東証市場再編

【新市場ストーリー】第3話 「市場区分」ってなあに? ~市場区分、意義・役割は?~

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※この記事はJPX「新市場区分特設サイト」上で2021年12月9日に掲載した記事の再掲載です。

第2話はこちら

登場人物

あらたくん
・市場 新(いちば あらた) 22歳男性
・東証一部上場企業・兜商事に勤めはじめた新入社員
・東証二部上場企業・日本橋造船で技術職として勤める父、マザーズ上場企業・フューチャーバイオで研究職として勤める兄がいる
・父の勧めで東証一部の会社に入社したが、「東証一部」がなくなると聞き、焦っている
・カブノさんは職場の先輩

カブノさん
・株野 未来(かぶの みらい) 30歳女性
・前職は証券会社だったため、市場区分見直しについて関心はあるが、詳しくは知らない
・証券会社勤務時代のつながりで、東証にタスクさんという知り合いがいる

 

タスクさん
・成長 助(なるなが たすく) 28歳男性
・東証上場部に在籍
・市場区分見直しについて色々教えてくれる

 

 

(あらたくん)
うーん、先日は結局飲みすぎて最後のほうのお話を覚えていません・・・

(カブノさん)
そもそも市場区分って何なのかって話、覚えていないの?
(オンライン飲み会だったのに・・・)

(あらたくん)
はい・・・
というわけで今日はまた最初から教えてもらえればと思います。
2022年4月に市場区分の見直しが行われるのはわかりましたが、そもそも「市場区分」って何なのですか?

(タスクさん)
はは、もちろんもう一回教えてあげるよ。
でもその前に、そもそも「上場」って何かわかるかな?

(あらたくん)
うーん、言われてみるとよく分からないです。
僕は、上場している会社は何となくスゴい、って思って上場会社に入社しましたけどね!

(タスクさん)
「上場」というのは、会社が発行している株を取引所で売買できるようにすることを言うんだ。

(あらたくん)
うーん、それをすると何が嬉しいんですか?

(カブノさん)
株を上場させた会社、つまり上場会社にとっては、銀行以外に一般の人たちからも資金の調達がしやすくなるわね。
会社を成長させていくには資金が必要になるから、資金が得られる手段が増えるのは嬉しいよね。

(タスクさん)
そして、一般の人たちにとっては、魅力的な企業に投資をする機会が生まれるんだ。
投資家は、株価が上がれば値上がり益が出るし、配当という形で定期的にお金がもらえることもある。

(あらたくん)
実は、兄の勧めで株を買った会社から配当金が送られてくるので、それは知っています!
(買ってからは特に何も調べていませんが・・・)

(カブノさん)
あらたくんも投資家だったってことね。
(ちゃんと調べないとダメよ・・・)

(タスクさん)
そして、そうした資金調達をしたい会社と投資をしたい投資家をつなぐ場が、取引所ってわけさ。

(カブノさん)
そのほかにも、知名度が向上して、あらたくんのような新入社員を取りやすくなったり、営業しやすくなったりする効果をメリットに上げる場合もあるわね。
新しい投資家によるチェックも加わるから社内の体制がしっかりするとか、公の企業になることで従業員の士気があがる、なんていう話も聞いたことあるわ。

(あらたくん)
なるほど、上場するといっぱいメリットがある、っていうのはよくわかりました。(僕の士気があがったかはわかりませんが・・・)
でも、だったら、全部の会社が上場したい!って思うんじゃないですか?

(タスクさん)
たくさんの会社が上場したいと思ってくれるのは取引所としてもありがたいことだけれど、一般の方々に投資をしていただく以上、いつでも誰でも上場できるということにはしてないんだ。

(カブノさん)
事業はしっかりしたものかとか、情報がきちんとオープンに開示されているかとか、投資家がスムーズに売買できるほどの量の株が市場に存在するかとか、いろいろな基準があるわね。

(タスクさん)
そして、上場後も投資家が売買する以上、上場のタイミングで一回基準をクリアするだけじゃなくて、一定の基準をずっとクリアしてもらう必要がある。

(カブノさん)
それがクリアできなくなると、上場が廃止されるの。
時価総額が著しく小さくなるとか、経営破綻してしまうとかはわかりやすい例ね。

(あらたくん)
上場会社もいろいろと大変ですねえ。
でも、その基準があんまり厳しすぎると、投資家は安心するけど、上場できる会社が少なくなっちゃうような・・・

(カブノさん)
もちろん、資金を供給すべき会社に供給できなくなるのも問題だから、いたずらに基準を厳しくすることが正しいとも限らないわ。

(タスクさん)
そして、すべての会社に同じ基準を適用するのがいいのか、という問題もある。
たとえば、若いベンチャー企業は、これからどんどん成長していく可能性を秘めているけど、まだ体制が整っていないから、ほかの企業と同様の基準を適用してしまうとハードルが高くなる。

(あらたくん)
じゃあ、ほかの企業と基準を変えればいいんじゃないですか? ベンチャー企業向け専用の基準とか、作ってくださいよ。

(タスクさん)
素晴らしい発想だね。実は既にそのような基準はあって、現在のマザーズに適用されている基準は、まさにベンチャー企業を想定した、相対的に緩やかな基準なんだ。

(あらたくん)
そうなのですね! では、マザーズに上場している会社は、その基準をクリアしている会社です、っていうことですね。

(タスクさん)
そのとおり!
そして、それがまさに「市場区分」の役割で、適用される上場基準の違いを分かりやすく示す仕組み、それこそが市場区分なんだ。
そして、ベンチャー企業は、一般的にはまだ実績がないから投資リスクが高い。市場区分は、相対的なリスクの高さ・低さをわかりやすく投資家に示す機能も持っているんだ。

(あらたくん)
なるほど~、兄から勧められて買ったのは東証一部の株だったのですが、マザーズの株との違いがよくわかりました。
あれ、でも東証一部もマザーズも見直されちゃうんですよね? 今の仕組みでも機能してそうな気がしましたが、そうではないんですか?

(タスクさん)
いい質問だね!
次に、なぜ市場区分の見直しを行うのかをお話ししよう!

(カブノさん)
タスクくん、いっぱい質問してもらって、いきいきとしてるわね・・・

第4話へつづく)

用語解説

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