IPOとは新規株式公開のこと!投資するメリットや注意点を解説
IPO (Initial Public Offering)とは新たに証券取引所へ上場する株式のことで、新規株式公開とも呼ばれます。上場後に株価が上昇することも多く、投資対象としての魅力の一つとなっています。IPOとは何か、どのようなメリットや注意点があるのかについて詳しく見ていきましょう。
IPOとはなにか?簡単に解説
IPOとは新規に証券取引所に上場することで、「アイピーオー」や「新規株式公開」と呼ばれます。IPO株には既存株主が保有している株式や新規に発行する株式が含まれますが、いずれも証券会社を通じて投資家に配分され、上場後には市場で自由に売買されます。
POとの違い
PO(Public Offering)とは、すでに上場している企業が新たに発行する株式や発行済み株式を投資家に配分することで、「ピーオー」や「公募・売出」と呼びます。
IPOは未上場企業が株式を販売する行為であるのに対し、POはすでに上場している企業による株式の販売です。また、その他にも次の違いがあります。
●割引率を選択できる
●決定した割引率以下の割引率を提示した場合のみ購入できる
●株式購入のスケジュールが繰り上げられることがある
POの購入に申込むときは、株価からどの程度の割引率であれば購入するのか、いくつかの選択肢から選ぶことができます。その後、正式な割引率が決まりますが、最初に提示した割引率が正式に決まった割引率以下のときのみPOの購入が可能です。
また、事前に購入申込みなどのスケジュールを定めた状態で売り出されますが、いずれの日程も最長期間を指しているので、スケジュールが繰り上げられる可能性があります。POに申込むときはこまめに証券会社の案内を確認し、正確なスケジュールを把握しておくようにしましょう。
IPOを使った投資の手順
IPO株は短期間で株価が上昇することもあるため、投資対象としても注目されています。以下の手順で投資を進めていきましょう。
1.ブックビルディングに申込む
2.購入手続きをする
3.上場後に売却する
IPO株の買い方は通常の株式とは異なります。以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
IPO株の買い方を理解しよう!4ステップに分けてわかりやすく解説
1.ブックビルディングに申込む
IPO株を購入するときはブックビルディングに申込み、購入の意思を示すことが必要です。ブックビルディングとはIPO株の需要予測を目的とした制度で、購入希望者が多いのか、また、購入希望者がどの程度の株数や公開価格を希望しているのかを調べ、適切な公開価格を割り出すために行われます。
なお、ブックビルディングに申込むときは、IPOを取り扱う証券会社の口座が必要です。IPOによって販売する証券会社が異なるので、過去の取り扱い実績も参考にいくつかの証券会社で口座を開設しておくといいでしょう。
参考:日本証券業協会「金融・証券用語集 ブックビルディング方式(ぶっくびるでぃんぐほうしき)」
2.購入手続きをする
IPO株の申込者が多数のときは抽選により購入者が決まります。ブックビルディングに申込んだ投資家の中から抽選を実施し、当選すると購入手続きに進めるようになります。
なお、抽選のルールは証券会社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
3.上場後に売却する
上場後は、自由に当該株式を売却できるようになります。必ずしもすぐに売却する必要はないので、株価の動向をチェックしておきましょう。配当利回りが高い場合や株価が順調に伸びている場合は、長期間保有することも検討しましょう。
IPO投資のメリット
IPOを用いた投資には、次のメリットがあります。
●取引手数料が無料
●短期間で株価が上昇することがある
●割安な公開価格で購入できることがある
それぞれのメリットについて解説します。
取引手数料が無料
通常、株式を購入するときには証券会社に手数料を支払います。しかし、IPOの購入に関しては、どの証券会社であっても別途手数料を請求されることは通常ありません。
短期間で株価が上昇することがある
IPO株は上場後短期間で株価が上昇することがあります。特にブックビルディングのときから人気が高く抽選倍率が高かった銘柄であれば、購入したいのに抽選に外れて購入できない投資家も多いと考えられるため、株価が上昇しやすいといえるでしょう。
短期間で株価が上昇することが多いということは、上場後すぐに売却しても利益を得やすいということを意味します。例えば2021年のIPOでは、初値(上場後初めてついた株価)が公開価格(IPO株の販売価格)の4倍以上になった銘柄もありました。
株式投資で利益を得たいけれど売買のタイミングを取りづらいと感じている投資初心者も、上場後すぐに株価が上昇することが多いIPOは挑戦しやすいでしょう。次の記事では、株投資初心者が知っておきたいポイントをまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。
割安な公開価格で購入できることがある
すでに上場している株式の場合であれば、多くの投資家が日々売買をしているため、実際の価値に見合った株価になりやすいと考えられます。しかし、IPO株は市場に出る前に公開価格が決められるため、実際の価値が反映されにくく、割安な公開価格で販売されることも少なくありません。株式を割安な公開価格で購入したい投資家も、IPOに注目するといいでしょう。
また、割安な公開価格で販売されているということは、長期的にはさらに株価が上昇する可能性があると見ることもできます。事業内容やビジネスモデルなどもよく調べたうえで、長期保有する資産としてもIPO株の購入を検討するといいでしょう。
IPO投資の注意点
IPOを投資に活用するときは、次のポイントに注意しましょう。
●初値が公開価格より低いこともある
●抽選に当たらないこともある
それぞれのポイントについて解説します。
初値が公開価格より低いこともある
IPO株は割安な公開価格で販売されることが多いため、初値は公開価格よりも高くなりやすい傾向にあります。しかし、すべてのIPO株の初値が高くなるわけではなく、公開価格よりも低い株価がつくこともあります。
IPO株を購入したときは、無条件で上場直後に売却するのではなく、初値や値動きをしっかりと確認してから売却することが大切です。また、初値が公開価格よりも高くなった場合も、企業の成長が期待できるときなどはすぐに売却するのではなく、長期的な視野に立って売却時期を決めるようにしましょう。
抽選に当たらないこともある
IPO株を購入するためには、ブックビルディングに申込む必要があります。ブックビルディングの期間は短いので、こまめに証券会社のホームページなどからIPOの情報を入手し、時期を逃さないようにしましょう。
また、ブックビルディングに申し込んだとしても、必ず購入できるわけではありません。購入希望者が多いときは、抽選によって購入権が割り振られますが、人気のIPO株は当選倍率が数百倍になることもあります。
大型のIPO株は複数の証券会社で販売されるので、当選確率を高めたい方は複数の証券口座からブックビルディングに申込むことも検討してみましょう。IPOの取り扱い件数が多い証券会社で口座を開設しておくと、ブックビルディングに慌てずに対応できます。
IPOに注目してみよう
IPO株は上場後すぐに株価が高くなることもあるため、他の株式と比べて短期間で利益を獲得しやすい投資方法といえます。しかし、すべてのIPO株が上場後に株価上昇するわけではないため、企業の事業内容やビジネスモデル、実績などを詳しく調べてからブックビルディングに申し込むかどうかを決めるようにしましょう。
ライター:林 泉
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。