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【群馬県】創業から受け継ぐのは「社会と環境に調和した技術」。自動車産業の転換をグローバルに支える企業

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※この記事はJPX「新市場区分特設サイト」上で2022年2月15日に掲載した記事の再掲載です。

株式会社ミツバ
代表取締役社長 北田勝義

創業から受け継ぐのは「社会と環境に調和した技術」。
自動車産業の転換をグローバルに支える企業
―群馬県― 株式会社ミツバ

群馬県を中心とした国内6工場をマザー工場と位置づけ、生産ラインも自社開発する車載電装製品メーカー、株式会社ミツバ。磨いた技術を展開し、米州、欧州・アフリカ、アジア、中国の30以上の生産拠点で、「メイド バイ グローバル ミツバ」を合言葉に開発、生産、販売を行っています。創業から70年以上、バイク、自動車の進化を支えてきたものづくりのこだわり、大切にしてきた思想、今後のビジョンについて、代表取締役社長の北田勝義さんにお聞きしました。

製品にも工場にも脈々と受け継がれる「省エネ・省資源」の思想

――手がけている車載電装製品とは、どのようなものなのでしょうか。

北田社長 当社の事業は、バイクや自動車に搭載される電装製品の開発、生産、販売です。電装製品とは、バッテリーで動くもの、と捉えていただければわかりやすいと思いますが、たとえばバイクでは、エンジンを始動させる「スターターモーター」、発電する「ACジェネレーター」、その両機能を併せ持つ「ACGスターター」などが主力製品です。自動車では「ワイパーシステム」、窓の開閉を行う「パワーウインドウモーター」、冷却用のファンモーターなどを生産しています。当社には、バイク用のスターターモーターやACジェネレーター、自動車用のルーフモーターなど、世界トップシェアの製品がいくつかあります。そのほか、バイク用の燃料ポンプモジュール、同じくバイク用のLEDウインカーランプなども手がけています。

――創業からこれまで、どのように業容を拡大してこられたのでしょうか。

北田社長 1946年の創業時の製品は「自転車用発電ランプ」です。そこから社会のモータリゼーションの流れとともに当社も発展していきます。特にホンダさんへの電装製品の納入の歴史は古く、1959年に創業者である本田宗一郎さんが当社にやってきて、ご婦人が乗る小型バイクのスターターモーターを作ってくれとご依頼を受けたことが始まりでした。その後、1986年には初めてアメリカに進出し、1990年代に一気に海外進出を進めています。2000年代には同業他社との提携・統合も行い、グローバルでの競争力を高めてきました。

――基盤となっている技術、強みはどのようなものなのですか。

北田社長 モーターをつくる上で必要な磁気回路など、様々な要素技術を蓄積していることは当社の大きな強みです。また、製品をつくるための生産設備のほとんどを自社開発していることも特徴です。そして、環境への配慮が今のように言われる以前から、当社には省エネ・省資源が思想として流れているのも特徴だと思います。「社会と環境に調和した技術」を理念に掲げ、モーターなどの製品の小型軽量化・高効率化はもちろん、自社の生産ラインでは、電気や圧縮空気などのエネルギーを使わない、「カラクリ改善」なども行っています。

国内でも海外でも、良き市民として地域社会に根ざす

――地元である群馬県とのつながりや地域社会との交流はありますか。

北田社長 当社は創業時から、地域社会をとても大事にしてきた会社です。創業者も歴代の経営者も地域雇用を企業の責任として大事にしてきましたし、群馬県桐生市はもちろん、国内のその他の拠点でも「工場まつり」を開催し、地域の方を工場の中に招き入れてのイベントを行ってきました。

地域社会を大事にする価値観は、海外の拠点でも大切にしており、社員による地域へのボランティア活動などが行われています。ある国の工場では、近隣で暴動が起こった際に、地域の住民がミツバの工場を守ってくれたこともあります。このときには、地域社会とのつながりの大切さを改めて実感しました。

世界各地32拠点で供給体制を整備、信頼を獲得

――海外展開の状況について教えてください。

北田社長 米州に5社、欧州・アフリカに8社、アジアに12社、中国に7社、合計32社の海外グループ企業があり、電装製品のグローバルな供給体制を整備しています。現在、海外売上が約65%です。アメリカや中国のマーケットの規模は大きく、大事にしていきますが、これからの成長マーケットとして注目しているのはインド、東南アジアです。

――世界で製品が受け入れられている理由はどのようなことだとお考えですか。

北田社長 省エネ・省資源の思想での製品開発と、生産ラインの自社開発で腕を磨いてきたことが競争力のいちばんのベースだと思います。そこに静粛性などの性能を上乗せしたり、砂漠から極寒の地まで過酷な環境での使用に耐える耐久性、信頼性も高めてきました。一朝一夕にできるものではなく、材料開発など多くの要素技術によって実現してきたことです。

――世界的に注目度が高いサステナビリティの観点での取り組みを教えてください。

北田社長 地球環境の面では、創立70周年だった2017年に「ミツバ環境ビジョン2046」を策定し、低炭素社会への取り組みを実行してきました。ただ、カーボンニュートラルの前倒しの実現が叫ばれている今、さらに高い目標値を再設定しようと見直しをしています。当社の電装製品の省エネルギー性能も、より競争力としてポジティブに打ち出していきます。

従業員が長く働きやすい環境の整備という観点からは、教育体系にかなりの力を入れています。階層別の教育や、エンジニアのスキルアップの研修を幅広く、個人の選択で受けられるようにしています。また、多様性を大事にすることも伝統です。これは創業者が最初に就職した会社が外資系企業の日本法人で、外国人上司のいる多様性に富んだ風土だったことが、経営の考え方に影響しています。

自動車産業の転換を支える電動化ソリューション企業へ

――自動車産業の転換期と言われています。これからのビジョンをお聞かせください。

北田社長 はい。当社は2030年までのビジョンを策定していますが、そこでまず訴えているのが既存の事業の深掘りです。自動車産業には「CASE」※1と呼ばれる大きなトレンドがありますので、しっかりキャッチアップし、ニーズの先を見据えてやっていきます。バイクや自動車のEV化が進むことは、我々がもともと進化させてきた電装製品がさらに利点を活かせるようになると考えています。また、今後、様々な移動手段がつながるMaaS※2が実現した社会における物流の領域や、ラストワンマイルの移動を支える次世代モビリティなどにも、我々の技術、商品を導入していきたいと考えています。他社との協業による新規市場への挑戦も行い、車載電装製品だけにとどまらない、電動化への幅広いソリューションを事業化して、脱炭素社会の実現に貢献していきたいと思っています。

※1 CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、 Shared&Service(シェアリング)、Electric(電気自動車)の頭文字をつなげ、次世代の車のトレンドを表した造語。

※2 MaaS:Mobility as a Serviceの略。地域住民や旅行者一人一人の移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて、検索・予約・決済等を一括で行うサービス。

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