投資信託のトレンドが分かる!
2023年1月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2023年1月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「資金流入超を維持」
資金流出入は約5,140億円の資金流入超となり、前月(約10,180億円の流入超)から減少したものの、26ヵ月連続で流入超を維持した。
資産別の資金流入では、流入額の大きい順に、外国株式(約2,310億円)、国内株式(約1,190億円)、外国債券(約560億円)となった。外国債券は前月(約2,590億円)から大きく減少したが、エマージング債券(約20億円)は約45ヵ月ぶりに流入超に転じた。
資産別の資金流出では、国内債券(▲約60億円)が流出超となった。
個別ファンドでは、当月新規設定の「(早期償還条項付)リオープン・ジャパン2301」(野村)(約1,050億円)が資金流入で1位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際)(約630億円)、3位は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ国際)(約430億円)となった。
主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「国内債券以外はプラス」
1月の金融市場は、世界各国でのインフレ鈍化傾向や欧州のエネルギー危機回避、中国の経済活動再開への期待等を背景に景気悪化懸念が後退し、株価上昇・金利低下(債券価格は上昇)となった。
株式市場は、インドやインドネシア等を除き、上昇した。米国株や欧州株は、月中旬に米金融大手の低調な決算や市場予想を下回る米小売売上高などが嫌気され株価が下落したものの、月後半は、インフレピークアウト期待や欧州のエネルギー危機回避を好感し、株価は上昇した。
日本株は、月中旬の日銀金融政策決定会合において長期金利変動幅の更なる引き上げといった政策再修正が実施されるのではと懸念されたことから、月前半の株価は横ばいであった。しかし、その後修正なく通過すると、月後半からは米欧市場の流れを受けて堅調に推移した。
債券市場は、概ね金利低下(債券価格は上昇)した。米・独10年国債利回りはインフレ鈍化や景気の悪化を示す経済指標を受け、月前半で0.2%~0.3%程度と大きく低下した。月中旬にはECBの金融引き締め姿勢の維持が意識されたこともあり、月前半の水準から米金利は横ばい、独金利は0.1%程度上昇した。
一方、日本10年国債利回りは上昇した。金融緩和政策の再修正への懸念が強まり、月前半から金利は上昇し一時0.52%近辺まで達したが、修正なく通過すると0.39%近辺まで急低下した。ただし、会合で同時に決定された資金供給オペ拡充の効果は限定的との見方が広がると、月後半にかけては0.50%近辺まで戻した。
為替市場は、米ドル安・円高、ユーロ高・円安が進行した。米ドル・円は主にFRBの利上げペース減速期待から日米金利差の縮小が意識され米ドル安となった。
一方、ユーロ・円はECBの金融引き締め姿勢の維持やエネルギー危機回避による景気悪化懸念の後退からユーロ高で推移した。月中旬に日銀の金融緩和政策の再修正が懸念されると、米ドル・円、ユーロ・円共に円高に振れる局面もあったが、修正なく通過すると反発した。
これらを背景に、当月は国内債券以外の資産カテゴリーでプラスリターンとなった。エマージング株式では、中国の経済活動再開が好感されたことから、特に中国株式ファンドが好調であった。
一方、国内債券では、1月中に金融緩和政策の修正はなかったものの、次期日銀総裁による政策の見直しやIMFの日銀に対する長期金利の変動幅をさらに柔軟化すべきとの提言等をもとに金利上昇圧力が強まり、債券価格は下落した。
パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定本数、設定額ともに減少」
当月の新規設定本数は16本、設定額は約1,350億円となった。前月対比で設定本数は24本、設定額は約810億円減少した。新規設定額トップの国内株式ファンドが全体の約8割を占めた。
新規設定ファンドのうち、当月末時点の純資産残高が最大となったファンドは、「(早期償還条項付)リオープン・ジャパン2301」(野村)(約1,050億円)であった。当ファンドは、外需関連企業や、訪日外国人によるインバウンド消費に関連する企業の株式に投資し、基準価格が一定水準(12,000円)以上となった場合は、円建ての短期公社債等に投資を行う安定運用に切り替え、繰上償還することを基本としている。
新規設定金額、設定本数の推移
最後に、1月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)