座に向く株主優待銘柄の選び方

NISA口座で株主優待目的の株式投資を行う場合は、以下の3つのポイントに留意して銘柄を選びましょう。

●権利確定日に注目する
●配当と株主優待をセットで考える
●値上がり益が期待できそうな銘柄を選ぶ

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

権利確定日に注目する

株式にはそれぞれ「権利確定日」が定められています。権利確定日とは株主優待や配当金などの株主としての権利が確定する日のことです。権利確定日の2営業日前(権利確定日を含め3営業日前)にあたる「権利付き最終日」までに株式を購入すると、権利確定日には株主として株主名簿に登録されます。

株主優待を目的に投資を行うのであれば、権利付き最終日までに株式を購入することが必要です。しかし、権利付き最終日の直前は権利の価値分、株価が上昇する傾向にある点に注意しましょう。権利確定日を過ぎるとその分株価が下落することがあるので、次回の株主優待を目指して早めに購入しておくことも検討できます。

なお、株主優待を受ける権利は株主の権利確定日に発生することが一般的ですが、銘柄によっては株主の権利確定日と株主優待の割当日(株主優待を受ける権利を確定する日)が異なるため注意が必要です。

配当と株主優待をセットで考える

株主優待の内容だけで銘柄を決めるのも一つの方法ですが、配当にも注目してみましょう。株主優待の内容がよく、しかも高配当なら非課税により得られる恩恵も増えます。配当実績については証券会社のウェブサイトなどでも記載されているので、参考にしてみましょう。

値上がり益が期待できそうな銘柄を選ぶ

将来的に株式を売却することも考えるならば、値上がり益が期待できそうな銘柄を選びましょう。NISA口座なら売却したときの利益も非課税です。

なお、NISA口座で非課税投資できる期間には限りがあります。もし売却を検討するのであれば、非課税期間に留意しましょう。

NISA口座で株主優待投資をするときの注意点

NISA口座で株主優待目的の投資をするときは、次の3つのポイントに注意しましょう。

●株主優待を受けられる条件を確認する
●他の口座と合算して株主優待を受けられる
●つみたてNISAでは株主優待を受けられない

それぞれのポイントについて解説します。

株主優待を受けられる条件を確認する

銘柄によって株主優待を受けられる条件が異なる点に注意しましょう。例えば、優待品を受け取るための、最低株式数が単元株数(100株)でない銘柄もあります。売買は100株単位で可能でも、優待品の受け取り条件が200株以上の保有、300株以上の保有となっているケースもあるでしょう。

また、最低保有期間が決まっている銘柄もあるので注意が必要です。例えば、権利確定日時点で半年以上株式を保有していることなどが、優待品を受け取るための条件になる銘柄もあります。

他の口座と合算して株主優待を受けられる

株主の権利は同一名義であれば合算されます。例えば1,000株以上の株主のみ株主優待を受けられる銘柄の場合、NISA口座で200株、課税口座で800株保有していても株主優待を受けることが可能です。

NISA口座では非課税で運用できる金額(購入時の金額)は年額120万円までに定められています。株主優待を受けるための最低保有株数を購入するのに120万円を超えたときは、課税口座で不足分を保有することも可能です。配当に関しては超えた分に対して課税対象となりますが、株主優待に関しては実態としては特に影響は受けません。

つみたてNISAでは株主優待を受けられない

つみたてNISAは株式投資信託やETF(上場投資信託)などを運用するための非課税口座のため、個別企業の株式を保有することはできません。保有している投資信託に株主優待を実施している銘柄が組み入れられていることはありますが、その銘柄の保有者(株主)は投資家ではなくファンドを管理する信託銀行などになる点に注意しましょう。

そのため、つみたてNISAで投資信託を運用していても、投資家個人は株主優待を受ける権利を持ちません。株主優待目的で投資を行うのであれば、投資信託の形ではなく株式として保有するようにしましょう。

NISA口座を使いこなそう

NISA口座は非課税で投資ができる口座です。また、特に手続きをしなくても利益に対して非課税が適用されるので、「ほったらかし投資」をしたい方にも適しています。

ただし、株主優待を目的に投資を行うときは、最低保有株数や最低保有期間などの優待品の受け取り条件に注意することが必要です。また、優待品がご自身にとって価値のあるものなのかも事前に確認し、満足度の高い銘柄を選ぶようにしましょう。

(参考)特集:「株主優待」の裏側に迫る!

ライター:林 泉
監修者:高橋 尚

監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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