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2022年6月号「投資環境レポート」

日米金融政策と為替市場

提供元:野村アセットマネジメント

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野村アセットマネジメントでは、毎月、世界経済や金融市場の注目点を投資環境レポートとしてお届けしています。

6月の投資の視点は、「日米金融政策と為替市場」です。

<注目点>

●円相場は日米中銀の金融政策、そしてそれに影響を受ける金利差との連動性が高い局面にある。また、資源価格高騰による日本の経常収支悪化懸念も円安要因となった。

●年後半以降を展望すると、米国の金融引き締めペース緩和観測が高まり、日米金利差が縮小することで円安が修正される可能性がある。また、円相場は常時金利差に連動する訳ではない。日銀新総裁人事、また、原発再稼働・インバウンド回復期待の高まりなどが為替市場で材料視されるかもしれない。

円安の進展と日本銀行

2022年3-4月の金融市場を振り返ると、米国の利上げ加速が金融市場で織り込まれる中、円債利回りにも上昇圧力がかかっていた。日本銀行は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の枠組みの下で、10年債利回りの上昇を0.25%で止めるため、3月28日に初の連続指値オペの実施を発表した。

その後、10年債利回りで見れば日米金利差は拡大し続け、為替市場においては対米ドルで円安が進んだ(図1参照)。資源価格の上昇局面における家計・企業の負担を円安がさらに増幅させるという「円安警戒論」が高まる中、4月27-28日に日本銀行の金融政策決定会合が開催された。

日本銀行の黒田総裁は、円安は日本経済にとってプラスであるとの見解を維持していたが、他方で為替の安定性も重要と述べてきた。円安の加速を牽制するべく、日本銀行がハト派スタンスを後退させるのではないか、と見る向きも少なくなかった。

しかし、4月会合で決定されたのは、10年債利回りの上限0.25%を守る方針の明確化だった。明らかに応札が見込まれない場合を除き、指値オペを毎営業日実施することとしたのだ。黒田総裁は会見の中で、指値オペ実施の有無で金融政策スタンスを推し量ろうとする一部の動きに対して、憶測を払拭することが市場の不安定性を減じると考えたことが決定の背景と述べた。

その後、日本のゴールデンウィークにあたる5月3-4日、米連邦公開市場委員会(FOMC)において市場予想通り0.5%ポイントの利上げが決定され、日米10年金利差は一段と拡大したものの、追加的な円安進行は小幅にとどまった。日米中銀の金融政策正常化に向けた動きが乖離したものの、日本銀行が金融市場の思惑を低減させたことが投機的な動きを一部抑制した可能性もあろう。

金利差に連動してきた最近の円相場

為替相場の変動要因は、景況感格差、物価格差、金利差、国際収支、金融市場のリスク選好度など様々挙げられるが、円の対米ドル相場で見ると、2022年に入って以降、金利差に連動しやすい傾向がある(図2参照)。それに加え、エネルギー価格の高騰で資源純輸入国である日本の経常収支の悪化が強く意識され、円安進行に拍車をかけたと見られる(図3参照)。

従って、日本銀行が円債利回りの米債利回り追随を断とうとしている下では、日米金利差、エネルギー価格といった為替変動要因に対して日本が対処できることはほとんどない。為替政策は財務省の所管であり、米ドル売り・円買いの為替介入を行うという直接的な手段はあるものの、外貨準備を取り崩す必要があるため、介入額の上限が決まっている。

加えて、過去の円買い介入において所期の効果があったとも判断しにくい。他方で、金融市場は、夏場にかけての米国の利上げ加速やロシアによるウクライナ侵攻などを背景にしたエネルギーの需給逼迫を相応に織り込んだと考えられる。そのため、更なる円安加速の材料も乏しくなりつつある。なお、為替相場を金利差で説明しにくい局面があることも確かだ。為替相場変動の主因が金利差から他の要因に移っていく可能性もある。

2022年6月号「投資環境レポート」の続きは、こちらからご覧ください。

当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社の見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。

(提供元:野村アセットマネジメント)

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