東証市場再編

全国上場会社の旅

【京都府】和酒、日本食、バイオ技術で世界の人々の健康的で豊かな日々の暮らしに貢献する企業集団

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※この記事はJPX「新市場区分特設サイト」上で2022年3月18日に掲載した記事の再掲載です。

宝ホールディングス株式会社
取締役 森圭助

和酒、日本食、バイオ技術で
世界の人々の健康的で豊かな
日々の暮らしに貢献する企業集団
―京都府― 宝ホールディングス株式会社

宝酒造による国内酒類・調味料事業、宝酒造インターナショナルグループによる海外酒類事業と海外日本食材卸事業、そしてタカラバイオグループによるバイオ事業という3つの事業セグメントを持ち、合計60社のグループ企業で事業を営む宝ホールディングス株式会社。異なる3つの事業領域で安定事業と成長事業を併せ持つ環境の変化に強い事業ポートフォリオ、国内と海外のバランスの取れた事業構造で安定的な成長を実現しています。会社創立100周年となる2025年度に向けた長期経営構想もスタートさせ、さらに世界で存在感を高めようと挑む今を、取締役の森圭助さんにお聞きしました。

酒類、調味料、日本食材から、PCR検査キットまで

――3つの事業セグメントについて概要を教えてください。

森取締役 まず祖業かつ中核事業である宝酒造の酒類・調味料事業は、日本の伝統的な酒類・調味料である「和酒」に強みを持ち、甲類焼酎、清酒、本みりんなど、各カテゴリーで複数の強いブランドを持っています。近年はRTD(Ready to drink:すぐ飲めるものという意味)領域も成長しており、タカラ「焼酎ハイボール」などが人気です。

次に宝酒造インターナショナルグループは、海外事業を担う位置づけで、海外酒類事業と海外日本食材卸事業という2つの事業を展開しています。酒類事業では日本からの輸出だけでなく、清酒「松竹梅」などの和酒の海外製造、販売に加え、「トマーチン」などの洋酒の製造、販売もしています。日本食材の卸事業では、アメリカやヨーロッパ、オセアニアの日本食レストランや小売店に、お米や寿司ネタなどの日本食材や清酒、調味料などを提供しています。

――そして3つ目のバイオ事業では、新型コロナウイルスPCR検査キットや検査試薬も開発・販売されています。

森取締役 はい。バイオ事業では遺伝子を増幅する酵素や試薬セット、遺伝子の増幅や細胞を解析する理化学機器、そして医薬品の製法開発から製造までの工程を請け負う受託という3分野で、世界の大学や企業に製品、サービスを提供しています。私たちが1980年代から取り組んできたPCR検査技術が、コロナ禍の社会の要請に合致して、検査機器や試薬の開発・生産・供給が急拡大しました。全体として「バイオ産業支援事業」と定義づけており、新しい治療法を継続的に創出する創薬企業を目指しています。

――3つの事業に共通するのはどのような企業姿勢でしょうか。

森取締役 祖業からあり続ける発酵、そしてバイオという技術を通じて、生き生きとした社会づくりに貢献していきたいということがグループ共通の思いです。2020年にスタートさせた「TaKaRa Group Challenge for the 100th」という長期経営構想では、「笑顔で繋がる豊かな暮らしを ~Smiles in Life~」をビジョンとして掲げて、和酒・日本食とライフサイエンスにおける多様な価値を安全・安心に提供し続けるという企業姿勢を示しました。

売り上げも従業員数も約半分が海外

森取締役 グループ全体では海外での売り上げが45.4%を占めています。連結子会社が60社ありますが、そのうち海外の会社が49社で、グループ全体の従業員4,748名のうち、海外の従業員が2,291名、48.3%です。つまり約半分が海外です。

海外事業を担う宝酒造インターナショナルグループは、海外酒類事業において4カ国に拠点を持ち、米国では和酒の製造とバーボンウイスキーの販売、中国では和酒を、イギリスではスコッチウィスキーの製造を行っています。海外日本食材卸事業は、米国、ヨーロッパ、豪州で展開し、15カ国に事業所があります。タカラバイオグループは日本、米国、中国に拠点を持ち、研究開発を行っており、販売は米国、ヨーロッパ、中国、韓国、インドで展開しています。
※2021年3月末時点

――海外での事業の今後の展望や戦略について教えてください。

森取締役 海外酒類事業では、成長している海外での和酒の市場をより拡大し、世界的に伸びているウィスキー需要もしっかり取り込んでいきます。海外日本食材卸事業では、コロナ禍で海外のレストラン市場が大きな打撃を受けましたが、小売店ルートやテイクアウト、ネット通販などを開拓し、今、コロナ前の水準を上回る成長を示しています。レストラン需要も復活しており、今後、さらに成長軌道に乗ると見込んでいます。

バイオ事業では、PCR検査需要に即応できる体制を築き上げており、今後も社会の要請に貢献していきます。コロナ禍で停滞していた世界の研究機関の活動は回復しており、各国、各地域の研究開発やライフサイエンス産業の状況に合わせた「グローカル」戦略で売り上げを拡大していきます。

――日本の食文化を海外に広める役割も果たされているのですね。

森取締役 1951年に清酒「松竹梅」を輸出したことが海外への出発点で、1980年代からは米国での日本食への高まりを踏まえ、現地生産にも取り組んでいます。カリフォルニアのお米と水で国内生産と同品質の日本酒をつくることには、当初、相当、苦労しましたが、現地への人員派遣や工程の見直しを実施し、日本産と遜色のない酒質を実現しました。2020年には米国産の純米大吟醸が全米の日本酒鑑評会で金賞を受賞しています。日本食材卸では、各国の食材卸会社をグループに迎え入れ、グローバルネットワークを広げ、米国では日本食の展示即売会の開催や、寿司や和食の料理人育成もおこなっています。コロナ禍を経て、日本食のすそ野は家庭にも広がっており、市場もいっそう成長すると考えています。

自然との調和は、先人から受け継いでいる理念

――サステナビリティや環境保全についてはどのように考えていますか。

森取締役 「自然との調和を大切に」という言葉で私たちの企業理念は始まります。穀物や水、微生物といった自然の様々な恩恵のもとで私たちは事業活動をおこなっているわけで、豊かな自然環境が保たれていることは、事業を継続するうえでの大前提だと古くから認識しています。例えば、1985年に公益信託「タカラ・ハーモニストファンド」を設立し、以来毎年、日本の森林・草原や水辺の自然環境を守る活動や、そこに生息する生物を保護するための研究などに対して助成を行っています。

そして食品や医療に関わる事業を営んでいる会社として、安心安全な商品、サービスを提供するということは最も重要なテーマであり、こだわっているところです。酒類メーカーの責任として2020年4月よりHP上でアルコール量を開示しており、2021年9月からは商品のラベルにも記載を始めております。2025年までには全ての商品に純アルコール量を記載する計画です。サステナビリティの方針については、2020年6月に「サステナビリティ・ポリシー」、2021年6月には「サステナビリティ・ビジョン」を公表しています。

――「サステナビリティ・ビジョン」には、数値目標も記されていますね。

森取締役 はい。特にCO2の排出量については日本政府の目標と一致する形で、2050年までにネットゼロを掲げており、知恵の出しどころだと思っています。自然との調和を目指す姿勢は当社が古くから持っているもので、気候変動や人権問題といった新しい課題も取り込み、体系化したものが「サステナビリティ・ポリシー」並びに「ビジョン」だと思っています。

事業ポートフォリオをさらに強化し、持続的成長へ

――事業領域を広げてきたのはどのような経緯だったのですか。

森取締役 1842年に造り酒屋として京都の伏見で創業したことから私たちは始まりました。1912年に新式焼酎の東京市場での販売権を獲得、その後、伏見で自社製造を開始し、「寶焼酎」として全国に販売したことにより事業規模が大きくなりました。1957年にはビール事業に参入しましたが、既存メーカーの壁が厚く、これは撤退を余儀なくされています。ただ、そのときの苦境が、酒類・調味料以外の新規事業を育てなければという強い思いとなり、バイオ事業を立ち上げていくきっかけになりました。1979年に遺伝子工学研究に用いる制限酵素を製品化し、バイオ事業がスタートしました。

――グローバル企業になった今も、京都・伏見との関わりは深いのでしょうか。

森取締役 伏見には今も宝酒造の基幹工場があり、伏見の名水を用いて、酒類をつくっています。伏見酒造組合で毎年3月に開催する日本酒祭りには当社も参加し、利き酒会などを催しています。加えて、私たちのアイデンティティを忘れないために、社員研修施設として「宝ホールディングス歴史記念館」をつくり、海外の従業員にも企業理念や会社の歴史を学んでもらい、イズムを伝承しています。また、京都だけでなく全国各地の地域経済や農業の振興に貢献しようと、ご当地素材を使った地域限定の「タカラクラフトチューハイ」をつくり、すでに各地で40商品が発売されています。

――さらなる企業価値の向上に向けて力を入れていくことはどのようなことですか。

森取締役 安定的な収益を生み出すことができている事業ポートフォリオをさらに強化し、持続的成長を目指していきます。世界の人々の健康維持や地域経済の振興など、事業で社会課題を解決していくこともグループの使命です。社会課題を解決しながら当社グループも成長していきます。

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