自動車の「排気量」「重量」「環境性能」によって税金が変化
購入前に知っておきたい車とお金のハナシ~税金編~
自動車を購入・所有する際にはさまざまな費用が発生するが、忘れてはいけないのが税金。消費税以外にもさまざまな税金が課せられるのだが、それぞれに税率が決まる基準が異なる。
そこで、税金の意味や計算方法などを、中古車情報メディア「カーセンサー」統括編集長の西村泰宏さんに聞いた。
購入月によって支払額が変化する「自動車税」
「自動車を所有するにあたって、所有者に義務づけられている税金があり、道路などのインフラ設備が破損した際に修繕するための費用として活用されています。さまざまな税金がありますが、自動車の車種や性能、重量などによって税率が変わるので、税額は所有している自動車によって異なります」(西村さん・以下同)
どのような税金が課せられるのか、見ていこう。
●自動車税/軽自動車税
自動車の所有者に対して、毎年4月1日に課される税金。たとえ車検が切れて走行できない自動車であっても、車両登録を行いナンバープレートが発行されていると、自動車税または軽自動車税が発生する。
税額は排気量によって決定する。また、自動車の初回新規登録の時期によって税額が異なるため、中古車を購入する場合は注意が必要だ。
「軽自動車はいつ購入しても、4月1日時点で軽自動車税が課せられます。一方、登録車(※)は月割りという制度があります。自動車税を12カ月で割り、購入した月の翌月から3月までの自動車税が課せられるというものです」
※軽自動車の規格を超える大きさで、運輸支局に登録された自動車
「登録月によって自動車税額は変わりますが、損得はありません。例えば、1,000ccの自動車の購入を検討し、2月に見積もりを出した際には自動車税が2,000円でした。その後、検討を重ね、3月に再度見積もりを出すと自動車税が年額の2万5,000円になっていたとなると、損した気持ちになりますが、仮に2月に購入していたら自動車税2,000円を支払った後、4月1日時点で2万5,000円課税されるので、損得ということにはなりません。自動車税は、納車時に月割りで納めるものと覚えておきましょう」
自動車税に関して、中古車を購入する際には注意点があるという。
「ガソリン車は新規登録から13年(ディーゼル車は11年)が経過すると重課となり、自動車税が約15%上乗せされます。軽自動車の場合は約20%の上乗せです。自動車に関しては、古いものを持っているほど税負担が大きくなるといえます」
ちなみに、4月1日を迎える前に中古車として売りに出す場合は、事前に支払っていた自動車税は返還される。
「9月に自動車を売りに出す場合、10月から3月までの6カ月分の自動車税は返還されます。自動車を引き渡す際に買取業者から返金されるので、特別な手続きは必要ありません。念のため、買取業者に『自動車税は返ってきますか?』と確認すると安心です」
車検時に発生する「自動車重量税」
●自動車重量税
車検の際に課される税金。自動車の重さに応じて税額が異なる。車種によっては「エコカー減税」が適用され、電気自動車や燃料電池自動車などは免税、ガソリン車でも排出ガス性能が高ければ25%軽減、50%軽減となる。
※1 令和3年5月1日~令和5年4月30日の間に新車新規登録時に免税を受けた場合
※2 令和12年度燃費基準+20%以上達成の場合
※3 令和12年度燃費基準75%以上達成の場合(軽自動車は+15%以上達成の場合)
※4 令和12年度燃費基準60%以上達成の場合(軽自動車は+5%以上達成の場合)
※5 新車新規登録等で免税を受けた電気自動車等または令和12年度燃費基準120%以上を達成している乗用車
環境性能に応じて税率が決まる税金「環境性能割」
●環境性能割
自動車を取得した際に課される税金。自動車の環境性能に応じて税率が決まるもので、税額は以下のような算式で導き出される。車両価格または取得価額が50万円以下の場合は非課税。
自動車取得額(車両価格)×中古車残価率=取得価額
取得価額×税率=税額
自動車に関する新税設立の可能性がある…?
いままさに課される税金を紹介してきたが、現在、政府税制調査会で自動車に関する新たな税金の導入の可能性が浮上しているという。
「自動車が走った距離に応じて課税する『走行距離課税(通称・走行税)』といわれるものです。本来の目的である『破損した道路を補修する財源』にするには、より多く走った自動車の所有者に支払ってもらうのがいいのではないか、という議論があるようです」
しかし、この「走行税」には反対の声も多いとのこと。
「運送業やタクシー運転手など、自動車で人や物を運ぶ仕事においては、きわめて負担がかかる税金だからです。もし、走行税が導入されたら、日本の物流は停止しかねません。走行税が送料に上乗せされるという不安の声もあり、そもそもサービスの提供側と利用者側のどちらが負担するべきかという議論も出てくることが考えられます。自動車を持っていてもいなくても関係する話なので、今後の動向はチェックしておくといいと思います」
さまざまな税金が課せられる自動車。それぞれ税率の基準が異なるため、計算するのは大変だが、思いがけない出費とならないよう、把握しておくといいだろう。
(有竹亮介/verb)