東証市場再編

市場関係者メッセージ

日本のコーポレートガバナンスの水準を高める道筋における重要なステップ

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※この記事は英語による寄稿文を参考訳として翻訳したもので、JPX「新市場区分特設サイト」上で2022年3月11日に掲載した記事の再掲載です。

ロイ・レッキー(Roy Leckie)
ウォルター・スコット・アンド・パートナーズ・リミテッド 投資・クライアントサービス部 エグゼクティブ・ディレクター

ウォルター・スコットには、1983年の成立から東京証券取引所(以下、「東証」)を通じて日本に投資してきた長い歴史があります。日本企業は分散型グローバル株式ポートフォリオの重要な構成銘柄になると考え、当社は常にポートフォリオの相当割合を日本株に投資してきました。

当社は2022年4月4日に実施予定の新市場区分への移行を全面的に支持します。私たちは日本企業への長期投資家として、今回の移行が日本のコーポレートガバナンスの向上と企業の質の向上を後押しするものだと考えています。コーポレートガバナンス向上に向けた継続的なご尽力に敬意を表します。

海外投資家として、高い水準のコーポレートガバナンスと、長期にわたる持続的な株主価値の向上にコミットする企業向けに新たにプライム市場が設立されることを歓迎します。特にグローバル投資家との建設的な対話に重点を置いていることは喜ばしく、今後日本の経営者と多くの実りある議論を持つことが楽しみです。

この度の見直しはここ数年徐々に進行している日本のコーポレートガバナンス向上プロセスの一環です。安倍晋三首相(当時)の下で弾みがついたこの改革プロセスには、2014年のスチュワードシップ・コードと2015年のコーポレートガバナンス・コードの成立が含まれます。東証上場会社の質が高まることにより、巨額の国内貯蓄とより多くの海外投資家の呼び込みが推進されることを期待しております。

当社の投資チームは日本や日本企業に精通しています。現在は新型コロナウイルス感染症の世界的流行により一時的に中断していますが、通常であればチームメンバーが年に3、4回は日本を訪れ、企業の経営者と面談したり、製造施設を訪問したりしています。また、こうした機会を活用して、日本のクライアントと情報交換をしています。過去2年間については、リモートで多数の日本企業やクライアントと対話を続けてきました。

日本の株式市場には競争優位性が高く研究開発への多額の投資にコミットしている質の高い企業銘柄が多数あり、投資家は幅広い銘柄から投資先を選定できると考えています。「ものづくり」や「匠(たくみ)」の重視は、日本の多くの企業が共有している製造への情熱を浮き彫りにしています。日本企業は優良な長期投資の基本である質、信頼性、イノベーションといった特性を有していると思います。長年にわたり、私たちは日本において多くの世界をリードする企業への投資で成功を収めてきました。

今回の東証の市場区分見直しは、日本のコーポレートガバナンスの水準を高める道筋における重要なステップです。このプロセスが長期的な株式投資先としての日本企業の魅力を下支えするものと思います。近い将来また日本を訪ね、より多くの日本企業と積極的に建設的な対話をすることを楽しみにしています。

ロイ・レッキー(Roy Leckie) ウォルター・スコット・アンド・パートナーズ・リミテッド 投資・クライアントサービス部 エグゼクティブ・ディレクター
1995年にウォルター・スコット社に入社以来、投資、クライアントサービス、マネジメント、ガバナンス等の幅広い分野を担当。新興市場における投資能力拡大に欠かせない人材として貢献した。2007年以降はグローバル戦略における投資において中心的役割を果たす。2008年に当社取締役に加わり、投資管理委員会の共同議長を務める。グラスゴー大学にて統計学専攻、理学士号(優等学位)を取得。

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