「株主優待」の裏側に迫る!

優待獲得に必要な保有期間の条件が廃止に♪

モロゾフの株主優待:100株以上保有で、チョコレートの詰合せなどの自社商品、もしくは優待券がもらえる!

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今や個人投資家から大人気の「株主優待」。株主優待を目的に株式投資をしている人も多いのではないでしょうか。各企業の優待内容は、企業のホームページで確認できると思いますが、優待誕生の背景や開発秘話はなかなか知ることができません。

そこで、人気企業の株主優待担当者にインタビューを敢行!株主優待導入の背景や現在の優待に決まった経緯、裏話までセキララに語っていただきました。

今回は、チョコレート、カスタードプリン、チーズケーキなどで有名な1931年創業の老舗洋菓子メーカー「モロゾフ株式会社」の株主優待です。

聞き手・執筆:優待好きFP 高山 一恵

――では、本日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ、株主優待を導入しようと思ったのですか?

株主優待を導入した理由をお話する前に、当社の創立のお話からさせていただきます。

当社は、1931年8月、神戸のトアロードでチョコレート、キャンディショップを経営していたロシア人のモロゾフ氏と初代社長の葛野友槌の共同経営で、神戸モロゾフ製菓株式会社が創立されました。

現在のモロゾフ神戸本店

その後、1974年9月、大阪証券取引所市場第二部に株式を上場し、1983年8月、東京証券取引所市場第二部に上場しました。上場したことで多くの方に株主になっていただける機会を得ましたので、幅広く株主様に当社を知っていただきたいとの想いから株主優待制度を導入しました。

優待内容は、当社の販売店での商品ご購入の際や、喫茶店でのご飲食の際に、株主様だけの特別価格でご利用いただける株主優待券でした。

株主優待導入当時は積極的に店舗を増やしている時期で、株主様にお客様として販売店や喫茶店に足を運んでいただいて、当社の事業を肌で感じていただきたいということと、様々な商品に触れていただきたいという強い気持ちがありました。

優待券であれば、様々な商品やサービスを試していただき当社の事業を知っていただけるうえに、洋菓子の魅力をたくさんの方に広めることができるのではと考えてのことでした。

――現在の優待内容を拝見しますと、チョコレートの詰合せセットもありますよね。

はい。優待制度導入直後、しばらくは優待券のみを贈呈していましたが、2008年に「長期優遇制度」を導入し、当社の株式を3年以上保有していただいた株主様に対して、優待券とは別に当社のチョコレートを詰め合わせた商品も贈呈するようになりました。当社の高品質なチョコレートをギフトとしてご利用いただく機会も多かったので、優待を通じてあらためて当社の商品をご評価いただき、末永くご愛顧いただきたいという想いがありました。

2019年からは、現在の優待券と当社商品2種類(チョコレートとクッキー)から株主様に選択いただける優待制度に変更しております。

優待券は、税抜1,000円あたり20%割引になる券が20枚綴りになっているものを贈呈しております。

プレミアムチョコレートセレクション(2,000円相当)

――御社が創立された当時は、まだチョコレートは珍しかったのではないですか?

おっしゃるとおりです。1931年の創立当時は日本ではまだチョコレートそのものが珍しかった時代です。「外国のチョコレートにも引けを取らない“本物のおいしさ”をたくさんの人たちに親しんでほしい」という想いからチョコレートを世に送り出しました。

やがて第2次世界大戦がはじまり、チョコレートの原料が手に入らない時期においても、当社は「偽物のチョコレートは作らない」といった方針を貫きました。この方針は現在まで引き継がれ、品質の良いチョコレート作りを続けています。“本物のおいしさ”をたくさんの人たちに親しんでほしい、という創立当初の想いを引継ぎ、一粒一粒丹念に仕上げたチョコレートを詰め合わせた商品が株主優待品にふさわしいと考え、現在の「プレミアムチョコレートセレクション」に決定いたしました。

――御社のチョコレートは、本当に美味しいですよね!創立当時からの本物にこだわったチョコレート作りを引き継いでいるからこその美味しさなんですね。

ありがとうございます。ちょっと余談になりますが、実は日本で初めてバレンタインデーにチョコレートを贈るという文化を紹介したのは、当社なんですよ。

参考:日本のバレンタインデーはモロゾフから始まりました

――そうなんですか!?バレンタインデーは、お菓子メーカー全体で盛り上げているイベントかと思っていました(笑)。

「欧米では、2月14日に愛する人に贈りものをする」という習慣を米国人の友人から聞き知った創業者がこの素晴らしい贈り物文化を日本でも広めたいと考えました。

そこで当社では、創立の翌年の1932年からバレンタインデーにはチョコレートを贈るというスタイルを紹介しています。

――1932年からですか!バレンタインデーにチョコレートを贈る文化を紹介してから90年になるんですね。

当社が日本で初めてバレンタインデーにチョコレートを贈ることを紹介したということもあり、バレンタインデーには、当社のチョコレートをお買い求めいただくお客様がとても多いですね。

さて、優待に話を戻しますが、先ほど、2019年からチョコレートとクッキーから選べるようになったというお話をしましたが、こちらのクッキーは、1986年の発売以来モロゾフが誇る不朽のロングセラーとして、時代や世代を超えて愛され続けている商品「ファヤージュ」です。

ファヤージュとは、フランス語で「木の葉」。スライスナッツを贅沢にしきつめてパリッと香ばしく焼き上げたクッキーに、バランス良くチョコレートをサンドしました。薄く軽やかな食感と、繊細に重なり合う味わいが魅力です。

チョコレートがちょっと苦手という方は、クッキーを選んでいただくこともできますし、当社の株を3年以上継続保有していただいている株主様は長期優遇制度が適用になりますので、株主優待券、チョコレート、クッキーから2つ選んでいただくことができます。

――御社のお菓子が大好きな株主の方にとって、本当に嬉しい優待ですね。

当社の株主様は、長期で株を保有してくださっているご高齢の方もとても多いんです。

最近、ご高齢の株主様がお亡くなりになるケースも増えているのですが、遺言状に「モロゾフの株式だけは売らないように持っておくこと」と書いてくださった方の話を聞いたことがあり、何世代にもわたって保有いただいているケースもありますので、本当にファン株主様は大切にしなくてはと感じています。

――それは、すごく素敵なエピソードですね。そのようなお話を聞くと、優待業務にも力が入ると思いますが、やりがいがある一方で、ご苦労や大変なことはありますか?

当社は全国に販売店舗を展開しており、当社といたしましても、できるだけ多くの各地の皆様にご利用いただけるよう、優待券をご利用いただける店舗を広げたいと考えております。

しかしながら、当社は完全に直営で店舗を運営しているわけではなく、百貨店や駅ビルに店舗を出店させていただいております。当社直営店とは異なり、お得意先である百貨店様の場合には、百貨店様のご方針やご都合、また当社との取引形態によりまして優待による割引が不可能な場合もあり、当社独自の割引が適用される優待券を扱っていただくにあたって、百貨店などのお得意先に制度の趣旨を説明し、ご了解をいただく必要がありました。

――それは大変ですね。ということは、店舗により割引できる店舗とできない店舗があるということですね。

そのとおりです。また、当社の株主様は全国にいらっしゃいますので、お住まいの地域によっては、近隣に店舗がなく優待券をご利用いただけないという方もいらっしゃいます。そこで、優待券をご利用いただけない株主様が不利益とならないよう、2019年より優待券と当社商品から株主様に選択いただける優待制度に変更いたしました。

これにより、「株主優待券」対象店舗がない地域の株主様は、株主優待券の代わりに自社商品を選択できるようになりました。さらに、店舗以外ではインターネットを利用したオンラインショッピングでも株主様だけの特別価格で商品をご購入いただける制度も導入しております。

2022年には、より多くの株主様に当社株式を保有していただきたいとの思いから、それまで続けていた「半年以上保有」の条件を撤廃いたしました。

株主様を対象としたアンケート調査においても、株主優待制度に対して、「非常に良い」「良い」との回答が86.3%を占め、高い評価をいただいております。

――株主の方を大切にされている姿勢が伝わってきますね。個人的には、チョコレートもクッキーも大好きなのですが、ご担当者様の一押しの商品も教えていただけますか?

一番のオススメは「カスタードプリン」です。とても美味しくて大好きな商品です。

カスタードプリンは、1962年に誕生しまして、今年で60周年を迎えます。60周年を記念して、卵にこだわった「濃たまごのカスタードプリン」という新商品を発売しております。通常のカスタードプリンと比較し、卵黄の配合比率を約1.8倍にアップしました。2022年11月末までの期間限定発売なので、ぜひ、お試しいただければと思います。

――濃たまごのカスタードプリン、すごく美味しそうですね!他にはありますか?

私は、新入社員の頃、工場に配属になり、実際にチョコレートを製造していたのですが、チョコレートの中でも「アーモンドグラッセ」がオススメです。

チョコレートは、一つ一つ製造工程が違うのですが、アーモンドグラッセは、特殊な作り方をしていまして、実はとても手間がかかっているんです。そのため、チョコレートの味や香りに加えて、アーモンドの香ばしさなどが絶妙にからみあう、深い味わいになっています。

――チョコレートの中のオススメをお聞きできるのは貴重です。ぜひ、株主の方も優待が届いたら、アーモンドグラッセに注目していただきたいと思います。
それでは最後に株主の方にメッセージをお願いします。

当社は『Be Prime, Be Sweet.』を経営理念として掲げており、スイーツを通して、皆様にわくわくをシェアし、どきどきを楽しめる心豊かな生活を提案していきたいと考えています。

1年に1回、お手元に優待品をお届けしていますが、それをきっかけに、「どの商品を買おうかな」「誰と食べようかな」と想像しながら“わくわく、どきどき”する気持ちを楽しんでいただけると嬉しいです。

「すべてはお客様の笑顔のために」一流をめざし、日々進化することで常に感動をお届けし、皆様の心豊かな生活に貢献できれば幸いです。

――本日は貴重なお話しをいただきましてありがとうございました。

【株主優待のプロフィール(データは2022年7月29日時点)】

1:株主優待券又は自社商品

2:モロゾフオンラインショップでの優待割引

7月末日を基準日として年に1回実施。優待内容は、 2022年度。

年間予想配当金:45円(予定)
最低投資金額:365,000円(100株単位)
優待に必要な投資金額:365,000円(100株より)
※データは2022年7月29日時点

<合わせて読みたい!>
【絵でわかる】株主優待のもらい方

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