株式投資をしたら会社員も確定申告が必要?口座ごとの違いも説明

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株式投資で得た利益には税金が課せられるため、会社員でも確定申告しなければならないことがあります。また、口座の種類によって扱いが異なる点にも注意が必要です。

本記事では、株式投資で確定申告が必要になるケースを詳しく解説します。

株式投資でかかる税金とは

確定申告は税金に関連する手続きのため、まず株式投資でかかる税金について理解しておきましょう。

そもそも、株式投資で利益を得ると税金がかかります。具体的には、株式を売却した際に発生する売却益(キャピタルゲイン)に対する税金と、配当(インカムゲイン)に対してかかる税金の2種類です。

売却益と配当にかかる税金の概要をそれぞれ解説します。

株式の売却益にかかる税金

株式の売却益にかかる税金は、所得税と住民税、復興特別所得税(2037年12月末まで)です。売却益とは、保有する株式を売却した際の金額から取得にかかった費用を引いた金額を指します。

なお、2037年12月末までは、所得税(15%)と住民税(5%)に加えて復興特別所得税(所得税率×2.1%)も課されるため、株式の売却益にかかる合計税率は20.315%です。

配当(インカムゲイン)にかかる税金

上場株式における配当(インカムゲイン)にかかる税金も、所得税と住民税、復興特別所得税(2037年12月末まで)の3つです。配当とは、会社が得た利益の一部を株主に還元するお金を指します。

株式の売却益と同様に、配当にかかる合計税率は20.315%です。

会社員は確定申告が必要?不要?

本来、大部分の給与所得者(会社員)は、年末調整で納税額が確定するため、確定申告する必要はありません。しかし、株式投資の結果次第では、確定申告しなければならない場面も出てきます。

ここで、確定申告の概要を簡単に説明した上で、「株式投資で確定申告が必要な場合」と「株式投資で確定申告したほうがよい場合」を解説します。

確定申告とは

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と、所得税等の額を計算し、確定させる手続のことです。すでに源泉徴収されている税金などがある場合、確定申告で過不足を精算します。

確定申告が必要な場合、原則として対象年の翌年2月16日から3月15日までに、e-Taxか所轄税務署への送付・持込で申告しなければなりません。

確定申告についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

確定申告は所得や税額を確定する手続き!必要な人と不要な人も解説

株式投資で確定申告が必要な場合

株式投資で以下いずれの条件にも該当する場合、会社員でも確定申告が必要です。

● 1年間に株式投資で利益(株式譲渡益や配当)を出している
● 「一般口座」か「源泉徴収なしの特定口座」を利用している

それに対して、1年間に株式投資で損失を出している場合は、原則として確定申告が不要です。

また、会社員で株式投資での利益が年間20万円以下である等の一定の条件を満たしている場合にも、確定申告は不要となります。

株式投資で確定申告したほうがよい場合

1年間に上場株式を売却した際の損失が、売却益を上回る場合、原則として確定申告の必要がありません。しかし、上場株式は「損益通算」や「繰越控除」ができるため、確定申告した方がよい場合もあります。

上場株式の損益通算とは、売却した際に発生した損失額を利子・配当所得の額と相殺できる制度です。

例えば、年間の損失が100万円で利子・配当所得が10万円の場合を考えてみましょう。損益通算すると年間で90万円(-100万円+10万円)の損失となるため、本来利益が出ている配当についても税金がかからなくなります。

また、上場株式の繰越控除とは、損益通算してもまだ控除しきれない損失額について、翌年以降3年間にわたり上場株式の譲渡所得や配当所得の金額などから控除できる制度です。

特定口座は確定申告不要の場合がある

株式投資の損失がある場合だけでなく、特定口座を選択している場合も、確定申告が不要となることがあります。特定口座とは、一般口座と同じように投資商品を保有する際に用意されている口座のひとつです。

ここから、一般口座と特定口座の違いや、特定口座で確定申告不要になるケースを解説します。

一般口座と特定口座の違い

一般口座は、確定申告に必要な書類をすべて自分で準備しなければならないのに対し、特定口座を選択すると、証券会社が代わりに譲渡損益を計算して「年間取引報告書」を作成してくれる点が主な違いです。

証券口座を開設する段階で、一般口座にするか、特定口座にするか選択しなければなりません。証券会社によって、両方の口座を開設できる場合もあります。

特定口座で源泉徴収「あり」なら原則確定申告は不要

特定口座は、源泉徴収「あり」の口座と源泉徴収「なし」の口座に分類できます。特定口座で源泉徴収「なし」を選んだ場合、原則確定申告が必要であるのに対し、源泉徴収「あり」を選ぶと、証券会社が代わって納付してくれるので、原則として確定申告が不要です。

ただし、特定口座で源泉徴収「あり」にしていても、損益通算や繰越控除を適用するためには、確定申告をしなければなりません。

NISA口座のとき確定申告はどうなる?

株式投資の口座には、一般口座や特定口座以外にNISA口座(非課税口座)も存在します。NISAの概要を説明した後に、確定申告との関係を解説します。

NISAとは

NISAとは、毎年一定金額の範囲内であれば、NISA口座内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。NISAには、一般NISAやつみたてNISAといった種類があります。

一般NISAの非課税期間が5年間に対し、つみたてNISAは20年間です。ただし、株式投資ではつみたてNISAを利用できません。

また、一般口座や特定口座と異なり、保有できるNISA口座の数は1人1口座までです。

NISA口座なら原則確定申告は不要

NISA口座で株式投資すれば、原則として確定申告の必要がありません。理由は、NISA口座なら譲渡益と配当金が非課税になるためです。

ただし、株式投資で損失が出た際に、一般口座や特定口座のように損益通算や繰越控除ができません。各口座によって特徴が異なるため、自分の投資方針にあったものを選択するようにしましょう。

20万円超の利益がある際は要注意

NISA口座を利用していれば、利益が非課税のため株式投資をしても原則確定申告は不要ですが、配当による利益が20万円超の場合に注意が必要です。保有する上場株式の配当による1年間の利益が20万円を超えていて、かつ配当金の受け取り方式を「株式数比例配分方式」以外にしていると、配当所得に課税されるため、配当控除を受けるには確定申告しなければなりません。

上場株式の配当も非課税にするためには、配当金の受け取り方法を「株式数比例配分方式」にしておきましょう。

株式投資の確定申告のやり方

株式投資で利益が出た場合も、やり方は通常の確定申告と基本的には同じです。以下に株式投資の確定申告の流れをまとめました。

1. 必要書類を揃える
2. 確定申告書を作成する
3. 確定申告書を提出する

ここから、確定申告の必要書類や作成方法を解説します。

確定申告の必要書類

会社員が株式投資で確定申告する場合、主に以下の書類を用意しなければなりません。

● 確定申告書
● 給与所得の源泉徴収票(原本)
● 特定口座年間取引報告書
● 各種控除証明に必要な書類(寄附した団体などから交付を受けた寄附金の受領証、住宅借入金等特別控除額の計算明細書など)
● 還付金を受け取る金融機関の口座情報

国税庁のサイトで確定申告書の作成が可能

確定申告書は、国税庁のサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、パソコンやスマートフォンで比較的手軽に作成できます。2022年度分は2023年1月上旬に公開予定です。

また、確定申告書等作成コーナーにて、税務署への提出方法として「e-Taxで提出する」か「印刷して書面提出する」か選択します。e-Taxで処理すれば、税務署訪問や郵送の手間がかからず便利です。

株式投資したら確定申告が必要になる場合がある

普段、年末調整だけで所得税などを精算している会社員でも、株式投資で譲渡益や配当などの利益を得たら、確定申告しなければなりません。ただし、特定口座の源泉徴収ありを選択している場合や、NISA口座で運用している場合は確定申告不要です。

一般口座や特定口座の源泉徴収なしで株式投資し、今年利益が出た方は来年の2月16日から3月15日までに忘れずに確定申告しましょう。

参考:日本証券業協会「株式投資にかかる税金って?」
参考:日本証券業協会「投資をする場合、確定申告って必要?」
参考:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
参考:国税庁「確定申告書等作成コーナー

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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