金投資は投資信託でもできる!メリットや選び方を紹介
インフレ対策として有効な金投資は、現物投資だけでなく投資信託でもできます。投資信託でおこなう主なメリットは、保管コストや盗難リスクを軽減できる点です。
本記事では、金投資を投資信託でおこなう場合のメリットや注意点について詳しく解説します。
金投資の特徴とは
金投資とは、古くから世界中で重宝されてきた「金(ゴールド)」という物質に対して投資をすることです。金投資の特徴として、主に以下の3つが挙げられます。
●世界共通の資産のため換金しやすい
●インフレ対策になる
●現物・積立・投資信託・ETFで投資できる
金投資をはじめる前に、それぞれの特徴を詳しく確認しておきましょう。
世界共通の資産のため換金しやすい
「金」は、世界共通で価値を認められており、ニューヨークやロンドンなど世界の各市場で活発な取引がおこなわれています。そのため、売却を検討したタイミングで換金しやすい点が特徴です。
また、希少性が高く腐食しない点や、宝飾品やハイテク産業用資源として活用されている点から、幅広い分野で需要のある資産と言えるでしょう。
インフレ対策になる
「金」は、預金・証券・債券のように信用が価値の裏付けとなる「ペーパー資産」ではなく、それ自体に価値が認められる「実物資産」のひとつです。そのため、貨幣価値が下落する局面でも、金価格に影響しにくい傾向があり、一般的にインフレ対策として有効とされています。
また、金融危機や国際紛争などの混乱が生じた際、一般的に「金」の人気が高まり価格は上昇する傾向にあることから、「有事の金」とも表現されています。
現物・積立・投資信託・ETFで投資できる
金投資は、現物・積立・投資信託・ETFといった手段を通じて可能です。現物投資の場合、他の3つと異なり、金貨や金地金(金塊)を購入して自分の手元で保有します。
純金積立は、金属メーカーや証券会社などに申し込み、定期的に定額もしくは定量の「金」を購入することです。購入した分は、「金」の現物に交換できる場合があります。
投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家が投資・運用し、運用成果分を各投資家の投資額に応じて分配する仕組みの金融商品のことで、「金」を投資対象とした商品もあります。また、金ETFとは、証券取引所に上場している「金」の投資信託のことです。
本記事では、金投資を投資信託でおこなうケースを中心に取り上げていきます。
金投資を投資信託でおこなう2つのメリット
現物投資ではなく、あえて投資信託を通じて金投資するのは、いくつかメリットが期待できるためです。金投資を投資信託でおこなうメリットとして、主に以下のメリットが挙げられます。
1.保管コストや盗難リスクを軽減できる
2.比較的少額から投資できる
各メリットを確認していきましょう。
なお、投資信託そのもののメリットについては、以下の記事を参考にしてください。
「投資信託の初心者が知っておきたい基礎知識!仕組みやメリット、リスクを解説」
1.保管コストや盗難リスクを軽減できる
現物投資では、金融機関や事業者に「金」を保管してもらう際に保管コストがかかり、自宅で保管する場合も盗難リスクがあります。その点、金現物に投資したり、金価格に連動したりすることを目指す投資信託だと、金現物の保管コストや盗難リスクを軽減できる点がメリットです。
保管の手間・費用や、大切な「金」が盗まれる心配をしたくないという方に向いています。
2.比較的少額から投資できる
一般的に現物投資では、「金」を購入するにあたって最低でも数千円から数万円かかります。証券会社や商品によっても異なりますが、投資信託であれば数百円から数千円で購入できるため、現物投資と比べて少額から投資できる点がメリットです。
そのため、元手が少ないけれど金投資をはじめてみたいという方向きといえるでしょう。
金の投資信託における3つの注意点
まず、どの手段を用いようと、金投資には為替相場や社会情勢で価格が変動するリスクもあることを理解しておかなければなりません。また、金投資や投資信託で金投資する場合の注意点として以下の点が挙げられます。
1.インカムゲインを期待できない
2.コストがかかる
3.つみたてNISAを利用できない
金投資をはじめる前に、3つの注意点を把握しておきましょう。
1.インカムゲインを期待できない
一般的な投資では、保有した資産を売却することで得られるキャピタルゲインと、資産を保有している間に得られるインカムゲインを狙えます。しかし、金はそれ自体が金銭を生み出す資産ではないため、投資手法(投資信託・現物)によらず、 「金」に投資する金投資は、一般的にインカムゲインを期待できません。
なお、不動産投資では家賃収入、株式投資では配当金、債券投資では利息、多くの投資信託では分配金といったインカムゲインを期待できます。
2.コストがかかる
現物投資では、「金」の保管コストがかかります。金投資の投資信託では保管コストはかかりませんが、各種手数料が発生する点に注意が必要です。
投資信託の手数料には、購入する際にかかる販売手数料、換金(解約)する際に発生する信託財産留保額などがあります。また、保有期間中に運用会社等へ支払うため信託財産の中から一定額差し引かれる信託報酬も手数料の一種です。
3.つみたてNISAを利用できない
投資信託を毎月一定額購入して積み立てていく場合、非課税制度の一種であるつみたてNISAを利用できることがあります。つみたてNISAの対象は、金融庁の定めた基準をクリアした公募投資信託と上場投資信託(ETF)に限られており、金の投資信託では利用できません。
上場株式や投資信託など幅広い商品が対象となる一般NISAであれば、金関連の投資信託でも非課税枠を利用できます。一般NISAの場合、積立投資に限らず商品を一括購入することも可能です。
金の投資信託を選ぶ際のポイントは3つ
さまざまな金融機関で、金の投資信託を取り扱っています。その中から、商品を選ぶ際のポイントは、主に以下のとおりです。
1.為替ヘッジ「あり」か「なし」か決めておく
2.手数料をチェックする
3.純資産額を確認する
3つのポイントを確認していきましょう。
1.為替ヘッジ「あり」か「なし」か決めておく
為替ヘッジとは、為替を利用した取引をおこなう際に、円高・円安といった為替変動で損益が発生することを回避(ヘッジ)する仕組みです。一般的に、金取引は米ドルの影響を受けるため、為替ヘッジ「あり」にするか、「なし」にするかあらかじめ決めておきましょう。
為替ヘッジを「あり」にしておけば円高による損失を避けられますが、円安になった際の為替利益は期待できません。
2.手数料をチェックする
「金」を対象とした投資信託でも、各商品(ファンド)によって信託報酬というコストが異なります。まずは各商品をチェックし、信託報酬が低いものに注目しましょう。
ただし、各商品で運用方針や内容が異なることはあります。信託報酬だけでなく、自分にあった商品なのかを確認しておくことも大切です。
そのほか、購入時に支払う販売手数料も販売会社によって異なることがあります。
3.純資産額を確認する
純資産(総)額とは、各投資信託のファンドの大きさのことです。純資産額が少なすぎると、今後運用が終了(償還)となる可能性があるため、あらかじめ金額をチェックしておきましょう。
ただし、純資産額のみで将来の償還可能性を予測できるものではありません。そこで、運用会社のホームページから過去にどのような償還事例があるのか確認しておくことも大切です。
投資信託から金投資をはじめよう
一般的に、インフレ対策として有効な金投資を、投資信託ではじめられます。投資信託を通じて金投資をおこなうメリットは、保管コストや盗難リスクを軽減できる点や比較的少額からはじめられる点です。
手数料がかかる点やつみたてNISAでは利用できない点などの注意点を理解した上で、金投資を投資信託ではじめてみましょう。
ライター:Editor HB
監修者:鈴木 靖子(ファイナンシャルプランナー、AFP認定者)
監修者の経歴:
銀行の財務企画や金融機関向けサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わる中、その経験を人々の生活に活かすためFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。フリーランスがお金の知識を持つことの大切さを実感しており、フリーランス向けマネーブログを運営している。