個人型確定拠出年金(iDeCo)とは自分で始める年金制度!概要やメリットも解説

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個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、自分で運用商品や掛金を選ぶ自由度の高い年金制度です。どのようなメリットがあるのか、また利用できる方の条件や掛金上限額、始め方についてまとめました。ぜひ参考にしてください。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは任意で始める年金制度

個人型確定拠出年金(iDeCo)は任意で始める年金制度です。義務ではないため、加入の条件を満たし、加入を希望する方が加入手続きを行います。

なお、iDeCoは国民年金基金連合会という公的な機関が運営していますが、国民の義務ではないこと、また実際に利用するときは民間の金融機関に口座を開設して運用することもある、私的年金の1つです。

一方、特定の条件を満たす方全員が加入する国民年金や厚生年金は公的年金に分類されます。いずれも条件を満たすときには加入が義務付けられているため、それぞれの条件によって定められた年金保険料を支払わなくてはいけません。

iDeCoに加入できる対象者

iDeCoに加入できるのは、以下のいずれかの条件を満たす方のみです。

●国民年金第1号被保険者(農業者年金の加入者、国民年金保険料が免除されている方は除く)
●厚生年金の被保険者(※)
●厚生年金被保険者の扶養されている満20歳以上60歳未満の配偶者(国民年金第3号被保険者)
●国民年金に任意加入している被保険者

厚生年金被保険者である会社員もiDeCoに加入することができますが、もし企業型確定拠出年金に加入している場合は、iDeCoへの加入が認められているか確認する必要(※)があります。詳しくは次の記事をご覧ください。

※企業型確定拠出年金加入者に関しては、加入している年金の規約でiDeCoへの加入が認められている場合のみ加入可能です。ただし2022年10月以降は、企業型確定拠出年金において加入者掛金を拠出している(マッチング拠出を行っている)場合を除き、原則として企業型確定拠出年金加入者もiDeCoに加入できます。

「iDeCoに会社員でも加入可能?そのほかの疑問にも回答します」

また、国民年金第3号被保険者となる専業主婦も、iDeCoへの加入が可能です。なお、本件については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご確認ください。

「iDeCo加入で専業主婦(夫)にも恩恵がある!注意点も解説」

iDeCoの始め方

iDeCoは、次の手順で始めます。

1.加入条件を満たしているか確認する
2.金融機関を選ぶ
3.掛金額を決めて運用商品を選ぶ
4.加入申し込みをする

詳しい始め方については、以下の記事をご確認ください。

「4ステップでiDeCoの始め方を理解しよう!申込後の手続きも解説」

iDeCoの掛金額

iDeCoの掛金上限額は、加入している年金の種類などによっても異なります。以下の表でご確認ください。

対象者 上限掛金額
国民年金第1号被保険者 月68,000円(※)
厚生年金被保険者 厚生年金基金等の確定給付型年金に加入している場合 月12,000円
企業型確定拠出年金のみに加入している場合 月20,000円
企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型年金に加入していない場合(公務員と私学共済制度加入者を除く) 月23,000円
公務員、私学共済制度加入者 月12,000円
国民年金第3号被保険者 月23,000円
国民年金に任意加入している被保険者 月68,000円(※)

※国民年金基金の掛金、あるいは国民年金の付加保険料を納付している場合は、それらの掛金・付加保険料を68,000円から控除した額が、iDeCoの上限掛金額になります。

参考:国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」

個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット

iDeCoを始めることには多くのメリットがあります。主なメリットとしては、次の5点が挙げられます。

●掛金を全額所得控除にできる
●運用によって生じた利益は全額非課税
●受け取り時も控除制度が適用される
●老後に備えられる
●運用成績が良ければ、掛金の合計額よりも多くを受け取ることができる

それぞれのメリットについて、わかりやすく解説します。

掛金を全額所得控除にできる

iDeCoの掛金は、全額所得控除として扱えます。例えば、iDeCoの掛金額が年間24万円の場合であれば、課税所得額を24万円分減らすことが可能です。所得税や住民税は課税所得額を基に計算するため、課税所得額を減らすことで所得税も住民税も減らせます。

運用によって生じた利益は全額非課税

iDeCoでは運用商品を決めて運用します。例えば、投資信託で運用する場合であれば、多くの場合、定められた時期に分配金を受け取ることが可能です。

通常であれば、投資信託の分配金に対しては20.315%の税金が課せられるため、実際に受け取れるのは分配金の約80%になってしまいます。しかし、iDeCoは運用商品の利益は非課税となるため、税金が差し引かれずに分配金をそのまま受け取ることが可能です。

受け取り時も控除制度が適用される

iDeCoの運用期間が終了した後、既定の時期になると一時金あるいは年金として、または両方を組み合わせて受け取ることになります。一時金としてまとめて受け取るときは退職所得控除、年金として受け取るときは公的年金等控除が適用されるため、課税所得額を減らすことが可能です。

課税所得額が減れば、課税所得額をベースに計算する所得税や住民税が減り、節税にもつながります。

老後に備えられる

iDeCoは満60~75歳の好きなタイミングで受け取りを開始できます。老後資金としての活用に最適のため、年金額に不安がある方なども加入するといいでしょう。

なお、60歳から受け取るには、60歳になるまでにiDeCoに加入していた期間が10年以上必要です。通算加入者期間が10年に満たない場合は、受給可能となる年齢が繰り下げられる点に注意しましょう。

<加入した年齢が60歳未満>

iDeCoの加入期間 受給開始可能な年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1カ月以上2年未満 65歳

<加入した年齢が60歳以上>
●加入後5年を経過した日以降

運用成績が良ければ、掛金の合計額よりも多くを受け取ることができる

iDeCoは自分で運用商品を選べるタイプの年金です。運用成績が良ければ、掛金の合計額よりも受け取り額が多くなります。

参考:iDeCo公式サイト「2022年の制度改正について」

個人型確定拠出年金(iDeCo)の注意点

iDeCoには注意すべき点もあります。特に次の2点に留意をしておきましょう。

●原則として60歳までは受け取れない
●掛金の合計額よりも受け取り額が減少してしまうことがある

各ポイントを解説し、どのような対策を取れるのか解説します。

原則として60歳までは受け取れない

iDeCoは原則として60歳未満で受け取ることはできず、途中で引き出せません。若いときにiDeCoの運用を始めると、受け取りまでに時間がかかることになるでしょう。逆に言うと、使ってしまう心配がないとも言えます。

無理なくiDeCoを運用するためにも、余裕資金を使うことが大切です。基本的にiDeCoは、老後資金などの60歳以上になってからの資金として運用しましょう。

掛金の合計額よりも受け取り額が減少してしまうこともある

iDeCoの運用商品には、元本保証されている定期預金だけでなく、元本保証されていない投資信託などもあります。元本保証されていない運用商品を選ぶと、運用成績次第では受け取り額が元本を下回る可能性があるでしょう。

また、iDeCoには手数料があるので注意が必要です。加入時には「加入・移換時手数料」、掛金を納付するときには「加入者手数料」がかかります。加入・移換時手数料は最初の1回のみですが、加入者手数料は掛金納付の都度発生する点に注意しましょう。

その他にも、運営管理を行う金融機関に支払う「運営管理手数料」もあります。この手数料は金融機関によって異なるため、加入前に確認し、負担が少ない金融機関を選ぶようにしましょう。

参考:国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」

個人型確定拠出年金(iDeCo)で老後資金を準備しよう

個人型確定拠出年金(iDeCo)は原則として60歳以降に受け取りを開始するため、老後資金の準備に適した年金制度です。また、運用中も節税につなげることができるため、メリットは多いといえるでしょう。

勤めている企業で確定拠出年金制度を導入している場合は、そちらへの加入も検討できます。次の記事では企業型確定拠出年金について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

企業型確定拠出年金とは?3つのメリットもわかりやすく解説

ライター:林 泉
監修者:高橋 尚

監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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