今さら聞けない!一生役立つ投資信託のツボ:篠田尚子
資産所得倍増プランの柱:NISAは今後どう変わる?
提供元:楽天証券(トウシル)
NISA拡充は、資産所得倍増プランの柱
今年6月、本連載「今さら聞けない!一生役立つ投資信託のツボ」の番外編として、岸田文雄内閣が年内の策定を目指す「資産所得倍増プラン」について2回にわたって取り上げたところ、大きな反響をいただきました。
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日頃からトウシルをお読みいただいている方は特に、プランの柱の一つであるNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の拡充について、その行方が気になっていたのではないでしょうか。
このたび金融庁は、2023年度の税制改正で、制度の恒久化を含むNISA制度の抜本的な拡充について要望する方針を固めたもようです。NISA制度の拡充については、去る7月20日に日本証券業協会も提言を発表しています。そこで今回は、各種報道から見えてきた今後の方向性を以下の四つのポイントに分けて解説します。
1.制度の恒久化
2.年間投資枠(非課税限度額)の拡大
3.つみたてNISAの対象年齢拡大
4.「成長投資枠(仮称)」の新設
なお、現時点でこれらのポイントはまだ「方針」や「案」の段階です。筆者なりの解釈も含まれていますので、その点についてはお含みおきください。
1.制度の恒久化
ここでいう「恒久化」には二つの観点が含まれています。一つは、租税特別措置として時限的に導入されたNISAという制度自体を恒久化するというもの。
NISAは長期の資産形成を後押しする制度として浸透しつつありますが、実は、制度自体は「期間限定」のものとしてスタートしました。このため、口座を開設する時期によっては、非課税枠に差が出てしまう可能性が指摘されてきました。
もう一つは、非課税期間の恒久化です。現状、一般NISAでは、5年の非課税期間終了後に非課税期間を延長するには、翌年の枠を使用し、資産を移し替える「ロールオーバー」と呼ばれる手続きが必要になります。非課税期間自体を恒久化すれば、こうした煩雑な手続きをしなくても済むようになります。
いずれの点にも共通しているのは、NISAをより分かりやすく、利便性の高いシンプルな制度に刷新するということです。
2.年間投資枠(非課税限度額)の拡大
現状、つみたてNISAの年間投資枠は40万円で、非課税限度額は800万円(40万円×20年)です。同様に、一般NISAの年間投資枠は120万円で、非課税限度額は600万円(120万円×5年)です。
これを、本家英国のISA(アイサ、年間2万ポンド=約320万円)並みの水準に引き上げるべきという声は以前からあり、日本証券業協会が7月に発表した提言でも同様の要望が盛り込まれました。
日本証券業協会の提言では、一般NISAの年間投資枠を120万円から240万円に、つみたてNISAを40万円から60万円に引き上げ、さらに、二つの制度を併用可能とし、年間投資枠の合計を300万円とする案が示されています。
3.つみたてNISAの対象年齢拡大
現状、つみたてNISAの対象年齢は20歳(2023年1月1日以降は18歳)以上ですが、ジュニアNISAが2023年末に廃止されることを受け、この年齢を未成年者まで拡大するという案も検討されています。
筆者の個人的な見解として、資産継承や投資教育の観点でも、現行のつみたてNISAの基本的な仕組みはそのままに、対象年齢を未成年に拡大することは賛成です。
4.「成長投資枠(仮称)」の新設
先述した、一般NISAとつみたてNISAを併用可能とする案の流れで、つみたてNISAとの併用を前提とした「成長投資枠(仮称)」の新設も検討されています。現行のつみたてNISAは投資対象が一部の投資信託に限定されていますが、「成長投資枠(仮称)」は株式にも投資できるようにするということです。
「成長投資枠(仮称)」と聞いて、2024年からの開始が予定されている「新NISA」と何が違うのか、あるいは、「新NISA」はどうなるのかと疑問に思われた方もいると思います。
今回の金融庁方針の「成長投資枠(仮称)」と「新NISA」は、それぞれ異なる背景から出てきた案です。現時点ではどちらの案が採用されるかなど、詳しいことはまだ分かりませんが、少なくとも「投資信託による積み立て」という土台部分は確実に残るものとみられます。
本連載では、今後も「資産所得倍増プラン」や、新しいNISA制度について情報を適宜更新し、お届けしていきます。
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