投資信託のトレンドが分かる!
2022年4月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2022年4月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「流入額が全体的に減少」
資金流入では、外国株式が約2,960億円の流入超で、前月(約4,900億円)から2,000億円近く減少した。一方、国内株式は約740億円の流入超と、前月(約230億円)から500億円以上増加した。
資金流出では、エマージング株式、エマージング債券、ハイイールド債券の流出額が増加した。不動産投信は前月2,090億円の流入超から一転して、当月は約1,690億円の流出超となった。
個別ファンドでは、「アライアンスB・米国成長株投信 D」(アライアンス)(約630億円)が資金流入で1位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際)(約460億円)、3位は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ国際)(約270億円)と続いた。
主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「外国債券、REIT、エマージング債券が小幅なプラス」
4月の金融市場は、全体的にリスクオフの展開となった。米国の金融引き締め加速化やロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中国の景気減速懸念といった海外の不安材料から市場心理が悪化し、株価や債券価格は下落した。
株式市場は、概ね軟調に推移した。FRB高官らによる5月FOMCでの大幅利上げや保有資産圧縮に対するタカ派な発言を受けて米長期金利が上昇した他、ウクライナ侵攻やロシアへの経済制裁の長期化、中国ゼロコロナ政策下での主要都市閉鎖を受けた景気減速等への警戒感から、株価は下落した。
債券市場は、金利が上昇(債券価格は下落)した。米10年国債利回りが節目の3%に迫る2.9%台まで上昇する中、日本10年国債利回りも一時0.25%台をつけるも、日銀は連日の指し値オペを実施し、金利上昇を抑制する金融緩和姿勢を堅持した。
為替市場は、円安が進行した。米ドル・円は、日米金融政策の方向性の違いが意識され、日米金利差が拡大するにつれ大幅に上昇し、2002年4月以来となる130円台をつけた。ユーロ・円は、前月末比で小幅に上昇した。円売り優勢の中、ECBの利上げ期待によるユーロ上昇も伴い、一時2015年6月以来となる140円をつける場面があったが、その後はリスクオフの流れを受けて反落した。
これらを背景に、当月のリターンは、外国債券、REIT、エマージング債券が小幅なプラスとなった。金利上昇を受け債券価格等が下落したものの、主に国内外の金融政策の違いから米欧と国内の金利差が拡大し、円安が一段と進行したことが評価額の上昇に寄与した。
一方、外国株式、エマージング株式、国内株式などは、前月プラスから一転してマイナスとなった。ウクライナ情勢の更なる悪化・長期化への懸念からエネルギーや穀物等の資源供給不安がより顕在化したこと、ロシアへの経済制裁を背景とした企業活動の見直し、燃料価格などの上昇に伴う消費者マインドの悪化などが影響した。
パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定本数、設定額ともに減少」
当月の新規設定本数は20本、設定額は約250億円となった。前月対比で設定本数は9本減少、設定額は約580億円減少した。
新規設定ファンドのうち、当月末時点の純資産残高が最大となったファンドは、「クライメート・ソリューション・ファンド」(三井住友DS)であった。当ファンドは、気候変動問題に対応するための革新的なソリューションの提供、イノベーションへの貢献、あるいはそれらの取組みの推進等を行うことが期待される企業を投資対象とする。
新規設定金額、設定本数の推移
最後に、4月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)