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【広島県】「フルーツで世界の人を幸せにする」 正直に、良心をこめた商品を広島からお届け

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※この記事はJPX「新市場区分特設サイト」上で2022年3月22日に掲載した記事の再掲載です。

アヲハタ株式会社
代表取締役社長 山本範雄

「フルーツで世界の人を幸せにする」
正直に、良心をこめた商品を広島からお届け
―広島県― アヲハタ株式会社

青い旗がたなびくマークのジャムが誕生したのは1936年のこと。トーストのお供といえば「アヲハタ」のジャムを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。ジャムは家庭でも手軽につくることができますし、果物の名産地、海外ブランドと、実はライバルが無限に存在する甘くない世界。そんなジャム業界でトップシェアを誇るアヲハタ株式会社。代表取締役社長の山本範雄さんに、知っているようで知らない「アヲハタ」について伺いました。

果物の産地の真ん中で生産

――御社の創業者の廿日出要之進(はつかで ようのしん)さんと、キユーピー株式会社創始者の中島董一郎さんと出会いから生まれた会社なのですね。

山本社長 廿日出要之進は、キユーピーグループの創始者である中島董一郎が営んでいた中島商店(現株式会社中島董商店)に入社しました。そして、1932年に、中島商店からの全額出資を得て、廿日出が代表となり、ミカン缶詰とオレンジママレードなどのジャム類を製造する株式会社旗道園(きどうえん)を、広島県で創業しました。戦時中にいったん解散したものの、1948年に廿日出が青旗缶詰株式会社を設立し、事業を再開しました。

そのような歴史から、キユーピー株式会社とは兄弟的な関係で、1962年からはキユーピーブランドの調理食品の製造もしています。ジャムの販売も長年、キユーピーに委託していましたが、2014年から自社で販売するようになりました。

「アヲハタ」は、ジャムのブランドとしては認知度が高いのですが、広島にあるアヲハタ株式会社のことももっと皆さんに知っていただきたいと思っています。

――広島が、国産レモンの半分以上、ネーブルオレンジも収穫量全国トップクラスの産地とは知りませんでした。

山本社長 瀬戸内海は柑橘類をはじめとする果物の産地です。廿日出の生家も広島県内の島のミカン農家でした。「良い商品は、良い原料から」と考え、その産地の真ん中に工場をつくりました。

――瀬戸内地域は「日本の地中海」といわれています。瀬戸内の魅力はどういったところでしょうか。

山本社長 温暖で雨が少なく、晴れの日が多い瀬戸内は、柑橘類の産地として知られていますが、なんといっても一番の魅力は、ミカンだけでなく、レモンやハッサク、ネーブルオレンジなど柑橘類のバリエーションが豊かなところです。

当社の創業の商品を、「イチゴジャム」だと思っている方も多いのですが、実は1936年に発売した「オレンジママレード」なんです。ママレードは、ネーブルオレンジや冬橙などの様々な柑橘類をブレンドして作るため、柑橘系の宝庫である瀬戸内は生産地として最も適しているといえますね。

最高の原料と技術力で最大限のおいしさを

――アヲハタといえば「アヲハタ55」。ちょっと変わった名前が印象的ですが、1970年に発売されて以来、半世紀以上も愛され続けている商品ですね。

山本社長 「アヲハタ 55」は、国内で初めて糖度を55度と低めにして、フルーツの風味がより感じられるように仕立てたジャムです。現在ではそのほかにも、果実と果汁で作った「アヲハタ まるごと果実」、カロリーを半分におさえた「アヲハタ カロリーハーフ」、洋酒を加えた「アヲハタ アフタヌーン」など、フルーツのバリエーションも含めて、幅広くラインアップしています。

また、ジャムやフルーツ缶詰で培った技術で、アイスクリームや乳飲料、チルド飲料企業様向けのフルーツ加工品事業も行っています。できるだけ加熱量の少ない製造法で、フルーツの香味を損なうことなく、鮮度を保ったままお届けしています。

――おいしいフルーツがあってこその商品だと思いますが、原料調達はどのようにされているのですか。

山本社長 我々の一番の強みは、原料の調達から加工、販売まで全てを行っている点です。選び抜いた原料を使って商品化するという一気通貫の仕組みは、当社独自の強みです。

柑橘系は国内で調達していますが、全てのフルーツを国産でというのは難しく、イチゴは中国やアメリカ、チリ、ペルーなどから輸入しています。家庭用の商品は季節を問わず製造しますので、我々が求める高品質なフルーツを生産いただけるよう、海外の農家さんと信頼関係を築き、パートナーシップを強化しています。そして、海外産の原料においても産地の近くの工場で、新鮮なフルーツを下処理して冷凍したものを輸入しています。原料を重視する基本的な考えは、創業時から変わっていません。

――「アヲハタ果実研究所」ではどのような研究をされているのでしょうか。

山本社長 「アヲハタ果実研究所」は広島県三次市にあり、イチゴを中心としたフルーツの育種・栽培技術の研究をしています。家庭でジャムを作るときとは違って、わたしたちはいくつかの加工用の品種をブレンドして味づくりをしています。イチゴジャムなら、香りの良い品種や粒残りがある品種、風味のいい品種などをブレンドして味づくりをおこなっています。

創業以来、「いい原料を選ぶこと」を7割、残りの3割は「創意工夫に努めて技術力を高め、加工する」を信条に進化し続けてきました。昨今の気候変動をふまえ、原料を安定調達するための品種改良など、これからは「技術力」をさらに磨いていく必要があるでしょう。品種開発には5年~10年ほどの時間がかかる場合もありますが、これからも長く続ける必要があると考えています。

新しい日常で、新しいおいしさとして食卓へ

――ジャムのほかに、スプレッド類も充実していますね。

山本社長 ジャムを含め、パンをおいしく召し上がっていただける商品を、幅広く提供しています。アヲハタブランドでは「アヲハタ 黒胡麻クリーム」や「アヲハタ ピーナッツクリーム」、またパンに塗って焼くだけで手軽にガーリックトーストなどが楽しめる「ヴェルデ トーストスプレッド」のシリーズもご好評をいただいています。

実は、家庭で朝食をとるという習慣が減ってきて、ジャム市場は少しずつ縮小していました。ところが、2020年からコロナ禍による巣ごもり消費の盛り上がりで、ジャム市場が拡大したのですが、それ以上に伸びているのが「スプレッド」です。

――「新しい日常」が、御社に好影響を与えたということでしょうか。

山本社長 忙しい方々が、家で食事をするようになったのは、当社にとって大きな追い風となりました。朝食をとることはとても大切なことですし、家でとる方が経済的でもあります。「ヴェルデ ガーリックトーストスプレッド」をアヒージョの調味料に活用するなど、SNSの投稿なども通じて商品の使い方の幅も広がっているようです。

当社のホームページでも、商品を活用したおすすめのレシピを多数ご紹介しています。昔から、ママレードをスペアリブや焼肉のタレに足すとコクと照りが出て、香りもよいと活用されてきました。鶏肉にオレンジママレードをまるごと1瓶入れて煮込んでもおいしくなります。料理やデザートで幅広く、さまざまに使っていただけるような情報発信にも力を入れていこうと思っています。

一番大切な人のために

――自治体と協力して食育活動をされるなど、地元でさまざまな社会貢献活動をされていますね。

山本社長 食育活動としては、広島県が小学生を対象に行っている「朝ごはん推進モデル事業」と、広島県教育委員会の学校給食を活用した食育を推進するプロジェクト「ひろしま給食推進プロジェクト」に、ジャムなどの商品を提供する支援をおこなっています。

本社のある広島県竹原市では、本人か保護者が竹原市に居住し、大学に進学される方を対象に、当社からの寄付金をもとにした返済の必要のない奨学金制度「アヲハタ奨学金」が運用されています。社会に貢献できる人材を育成するため、経済的理由によって学ぶことが難しい学生に学ぶ場を提供できる、とても大事な活動だと考えています。

地域への恩返しの活動としては、「アヲハタ ジャムデッキ」の運営もそのひとつです。ジャムに関する情報発信拠点として2012年4月、広島県竹原市のジャム工場の敷地に開設しました。このジャムデッキではジャムづくり体験と、工場見学をしていただけます。ジャムは、同じ材料を使ってつくってもらうのですが、味見をしてみると一人ひとり違った味のジャムができます。年間1万4,000人ほどのお客様がお越しくださる人気スポットで、このような地元を盛り上げる活動は、これからも積極的に行っていきたいですね。

――最後に、これからアヲハタのめざす姿を教えてください。

山本社長 当社の社訓は、「正直を以て宗とすること。信用を重んずること。和を以て尊しとなすこと」です。創業者の「缶詰は中身が見えないからこそ、これを製造する人は正直ものでなければならない」という信念のもとに、「アヲハタ」をつくり上げてきました。これからも、「良心のこもったアヲハタづくり」をしていくために、一番大切な人に食べてもらいたい商品になっているかを常に自問しながら進めていきたいと考えています。

2018年に創業70周年を迎えたことを機に、次の10年に向けた2028年ビジョン「フルーツで世界の人々を幸せにする」を策定しました。当社の選び抜いたフルーツには、世界の人を幸せにする力があります。フルーツの力を限りなく引き出し、「おいしさ」「楽しさ」「やさしさ」をお届けする「フルーツのアヲハタ」として、新たな挑戦を続けていきたいと思います。

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