「投資INSIDE‐OUT」

学歴と経済予測精度の関係

提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント

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高学歴になるほど党派的で独断的な傾向に

一般的に選挙において、有権者は高学歴になり知識が増えれば、客観的な判断ができると見られているかもしれません。しかし、米英での研究※では、有権者は高学歴になるほど党派的で独断的になり、議論と反省によって意見を修正する姿勢を失う傾向があると指摘されています。要するに、自身の考えを簡単には修正しないということです。

その理由は、有権者は知性や教養を自らの信念を合理化するための道具としているためと言われています。高学歴で知識や分析力に優れた有権者は、一般的な人が誤りを認めざるを得ないような状況においても、自分の信念を裏付ける情報や合理化する手段をより多く蓄積していると考えられるのです。

※Hannon, M. 「Are Knowledgeable Voters Better Voters?」(2022)

上記のような傾向が見られるのは、エコノミストの世界でも同様かもしれません。日本経済研究センターが毎年行っている経済予測調査(ESPフォーキャスト調査)では、予測精度が優れていた上位5名を表彰していますが、過去17年を通して特に表彰回数が多い上位2名のエコノミストは、経済学部以外の出身です。また上位5名に修士や博士はいません。

もともと、日本の民間エコノミストは学士の割合が高いのですが、近年では海外有名大学などで経済が専門の修士・博士号を取得したエコノミストも増えてきています。それでも、そういったエコノミストが優秀フォーキャスターとしてあまり名を連ねていないということは、自身の持つ見解に囚われてしまい、データに基づき予測を修正・改善する姿勢を失っている可能性があるのかもしれません。

一方、経済指標の数値が当たるエコノミストが優秀であるというほど単純なものでもありません。しかし投資の世界で必要とされているのは、高名なエコノミストの「ご託宣」や「言い訳」ではなく、やはり現実を数字として予測できる能力が重視されると言わざると得ないでしょう。

受賞回数が最多のエコノミストは、経済予測をする上で心がけていることとして、「自分の予測の誤りを認めたくないという心理から、どうしても結論ありきでデータを評価してしまいたくなるが、これは避けなければならない。過去の自分の予測に縛られず、あくまで冷静に、客観的にデータを評価することが大切だと思う。その結果、自分の予測が間違っていたことが分かれば、柔軟に予測を変更することも必要だろう」と述べています。

今後、日本でも様々な学歴のエコノミストが出てくると思われますが、大事なことは、より柔軟に経済を分析・予測する姿勢であると言えそうです。

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(提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント)

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