国民年金保険料の支払いは「義務」

国民年金保険料「もらう気がないから払わない」はやめた方がいい

提供元:Mocha(モカ)

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2023年1月に国会議員の年金未納問題がニュースで取り上げられました。一部報道によると、国民年金保険料の未納期間は十数年、未納額はおよそ750万円に及ぶとのこと。本人が「もらう気がないから払わない」と発言したことで波紋が広がっています。

なぜ国民年金保険料を「もらう気がないから払わない」ことが問題なのでしょうか。将来自分がもらえる年金が減るだけだから、国民年金保険料を払わなくても構わないと考える方もいるかもしれません。

今回は年金制度の仕組みについてお伝えします。国民年金保険料を支払わなかった場合の影響や、支払えないときにやるべきことも紹介しますので、参考にしてみてください。

国民年金保険料はそもそも支払う義務がある

国内に在住している20歳以上60歳未満の方は、国民年金保険料を支払う義務があります。会社員や公務員などの第2号被保険者は、給与から天引きされていますが、自営業者などの第1号被保険者は自分で納付が必要です。もし、本人が払えなければ、連帯納付義務の考え方のもと、世帯主や配偶者が納めることになっています。

公的年金には、老後の年金だけでなく、障害年金や遺族年金も含まれています。病気やけがで障害が残った場合や、自分に万が一のことがあった場合も保障が受けられる制度になっています。

ただし、上記の保障を受けるにはいくつか条件があり、国民年金保険料の納付期間も大きく関係しています。国民年金保険料が未納のままだと、将来自分が必要な時に年金をもらえない可能性もあります。

また、日本の年金制度は「賦課方式」で運営されています。賦課方式とは、現役世代が納めた年金保険料を、その時の支給する年金に充てる方法です。現役世代から年金受給世代への「仕送り」をイメージすると分かりやすいでしょう。国民年金保険料は自分のために貯めている資金ではなく、年金受給世代を支える役割があるのです。

年金制度は「賦課方式」

厚生労働省ウェブサイトより

国民年金保険料を支払わないとどうなる?

厚生労働省「令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況について」によると、2021年度(令和3年度)の国民年金保険料の未納者は106万人います。公的年金加入者全体に占める未納者の割合は約1.6%ですが、国民年金の第1号被保険者に占める未納者の割合は約7.4%となっています。

国民年金保険料の未納が続くと、最終的には差し押さえのリスクがあります。

まず催告状により段階を踏んで複数回催告され、それを無視していると督促状が届きます。督促される対象者は、年間所得が300万円以上で7カ月以上未納がある人です(平成30年度以降)。それでも対応しなければ、最後には差押予告通知が届きます。この時に国民年金保険料を払わなければ、財産を差し押さえられてしまいます。

差し押さえの対象財産は、現金や不動産、有価証券、銀行口座など、金銭的価値があるものです。ここで注意したいのは、世帯主や配偶者の財産も差押えられる可能性があること。なぜなら、保険料は連帯責任で納める必要があるからです。

財産を差し押さえられてしまうと、未納が解消されるまでは自分の財産を使えなくなります。さらに、延滞金まで負担しなければなりません。延滞金の割合は期間に応じて変わりますが、最大で14.6%にもなります。

国民年金保険料を払えないときはどうすればいい?

国民年金保険料を2年以上未納のままにしておくと、将来の年金額に反映されない、受給期間に算入されないというデメリットがあります。

経済的な理由で国民年金保険料の支払いが難しい場合は、「免除」「納付猶予」制度が利用できます。老後の年金や、いざというときの障害年金・遺族年金がもらえないという事態を防ぐためにも、払えないと分かった段階で早めに申請手続きをしましょう。

●国民年金保険料の免除制度

国民年金保険料の免除を受けるためには、申請書を提出し、本人・世帯主・配偶者の所得について審査が必要です。審査が通れば、所得水準に応じて国民年金保険料の納付が免除されます。また、失業や自然災害による被災、配偶者からの暴力などで国民年金保険料を納められない場合は、審査をせずに免除が承認になる特例免除があります。

国民年金保険料が免除される額は全額、4分の3、半額、4分の1の4種類あります。免除を受けた期間も将来の年金額は増えます。ただし、免除される額に応じて増える金額は異なり、国民年金保険料を納めた場合ほどは増えません。

なお、2019年4月から産前産後期間の免除制度が始まり、第1号被保険者の方も出産日の前月から4カ月間は国民年金保険料が免除されるようになりました。しかも、この免除期間中の国民年金保険料は納付したものとみなされます。出産予定日の6ヶ月前から申請できるので、対象の方は手続きしましょう。

●国民年金保険料の納付猶予制度

20歳以上50歳未満で、本人と配偶者の前年所得が一定以下の場合には、審査の承認後に保険料の納付が猶予されます。免除と同様に、本人からの申請が必要です。なお、猶予の場合は受給資格期間には算入されますが、将来もらえる年金額には反映されません。

将来国民年金をもらうには、受給資格期間が10年以上必要です。また、期間中に病気やケガで不慮の事態が起こった場合でも、障害年金や遺族年金がもらえます。さらに、経済的に余裕が出てきたら、追納制度を使って免除されていた国民年金保険料を後払いすることもできます。

支払えないからと放置しておくよりも、免除や納付猶予の申請をしたほうが、将来の自分のためになるでしょう。

払えないときには早めに相談しよう

国民年金保険料を支払うのは国民の義務であり、年金受給世代の生活を支える役割があります。未納が長く続くと、最終的には差し押さえになる可能性もあるでしょう。

経済的な理由で納付が難しい場合に利用できるのが、免除や納付猶予の制度です。払えないからといって未納のまま放置するのではなく、まずはお近くの年金事務所や自治体の窓口に相談してみてはいかがでしょうか。

[執筆:ファイナンシャルプランナー たにぐち まりえ]

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