ETF投資のツボ
国内上場ETFと海外上場ETFの違いとは?
提供元:野村アセットマネジメント
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国内上場/海外上場ETFとは?
ETF(上場投資信託)には、大きく分けて二つの種類があります。主に東京証券取引所に上場している国内上場ETFと、米国や香港・シンガポールなどの海外の取引所に上場している海外上場ETFです。
東京証券取引所には現在約250銘柄のETFが上場されています。また、大手のオンライン証券などでは300銘柄を超える海外上場ETFが取り扱われています。これらはどちらも上場している投資信託であり、取引所においてリアルタイムに市場価格で売買できるというETFの根幹の仕組みには違いがありません。
では、どのような違いがあるのでしょうか?今回は4つのポイントについて解説します。
取引時間と取引通貨
国内上場ETFと海外上場ETFの取引に関する違いは日本株と海外株をイメージするとわかりやすいでしょう。日本株は日本時間に日本円で取引するのに対し、例えば米国株は米国時間(日本時間の深夜)に米ドルで取引するのが一般的です。(国内店頭取引によって日本円で海外株式を取引することもできますが、ここでは現地市場での取引について述べます。)
基本的にETFもこれと同じです。国内上場ETFは日本時間に日本円で取引可能です。これはそのETFが海外の株式や債券に投資するものであっても同様です。そのため、海外の株や債券に実質的に投資する場合でも、投資家自身で外貨を準備する必要はありません。一方で、海外上場ETFは現地時間に現地通貨(米国であれば米ドル)での取引になります。
取扱証券会社と売買手数料
国内上場ETFは、基本的には日本株が取引できる証券会社であればどこでも取引できますが、米国上場ETFは取扱銘柄が証券会社によって異なっています。
基本的に国内上場ETFの売買手数料は国内株と同じですが、海外上場ETFは現地通貨での取引となるので、為替を円から現地通貨に替える必要があります。売買手数料も一般的には国内株のものよりも高い外国株のものが適用されます。
また、証券会社によっては特定のETFの売買手数料を無料にしている場合もあります。詳細は各証券会社のホームページ等で確認するとよいでしょう。
種類と保有コスト
国内上場、海外上場に関わらず、ETFは多様な資産への投資機会を提供しています。よりニッチなテーマなどについては海外上場ETFの方がより多様性があるかもしれません。しかし、その一方で国内上場ETFは、日本株関連については様々なものがそろっていますし、また、日本の投資家向けの投資対象のETF(例えば、日本を除いた先進国の株・債券や、為替を対円でヘッジしたものなど)が多数そろっています。
また、ETFを保有しているときのコストについては、国内上場ETFでは信託報酬(及び開示されている場合はその他コスト)を見るのが一般的ですが、海外上場ETFにおいてはより幅広い概念の経費率を用いるのが通例です。特に米国での価格競争は激しく、保有コストについてはかなり低廉なものになっているケースも多いイメージがあるかと思います。
単純に保有コストだけに着目するのであれば、ホームカントリーの投資対象のETF(国内上場ETFであれば日本の株・債券等、米国上場ETFであれば米国の株・債券等)についてはそれぞれの現地市場に強みがあると理解しておけばいいかと思います。
分配金と課税
国内、海外のどちらに上場しているETFも分配金の支払いがあります。ただし、分配金を受け取る通貨は現地通貨になりますので、国内の場合は円で、海外の場合は海外の現地通貨となるのが一般的です。
また、分配金の受け取り時には海外上場ETFの場合は、外国源泉税が引かれます。この部分の外国税額控除を受けるためには確定申告が必要です。一方で、国内上場ETFで投資対象が外国資産の場合は、2020年からETFの分配金支払い時に分配金にかかる国内源泉所得税から外国税額を自動的に控除してくれるようになり利便性が向上しました。
国内上場ETFと海外上場ETFのどちらかが絶対的に優れていると言うことはできません。残高や流動性、保有コストなどから海外上場ETFのほうが魅力的に見える場合もありますが、日本の投資家向けの商品ラインナップや、円で日本時間に取引できること、分配金の受け取り通貨、税金およびその手続きなどについては国内上場の方が使い勝手がよいといえます。
投資対象、投資期間、取引通貨、取引の利便性、税金、ファンドの特性などを総合的な視点から見たうえで、何を優先するかを決めて、どこに上場しているどのETFを取引するのかを決めるのがよいでしょう。
<国内上場ETFと海外上場ETFの特徴の比較>
(野村アセットマネジメント)