配当金とは利益の一部として分配されるお金!仕組みや受け取り方を解説

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配当金とは、企業が得た利益の一部を余剰金として分配するお金のことです。株式を保有しているときに受け取れることがあります。配当金の仕組みや受け取り方、税金について、また、配当金を理解する上で欠かせない配当性向や利回りについても解説します。

配当金とは?

配当金とは企業が得た利益の一部を余剰金として還元することで、その企業の株式を保有しているときに受け取れることがあります。

配当金を還元する場合は、年に1回、あるいは2回の頻度であることが一般的です。配当金は利益の一部であるため、利益が上がっていないときには分配されないことがあります。また、戦略上、利益を設備投資などに充当する必要が生じたときなども、通常よりも配当金額が減ったり分配されなかったりすることがあります。

株式保有で配当金が受け取れることがある

株式を保有しているときに配当金を受け取れることがあります。このように「保有しているだけ」で受け取れる利益をインカムゲインと呼びます。配当金以外にも、「預金をしているだけ」で受け取れる利息や、「部屋を貸しているだけ」で受け取れる家賃収入などはインカムゲインの一種です。

インカムゲインとは異なり、保有しているものを売却することで得られる利益をキャピタルゲインと呼びます。例えば、株式や不動産を売却して得た利益はキャピタルゲインです。次の記事では、キャピタルゲインについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

キャピタルゲインとは?インカムゲインの特徴とあわせて解説

分配金との違い

配当金と似たものとして分配金が挙げられます。分配金とは、投資信託の運用により得られた収益を決算ごとに投資家に分配するお金のことです。

株式の配当金との違いを以下にまとめました。

配当金 分配金
原資 企業の利益 対象投資信託の運用によって得られた収益
提供者 企業 投資信託の運用会社
受取対象者 株主 対象投資信託の購入者

配当金はどの程度受け取れる?

配当金の金額は決まっていないため、企業の方針や利益によっても異なります。
なお、配当金は課税対象のため、以下の計算式で算出された税額が源泉徴収されて支給されます。

●配当所得×20.315%

例えば配当金が10万円であれば、20.315%の税額が源泉徴収されるため、実際に受け取る金額は79,685円になります。

なお、NISAでは配当金は源泉徴収されずに受け取れるので、配当金が10万円であれば受け取る金額も10万円です。NISAについてより詳しくは、次の記事で解説しています。

いまさら聞けないNISA! まるわかり簡単図解

参考:国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」

配当利回りから計算する

過去の配当利回りから、配当金額を予想することができます。配当利回りとは、株価あたりの配当金額の割合のことです。以下の計算式で求められます。

●配当利回り(%)=1株あたりに支払われる配当金の年間合計額÷1株あたり株価×100

例えば、配当利回りが3%、1株あたり株価が2,000円の株式を保有している場合、1株あたり年間60円(2,000円×3%)の配当金を得られることになります。100株保有して入れば6,000円、1,000株保有していれば6万円の配当金です。

ただし、配当利回りが過去の数値どおりであっても、実際に受け取るときには税金が差し引かれるため注意しましょう。

配当利回りは変動する
配当利回りは固定されているわけではありません。しかし、企業ごとに何らかの傾向が見られることもあります。証券会社や企業で公開している情報などを検索して、保有する株式の過去の配当利回りを調べてみましょう。

配当性向から計算する

配当性向から、配当金額を予想することもできます。配当性向とは、決算期あたりの純利益に対する配当金額の割合のことです。以下の計算式で求められます。

●配当性向(%)=1株あたりに支払われる配当金の決算期間合計額÷1株あたりの当期純利益×100

例えば、1株あたりの当期純利益が2,000円で、その決算期に支払われた配当金額が40円だとしましょう。配当性向は2%(40円÷2,000円×100)と計算できます。

配当性向が低い企業とは?
配当性向が低い企業は、内部留保が多いと考えられます。反対に配当性向が高い企業は、株主に対する利益還元率が高いといえるでしょう。

短期的に見れば、配当性向が高いほうが株主にとってメリットがあります。しかし、内部留保した資金を設備投資や販売拡大などに活用すれば、将来的に株価が上がり配当金額も増える可能性があります。過去の配当性向を調べ、企業の傾向を見極めておきましょう。

配当金はいつ・どうやって受け取る?

配当金の受け取り方や受け取り時期について紹介するので、ぜひ参考にしてください。

最初に配当金を受け取る権利があるか確認する

株式にはそれぞれ「権利確定日」が定められています。権利確定日とは配当金を受け取る権利が確定する日のことですが、権利確定日に株式を購入しても配当金を受け取れないので注意が必要です。

権利確定日に配当金を受け取る権利を確定するためには、権利確定日の2営業日前の「権利付き最終日」に株式を保有していることが条件となります。つまり、権利付き最終日までに購入した場合に限り、その時期の配当金を受け取ることが可能です。

配当金を年に2回以上分配する株式では、権利確定日も年に2回以上あります。また、権利付き最終日前には配当金狙いで株式を購入する投資家もいるため、その分株価が上がる傾向にあります。

配当金の受け取り時期

配当金は権利確定日から数ヵ月後に支払われることが一般的です。企業のホームページなどで配当金の支給時期を確認しておきましょう。例えば、3月末決算であれば6月末ごろに株主総会が開かれ、7月上旬に配当金の支給が実施されることがあります。

配当金の受け取り方

配当金の受け取り方には、次の2つの方法があります。

・自動受け取り

・窓口受け取り

配当金の受け取り方は、株主自身が選択できることが一般的です。それぞれの方法のメリットや注意点を紹介するので、ご自身に合う受け取り方を選びましょう。

自動受け取り
自動受け取りとは、株式を保有している証券会社の口座に配当金が直接振り込まれることです。株主は特に手続きをする必要がないため、受け取り忘れがないというメリットがあります。受取方法を「株式数比例配分方式」に設定していることで自動受け取りとすることができます。

また、NISA口座で非課税枠内の投資をしている場合であれば、配当金も非課税になります。ただし、NISA口座で運用していても、窓口受け取りに指定すると配当金が課税対象になるので注意しましょう。

参考:日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」

窓口受け取り
窓口受け取りとは、配当金を郵便局や銀行などの窓口で受け取ることです。配当金を現金で受け取れるため、株主としての実感を得やすいというメリットがあります。

ただし、受け取り手続きをし忘れる可能性があるため注意が必要です。

株式投資は配当金にも注目しよう

株式投資によって利益を得る方法は、株価が値上がりしたときに売却することだけではありません。配当金に注目すれば、こまめに株価をチェックできない方も株式投資を行うことができます。

配当金の分配方針は企業によって異なるため、過去の配当利回りや配当性向から傾向を探ってみましょう。受け取りが保証されているものではありませんが、長期的な投資を目指す方は検討してみたい投資方法の一つといえます。

ライター:林 泉
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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