各社の個性に合わせた施策を打てる「TUNAG」に注目!
人事領域の重要テーマ「従業員エンゲージメント」を高めるのは「称賛」
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転職や中途採用が当たり前となった今、企業にとって「従業員エンゲージメント(相互信頼関係)」が重要なテーマになっている。会社と従業員および従業員同士の相互信頼関係が高いほど、離職の防止につながると考えられるからだ。
「従業員エンゲージメント」を高める施策のひとつとして、社内表彰がある。従業員の功績や貢献を評価することで、モチベーションの向上を狙えるそう。
ただ、社内で独自の制度を構築、継続するのは難易度が高いだろう。そこで社内のコミュニケーションを活性化するようなシステムを導入する企業が出てきている。そのシステムのひとつが「TUNAG」だ。
各社の個性に合わせて制度をカスタマイズできるサービス
現在550社以上が導入しているエンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」。そもそもどのようなサービスなのか、「TUNAG」を運営しているスタメンTUNAG事業部の久保田桃加さんに聞いた。
「従業員のエンゲージメントを高め、強い組織をつくる支援サービスとして『TUNAG』はスタートしました。世の中のエンゲージメントサービスは、エンゲージメントサーベイなどの“状態を測るもの”と、社内SNSなどの“打ち手を実行するもの”に大きく分けられますが、『TUNAG』はその両方を兼ね備えています。そして、さまざまな機能を、各社に合わせてカスタマイズできるところが特徴です」(久保田さん・以下同)
業種や従業員の年齢層などによって、効果的な制度は変わってくるだろう。小規模な企業が大きくなれば、規模に応じて打ち手も変わるはずだ。その状況に合わせて、施策を柔軟にカスタマイズできるという。
「『TUNAG』はSNSのようにタイムライン形式で情報が流れてくる設計ですが、ここで流す情報を企業ごとに設定できます。日報や社長メッセージを発信するだけでなく、従業員同士で感謝の気持ちを送りあうサンクスカードやお客様の声を共有する機能を追加することもできます。ちなみに、制度の名称や内容は各社で自由に変更できます」
それぞれの制度の活用・閲覧状況はグラフなどで可視化され、エンゲージメントに寄与しているか、リアルタイムで確認できる。制度の変更・修正の意思決定につながるだろう。
「従業員個々のプロフィールも閲覧できます。どの部署にどのような人がいるかということがわかると交流が生まれ、社内のコミュニケーションが活性化していきます。投稿や表彰歴などの情報も蓄積されるので、各自の個性が自然と見えるページになっていきます」
「TUNAG」を活用した4つの表彰・称賛事例
「TUNAG」では表彰式を行うなど、社内表彰を実行するサービスはないが、表彰や称賛につなげていく制度を設定することは可能だという。
「例えば、サンクスカードで同僚に『ありがとう』を伝えたり、上司が部下の功績をピックアップして投稿したりすることで、全社的に各自の頑張りが伝わり、評価につながるといえます。『TUNAG』には社内ポイントという機能もあり、表彰されたら20ポイント、サンクスカードを贈ったら3ポイント、受け取ったら10ポイントなど、企業ごとにポイントを得る条件や数値を設定できます。制度とポイントを紐づけることで、従業員のモチベーションを向上しやすくなります」
これらの機能を活用し、ユニークな表彰制度を取り入れている企業の事例を紹介してもらった。
●トランコムDS(運送)
配達スタッフは無事に配達を終えることが当たり前であり、トラブルや事故が起こると減点されるという風土があった。一方で、顧客からのプラスの評価や配達先での実績は見えにくい。そのため、年間の離職率が約3割にものぼるという課題があった。
「TUNAG」を導入し、スタッフ同士でサンクスカードを贈りあったり、各配送センターのセンター長が「私のイチオシメンバー」としてスタッフの功績を発信したりすることで、離職率が2割程度に下がった。日常的なやり取りが、表彰に近い効果を生んだ事例。
●クレイジー・ティブィ(映像制作)
社内のコミュニケーション活性化を目指し、「TUNAG」を導入。サンクスカードを贈りあうことで、各自の得意分野や精力的に取り組んでいることが可視化され、交流が生まれるとともに離職防止にもつながった。
また、サンクスカードを贈った人、贈られた人には「ありがとうポイント」が溜まり、一定期間に一定数のポイントが溜まった人は表彰され、「サイコロチャレンジ」という特典がもらえる。サイコロの出目によって特典が変わるユニークな制度だ。
●Welloop(リハビリ・介護支援)
コロナ禍で介護士や看護師の直行直帰が増え、従業員同士のつながりが希薄化した状況を改善するため、「TUNAG」を導入。サンクスカードなどの制度の活用で「みなぽ」という社内通貨(ポイント)を増やすことができ、「みなぽ」は社内でお菓子やレトルト食品と交換できる。サンクスカードの送付数はひと月8回ほどから35回ほどに増え、個人の頑張りが見えやすくなった。従業員向けに介護に関する勉強会を開くことでも、「みなぽ」が付与される。
「この雑務を手伝ってほしい」という投稿に対し、手が空いている人が手を挙げる「OTETUDAI」という施策も実施したことで、いままで埋もれてしまっていた頑張りや親切が可視化されるようになった。
●明石吉田屋産業(ガソリンスタンド)
業務において数字で表しづらい部分を可視化するため、「TUNAG」を導入。社内の清掃や整理などの「5S活動」を行った際にビフォー・アフターの写真を投稿することで、社内ポイントが付与される制度を実施。取り組みの結果も評価に組み込んでいる。
獲得した社内ポイントは、取引先や顧客などのステークホルダーが提供する商品やサービスを購入する際の割引などに利用できるようになっている。ステークホルダーの活動を支援しつつ、従業員がより深く取引先や顧客を知るきっかけになるという有意義な制度に。
従業員の個性を把握しているからこそできるユニーク表彰
「TUNAG」を運営するスタメンでは、4カ月に一度の社内評価のタイミングで、MVP表彰を行っているそう。社員全員に「自部署」「自部署以外」の2つに分けて候補者のアンケートを実施し、MVPが決定する。ユニークなのは、受賞者が受け取る特典だ。
「MVPの特典は一律ではなく、その人に合わせたものが贈られます。一人暮らしの若手社員がMVPを獲得した際には、実家の家族と分けあえるような食品の詰め合わせが贈られたことも。これができるのも『TUNAG』を通じて従業員同士がコミュニケーションを取り、それぞれの個性や趣味などのプロフィールを把握できているからだと思います」
さまざまな事例を紹介してもらったが、互いに称賛しあうような制度を取り入れることで、それまで社内制度に参加できていなかった人が動き出すきっかけになるという。
「エンゲージメント向上の取り組みには『262の法則』があります。どの組織でも積極的な2割、消極的な2割、中間の6割がいるという法則で、この6割に働きかけることが重要だといわれています。最初の一歩は『社内ポイントがもらえるから』という理由だったとしても、サンクスカードを贈ったりお客様の声を発信したりすることがきっかけで従業員同士のコミュニケーションが活発化し、気持ちよく働ける会社にしようという思いが強まるでしょう」
表彰式という大げさなものではなかったとしても、日々互いに称賛しあえる環境が整うことで、その会社で働くモチベーションが高まるだろう。従業員エンゲージメントを高めるスタンダードな手法のひとつになるかもしれない。
(有竹亮介/verb)