東証市場再編

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【愛媛県】小型貫流ボイラで国内トップシェア 環境にも配慮したトータルソリューションカンパニー

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※この記事はJPX「新市場区分特設サイト」上で2022年3月30日に掲載した記事の再掲載です。

三浦工業株式会社
取締役常務執行役員 廣井政幸

小型貫流ボイラで国内トップシェア
環境にも配慮した
トータルソリューションカンパニー
―愛媛県― 三浦工業株式会社

「熱・水・環境の分野で、環境に優しい社会、きれいで快適な生活の創造に貢献します」を企業理念に掲げる三浦工業株式会社は、愛媛県松山市に本社を置く、小型貫流ボイラのトップメーカーです。製造販売だけでなく、省エネや高効率化などお客様のエネルギーに関する問題解決を行うトータルソリューションを推進。

独自のボイラ保守契約制度のほか、ボイラを通信とつないでオンラインメンテナンスサービスを提供するなど、徹底した顧客第一主義の姿勢が、リピート率9割という実績につながっています。取締役常務執行役員である廣井政幸さんに現在24の国と地域で展開している海外事業、カーボンニュートラルへの取り組み等について伺いました。

工場全体の高効率化までトータルで提案

――工場全体の高効率化までトータルで提案

廣井常務 ミウラグループは、ボイラ製品、水処理機器、食品機器、メディカル機器、環境機器など様々な製品の販売とメンテナンスをグローバルに展開しています。

なかでも小型貫流ボイラを柱とするボイラ事業は、事業全体の6割を占めており、製造、販売、メンテナンスを一括で提供をしています。小型貫流ボイラは利便性が高く、お客様の事業規模に合わせた活用が可能です。

省エネに特化した商品ラインナップで、ボイラ単体の高効率化、ボイラ室全体の高効率化、さらには工場全体の高効率化までをトータルソリューションとしてご提案しています。

ミウラが提案する「トータルソリューション」とは、ボイラを核として周辺機器をつなぐことにより、お客様の抱える工場全体の問題を解決することを目的としています。

1988年には、AI搭載型のボイラを開発。翌年には、ボイラを通信でつなぎ、オンラインメンテナンスサービスの提供を開始しました。これにより、お客様の工場での運用状況がデータ化でき、故障も事前に把握できるようになりました。データの見える化で、お客様と問題を共有し、課題解決までをトータルでご提案するソリューションを形成しています。

独自のボイラ保守契約制度で安心・安全の運用

――「技術力」「営業販売力」「メンテナンス力」について、具体的に教えてください。

廣井常務 まず、技術面でのこだわりは、自社開発と自社製品です。これは、製品の寿命まで、メンテナンスをしながらお使いいただくことを大前提としているからです。長期間部品供給を続けるためには、やはり自社で部品まで製造する必要があります。そのため、自社開発と自社製品にこだわっているのです。

営業のこだわりは顧客第一主義です。お客様の工場には、営業とともに、営業をサポートする技術部隊がうかがいます。データと現場確認を踏まえ、設備と使い方についてお客様とご一緒に考えながら、適切な製品をご提案する営業スタイルを確立しています。

製品納入後は、日本全国1200名のフィールドエンジニアによるメンテナンスサービスを提供しています。独自のボイラ保守契約制度「ZMP」により、定期点検、維持管理を実施し契約期間中の故障修理を年単位で保証。より安全に、安心してミウラの製品をお使いいただけます。

製品と通信をつなぎ、サプライチェーン排出量に対応

――御社の環境配慮型経営や取り組みについて教えてください。

廣井常務 一昨年、以前から続く、環境推進会議の取り組みを継承する形で、サステナビリティ推進会議をスタートさせました。これまでも環境推進委員会が主体となって、自社工場のエネルギーの有効活用や、廃棄物の削減、リサイクル、水や化学物質への対応等を進めてまいりましたが、組織体系を整え、サステナビリティ推進会議が引き継いだ形です。

サプライチェーン排出量のうちスコープ1、2に関しても、数年かけてデータを把握し、目標数値設定に取り組んでいます。政府の目標に沿った取り組みを取り入れ、5月の開示に向けて準備しているところです。スコープ3に関しても、現在、6万7000台以上の製品と通信がつながっており、ほぼデータが取得できていますので、お客様と一緒に取り組む準備は整っています。

ただ、私どもはエネルギー供給側ではないため、エネルギーを変える対応はできません。ミウラが今できることは、ボイラの燃料のガス比率が上がることへの対応と、熱の有効利用で省エネを図ることです。同時に、水素、アンモニアが燃料として採用されたときに、これに合わせた製品提供できるよう準備をしています。メタネーション含め、どのようなエネルギーであっても対応できる体制を整えているところです。

世界中で遠隔でのメンテナンスサポートを展開

――現在の海外における事業展開状況について教えてください。

廣井常務 現在は24の国と地域で営業、メンテナンス活動を展開しています。海外のグループ会社は17社。工場は8工場です。2021年3月期の海外売上は270億円。ミウラグループ全売上の2割が海外売上となっています。

海外で事業を展開する際の苦労の一つに、各国によって法律が違うということがあります。特に、日本では、小型貫流ボイラは無免許・無検査で使用可能です。しかし、海外では他のボイラと同じ扱いになり、法律面で小型貫流ボイラのメリットはありません。営業活動と並行して、この件に関するロビー活動を進めています。

また、水質も海外と日本では大きく違います。日本は軟水に近く、海外ではほとんどの国が硬水で、硬度成分が高い水になります。硬度成分が高いとボイラ故障の原因になるため、日本以上に水管理が大切になっていきます。海外展開に関しては、自社でメンテナンスができることが第一条件になります。

今後は、海外の多くの国・地域で、日本と同じようなメンテナンスまで含めたビジネスモデルを展開していきます。世界中でIT技術の進化が目覚ましい今なら、ミウラが得意とする遠隔でのメンテナンスサポートができる地域や領域が広がっていくだろうと考えています。

あらゆる領域でのトータルソリューションを提供

――あらゆる領域でのトータルソリューションを提供

廣井常務 ミウラの人づくりの基本となる考え方として、「テクノサービス」があります。テクノとは、顧客に役立つ技術のこと。サービスとは、自分という人間が顧客に愛され信頼されることです。2つを掛け合わせたものが「テクノサービス」になり、技術とサービスどちらも大切にしています。

ミウラは「企業は人なり」を経営マインドの柱として、「人財教育」を進めています。愛媛・松山の本社の敷地の中にある三浦研修所は、通称、リラトレセンターと呼ばれており、そこでは年間400回を超える研修が行われています。リラトレとは、リラリラックス&トレーニングを意味しています。強制的ではなく、自主性を重視し、育つ楽しみを実感できる教育でありたいとの考えのもと、人財教育を行っています。

ジョブローテーション、FA制度、チャレンジシート等の制度を通じて、個人にとっての働きがいや働きやすさが実現できる人事制度の整備にも取り組んでおります。

――今後、より力を入れていきたい分野はなんですか。

廣井常務 社会は、カーボンニュートラルに向けて大きく動くことになります。ミウラも、政府が掲げた目標達成のために、新しい商品やサービスの開発を進めています。同時に、カーボンニュートラルに向けた燃料への対応も進めています。

現在、ボイラで浸透したオンラインメンテナンスサービスを、他の事業領域にも広げていこうとしているところです。自社製品だけでなく、他社製品もつなげることで、遠隔でのエネルギー管理やメンテナンス対応ができるような体制を整えるため、将来的な他社との協業も視野に入れています。あらゆる領域でトータルソリューションのご提供ができるよう、整備してまいります。

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