申請しないともらえない!
「企業年金もらい忘れ」は意外に多い!
提供元:Mocha(モカ)
人生100年時代と言われる中、老後の年金は少しでも多くもらいたいもの。ですが、企業年金に関しては、もらい忘れてしまっている人が実は多く存在するといわれています。
今回は、この企業年金の制度の仕組みの概要と、あなたが企業年金をもらい忘れている可能性がないかを確認できる診断フローチャートをご紹介いたします。
「もらえるはずの年金をもらっていない」人は意外と多い
解散した厚生年金基金の原資などを引き継いでいる企業年金連合会の報告によると、2022年3月末時点で企業年金の未請求者が111.7万人にものぼるそうです。
●企業年金の未請求者
100万人を超える多くの人たちが年金を請求しない原因はいったい何でしょうか。
内訳をみると、「請求書不達者」という項目が目立ちます。企業年金の受給年齢が近づくと企業年金連合会から年金受給のご案内とともに年金支払いの請求書が送られることになっているのですが、それが本人に届かず、郵便物が企業年金に戻ってきてしまったケースが請求書不達者です。請求書不達者の数は、未請求者のうち半数以上、なんと65.2万人にも上っています。
請求書不達者になる理由は、「何年も前に引っ越しをした」「結婚して姓が変わっている」「過去に転職を繰り返した」「すでに亡くなっている」などが考えられます。こういった事実を企業年金連合会が把握できていなければ、年金の請求書を確実に本人に届けることは難しくなってしまいます。
もうひとつの原因は、年金の請求書は届いている(郵便物は企業年金連合会に戻ってきていない)ものの、年金を請求してこないという「請求保留者」です。46.6万人存在します。
企業年金のもらい忘れはなぜ多い?
企業年金のもらい忘れが多い理由のひとつに、企業年金の制度の複雑さが挙げられます。
企業年金は、従業員が退職後、豊かな生活を送れるようにすることを目的として企業が各自で設ける私的年金のひとつです。
ひとくちに企業年金といってもさまざま種類があります。一昔前には、福利厚生のひとつとして厚生年金基金や確定給付企業年金等の会社が管理・運営をする制度が全盛の時代がありました。
厚生年金基金とは、かつて多くの企業によって実施されていた企業年金のひとつで、国の厚生年金の一部を国に代わって給付し、さらに独自の上乗せ給付を行う制度です。しかし、法改正や超低金利時代の運用難を背景に、現在では多くの企業が確定拠出年金へ制度移行しつつあり、ほとんどの厚生年金基金は解散している状況です。
厚生年金基金が解散した場合でも、その時点までの従業員の加入記録は存在します。厚生年金基金の支払いは、企業年金連合会に引き継がれています。
例えば、厚生年金基金の加入者だった方が2014年3月までに加入期間おおむね10年未満で中途退職された場合は、企業年金連合会にその原資と記録が移換され、将来企業年金連合会から年金が支給されることになります。
また、確定給付企業年金に加入していた人も、中途退職時の脱退一時金相当額を企業年金連合会に移換している場合、企業年金連合会が給付を行います。
しかしながら、制度が複雑なため仕組みを理解していない人も多くいます。何十年も前に勤めていた会社の企業年金に自分が加入していたことを忘れてしまうのも無理はありません。
そのため、受給開始可能年齢が近づくと企業年金連合会からご案内の郵送物が送付されることになっているのですが、そもそも企業年金連合会に住所や名前の変更が伝えられていないと、郵送物が届かなくなってしまいます。また、郵送物が届いたとしても、企業年金連合会という普段見慣れない団体からの郵送物であるがためにそのまま放置をしてしまうと、前述の通りせっかくもらえるはずの年金が1円ももらえないということになってしまうのです。
ですから、企業年金がもらえなくて大損することを防ぐには、企業年金連合会に住所変更などの手続きを行うこと、企業年金連合会からの郵送物を確認することが大切です。
昔勤めていた企業が倒産していてももらえる?
企業年金は、過去に勤めていた会社が倒産してしまった場合や、短期間で会社を退職した場合でも、以下のケースに当てはまれば企業年金をもらえる可能性があります。
●年金もらい忘れをフローチャートで確認しよう
フローチャートをたどり、勤めていた会社、または厚生年金基金・企業年金基金に問い合わせましょう。
2014年3月までの加入期間で、おおむね10年未満で中途退職した場合には、厚生年金基金の加入記録を企業年金連合会のホームページで調べることができます。「企業年金連合会の年金記録の確認」からメールをするか、企業年金コールセンター(0570−02−2666 ※受付時間平日午前9時〜午後5時、土日祝祭日・年末年始を除く)へ電話で問い合わせをする方法があります。
問い合わせの際に、氏名・生年月日・住所・年金手帳の基礎年金番号・厚生年金の名称・加入員番号などが確認されます。分かる範囲で準備しておきましょう。厚生年金基金の名称や加入員番号は、厚生年金基金の加入員証に記載されています。もし厚生年金基金の加入員証を紛失していても、申し出れば新しい加入者証の交付を受けることができます。
まとめ
年金は制度が分かりづらいことに加え、「申請主義」といって、自分から請求しないともらえない特徴があります。企業年金連合会から、年金を受け取れる可能性がありそうな方は、もらい忘れがないように早めに確認しておくことをおすすめします。また、まだ現役で働いている人で転職を経験している場合は、前職に企業年金の制度があったかどうかを確認し、住所変更などの必要な手続きを取っておくとよいでしょう。
[執筆:ファイナンシャルプランナー KIWI]
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