情報を得るポイントは「自治体のホームページで検索」
リフォーム・住み替え時に使える「補助金」ってどう見つけたらいいの?
物件価格の高騰が続いており、なかなか住宅購入に至らないという人も多いだろう。実は、現在住んでいる住宅をリフォームしたり、住み替えたりする際に、国や自治体から補助金が出ることがある。これを利用すれば、費用を抑えつつ、性能の高い住宅に住めるだろう。
では、その補助金の情報はどのように入手できるのだろうか。家と住宅ローンの専門家・千日太郎さんに、補助金の情報を得るコツを教えてもらった。
国・都道府県・市区町村それぞれに出されている補助金
「リフォームや住み替えに対する補助金は、国から給付されるものだけでなく、自治体ごとに用意しているものもあります。ただ、制度の情報は、国、都道府県、市区町村と、それぞれ別々に公開されているので、なかなか見つけづらいでしょう。国が大々的に行っている制度はGoogleやYahoo!などの検索エンジンでも見つけやすいのですが、自治体が行っている制度は見つけにくいのです」(千日さん・以下同)
ネットで検索すると補助金をまとめたサイトなどが見つかるが、補助金のすべてを網羅しているとは限らない可能性があるという。
「補助金には申請期間があり、自治体ごとにその期間も異なるため、整理するのが難しいのです。補助金を探す方法として特に確実性が高いのは、住んでいる自治体の公式ホームページで調べること。ホームページ内にある検索ウィンドウに『リフォーム 補助金』などのキーワードを入れると、実施している補助制度の情報が出てくるでしょう。ただし、自治体によっては補助金を出していないところもあります。市区町村のホームページで探して出てこない場合は、都道府県のホームページでも探してみましょう」
国や自治体の補助金は、ただリフォームしたり住み替えたりするだけでは出ないことがほとんどとのこと。
「最近は『省エネ』『子育て』などに絡めたリフォームや住み替えの場合に、補助金が出るケースが多い印象です。ただ住みやすくするのではなく、省エネ改修や子育て対応改修を行う、または行われた住宅に住み替えることで、補助金が得られるかもしれません。制度が見つかったら、補助金が出る要件もしっかり確認しましょう」
制度によって要件・補助率・申請期間はさまざま
実際に公開されている制度には、どのようなものがあるのだろうか。
●東京都既存住宅省エネ改修促進事業/東京都
住宅の省エネ診断、省エネ設計、省エネ改修を行う場合に、その費用の一部が補助される制度。省エネ改修は断熱材や複層ガラス、高効率給湯器などの設置を指し、全体改修の場合は省エネ基準またはZEH基準に相当することという要件が設けられている。
補助率は、省エネ診断・設計でそれぞれ費用の3分の2、戸建て住宅の全体改修で費用の23%、マンションの全体改修で費用の3分の1となっている。ちなみに、申請期間は2023年1月20日までの予定。
●令和4年度リノベーション推進事業補助金/福岡県
若年世帯(夫婦の年齢の合計が80歳以下になる世帯)、子育て世帯(18歳未満の子を有するまたは妻が妊娠している世帯)が行う既存住宅の子育て仕様へのリノベーション工事、親世帯との近居・同居のために行うリノベーション工事、「新しい生活様式」に対応するためのリノベーション工事にかかる費用の一部が補助される制度。
「県内の事業者が行う工事費30万円以上の工事」という要件はあるが、子育て対応改修では費用の3分の1(上限25万円)、新しい生活様式対応改修では費用の3分の1(上限15万円)が補助される。申請期間は2023年3月末まで(予算に達し次第終了)。
●堺市スマートハウス化等支援事業/大阪府堺市
太陽光発電システムやV2Hシステム、電気自動車を導入する場合に、その費用の一部が補助される制度。
太陽光発電システムでは上限6万円(戸建て住宅の場合)、V2Hシステムで上限4万円、電気自動車で一律5万円が補助される。補助の対象は2023年1月31日までに導入する機器で、申請の期限は2023年2月15日(先着順)。
●健幸すまいリフォーム助成事業/新潟県新潟市
既存住宅のバリアフリーリフォーム、子育て対応リフォーム、温熱環境改善リフォーム及びそれにあわせて行う居住環境や住宅機能の維持・向上のための住宅リフォーム工事を行う場合に、その費用の一部が補助される制度。
バリアフリーリフォーム、子育て対応リフォーム、温熱環境改善リフォームのうち、1種類だけ行う場合は費用の10分の1(上限5万円)、2種類以上行う場合は費用の10分の1(上限10万円)が補助される。補助の対象は、2023年3月15日までに実績報告書を提出できるもの。
※制度の情報は2022年12月現在のもので、受付を終了している場合もあります。
「それぞれに申請期間が設けられていますが、期間が終わった後も、改めて近い内容での募集があるかもしれません。期間を過ぎたからといって諦めず、最新の情報を見つけにいってみてください」
対象が「事業者」になっている制度もあるので要注意
補助制度を調べるうえで、注意すべきポイントもあると、千日さんが教えてくれた。
「制度の中には、個人向けの住宅を対象としているものの、個人ではなく住宅メーカーや販売業者が申請しなければいけないものもあります。その場合は、いくら個人が『利用したい』といっても事業者が申請しなければ、補助金を受け取ることはできません」
次の制度がその例として挙げられる。
●こどもエコすまい支援事業/国土交通省
子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)、若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)が住宅の省エネ改修、子育て対応改修、バリアフリー改修などを行った場合に、その費用の一部(上限30万円(条件により異なる場合がある))が補助される制度。補助の対象は子育て世帯、若者夫婦世帯だが、申請はリフォーム事業者が行うものとなっている。
「『こどもエコすまい支援事業』のような制度であれば、事業者側が『国から補助金が出る事業です』と宣伝している可能性があります。そのような事業者を見つけることができれば、個人で手続きをしなくても補助金を受け取れるチャンスがあるといえます。住宅メーカーや販売業者のホームページを見ることでも、情報を得られるかもしれません」
補助金の情報は得にくいものではあるが、見つけることができれば、かなりの費用を抑えられる可能性を秘めている。リフォームや住み替えを考えている人は、調べてみてはいかがだろうか。
(有竹亮介/verb)
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千日太郎
1972年生まれ、公認会計士中村岳広事務所所長。匿名かつ公認会計士の資格も伏せて開始した「千日のブログ」が評判を呼び、住宅金融と不動産分野で人気の高いブロガーとして現在に至る。一般の人からの相談に無料で回答し、YouTubeで公開する「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」には歯に衣着せぬ的確なアドバイスに相談依頼が絶えることがなく、テレビ地上波ではWBS(テレビ東京)で住宅ローン専門家としてコメント。2022年の最新著書に『初めて買う人・住み替える人 独身からファミリーまで 50歳からの賢い住宅購入』がある。