~長期計画で資産形成を狙う~
連続増配に注目したアメリカ株への投資
提供元:岡三証券
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今回は、「連続増配に注目したアメリカ株への投資」について考えます。
日本でも様々なモノの値段が上がっていますが、その一方で、賃金の増加は実感しにくい状況が続いています。こうした状況下、「資産に働いてもらう」という考え方が注目されています。給料などによる収入とは別に、株式や債券、投資信託などの金融資産や不動産などを保有することで、配当や利子、賃料などによるプラスの収入を得ようというものです。
ここではアメリカ企業、特に連続増配企業(毎年、配当を増額している企業)に投資をして配当を得る方法を考えます。株式投資では株価の上昇で利益を得るという戦略もありますが、手間をあまりかけずに安定的に長期的な収入を狙うのならば長期保有による配当取り重視の戦略も重要です。アメリカの連続増配企業への投資は、長期的に資産形成を行う上でも有効だと考えます。
オイルショックやリーマンショックの時も、変わらず増配を続けてきた企業に注目
アメリカ株に注目する理由は、アメリカではかなり以前から株主重視の企業経営が行われてきたからです。そして配当は重要な株主還元策です。そのため、アメリカ企業の中には、数十年間に渡り配当金の増額(増配)を継続している企業が少なくありません。
例えば1970年代半ばから増配を継続している企業となると、1980年前後の第2次オイルショック時とそれに伴う米国経済のスタグフレーション(高インフレ下の景気後退)や、2001年辺りのITバブルの崩壊時、2008年のリーマンショック(世界的な金融危機)、そして2020年からの新型コロナ禍の下でも一貫して変わらずに増配を続けていたことになります。もちろん、過去の増配実績は将来の増配を約束するものではありません。ただ、数十年間という長期に渡って増配を継続していることは、その企業の競争力や企業理念に対する一定の信頼感につながると言えるでしょう。
手間をかけずにチェックを行う
そうは言っても、その企業にこの先も増配を継続する力があるかどうかのチェックは必要です。その時に注目するのが営業キャッシュフロー(以下、営業CF)です。
営業CFは、企業が営業活動においてどの程度現金を稼いだのか(もしくは稼ぐことが出来なかったのか)を示す指標です。売上高に対する営業CFの比率が高いほど、「効率的に現金を稼いでいる」ことを示しています。ROAなどの資本効率性指標と共に、営業CFの動向は「増配を継続する力」を考える上で重要なポイントです。アメリカの連続増配企業の中で、長期的に見て営業CFなどから注目される企業には「コカ・コーラ」、「ジョンソン・エンド・ジョンソン」、「マクドナルド」などがあります。世界中で製品・サービスを提供している企業であり、高いブランド価値を有していることが特徴です。
日本企業の中にも連続増配企業は存在しますが、世界市場での存在感やブランド価値、資本効率や現金を稼ぐ力などを考慮すると、アメリカの連続増配企業の方が魅力的だと言えます。
毎年特定の日(誕生日など)に投資を検討してみては
連続増配企業への投資であっても株式投資では、株価は上がったり下がったりします。また、アメリカ株投資においては、為替相場の動きにも注意が必要です。さらに、営業CFなどを確認したとしても、将来も増配が続くと確定している訳ではありません。
他方、アメリカ株を1株単位で購入出来るのならば、アメリカ株の多くは数万円程度から投資が可能です。複数のアメリカ企業に分散して投資を行う、または投資するタイミングをずらすことでリスク低減を図ることも比較的容易です。配当金を再投資していけば、投資効率も向上することになります。
連続増配のアメリカ企業へ投資を行うことは、長期的な資産形成を進める上で有効と考えます。毎日株価を気にするのは面倒というのならば、時々前述したチェックを行いながら、毎年特定の日(子供の誕生日など)に連続増配のアメリカ企業への投資を検討してみるのはいかがでしょうか。
図表1:連続増配のアメリカ企業への投資
(岡三証券株式会社 投資情報部 マーケット情報グループ 嶋野 徹)
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