なぜ3月と12月決算の企業が多いのか?
提供元:野村證券(FINTOS!編集部)
投資家の皆様から関心の高い質問を専門分野のリサーチャーに聞いてみました!
Q.なぜ3月と12月決算の企業が多いのか?
多くの日本企業が3月や12月に決算月を設定していますが、中には小売業のように2月決算が多い業界もあります。各企業の決算月設定にはどのような背景があるのでしょうか?
A.日本の各種制度と合わせた3月決算が最も多いが、業界特有の理由で決算期が設定されることも
もっとも多いのは3月決算
現在、東証プライム市場に上場している企業のうち、もっとも多いのはもちろん3月決算で社数構成比で68%となっています。次いで多いのが12月決算で13%、2月決算が5%と続きます。3月決算が多いのは、日本の教育制度や財政制度に合わせたものと考えられます。
小売業は繁忙期を避けて2月決算
小売業は2月決算企業が多いですが、繁忙期である12月と3月を避けて設定されたという説が有力です。今ではほとんど見かけなくなりましたが、かつて小売業では期末に店をお休みにして棚卸を行っていました。繁忙期に店を閉じるというのは非現実的ですから、閑散期である2月末に棚卸をして、決算作業に入るというのは理にかなっているといえるでしょう。
ビール会社は12月が書き入れ時
12月決算企業では、ビール会社が揃って決算期としています。これは、ビール消費は夏場と忘年会の多い12月に顕著に増加するという季節性があるため、12月を書き入れ時に設定して、販売に追い込みをかけ、決算作業はビール業界にとって閑散期である年明けからとりかかるため、という説が有力です。
12月決算には国際優良企業も多い
また、12月決算企業には、タイヤや工作機械、精密機器など、海外売上の比率が高く国際競争力に優れたいわゆる優良企業が多くなっています。これは、海外で販売や生産を行う在外子会社の決算期が現地の習慣に合わせ12月に設定されることが多いことが、理由のひとつとされています。最近は、同じ理由でこれまで3月決算企業だった企業が、在外子会社との連結決算作成作業を円滑に行うため12月決算に移行する例も見られるようになっています。
(野村證券投資情報部 伊藤 高志)