プロが語る!資産形成のすゝめ

インバウンド再起動!!

持続可能な拡大に求められる新しい「カタチ」

提供元:ちばぎん証券

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インバウンドの回復による内需の底上げ期待が高まっています。

政府は昨年10月、海外からの個人旅行の受け入れや入国ビザ免除の再開など、新型コロナウイルスの感染対策で実施された水際規制を大幅に緩和しました。その効果は大きく、限りなくゼロ近辺で推移していた訪日外国人は、2023年1月に150万人と19年7月のピーク比約5割まで回復しました。

5月には感染症法上の分類が、現在の「2類」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられることも決定。今年は全国津々浦々、コロナ禍で中止を余儀なくされていた様々な行事が再開となり、多くの観光客を楽しませるはずです。

さらに追い風となるイベントもあります。

オリエンタルランド(OLC)は、4月15日から約1年間にわたり 東京ディズニーリゾート(TDR)40周年アニバーサリーイベント「ドリーム ゴー ラウンド」を開催します。TDRの周年イベントは集客に加え、グッズ販売にも絶大の効果。これまでも同社の収益拡大に寄与しており、投資家も高い関心を寄せています。

また、夏には東京・豊島園跡地に西武鉄道や伊藤忠商事などが開発した「ワーナーブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が開業します。

これは映画「ハリー・ポッター」シリーズの制作の裏側を体験できるウォークスルー型のエンターテイメント施設で、ロンドンに次いで世界2番目の開設となります。2012年に開業した「スタジオツアーロンドン」は、現在でも予約困難の人気が続いているとのこと。アジア初の「スタジオツアー東京」は訪日客の人気も集めそうです

規制緩和に様々な行事の再開、ビッグイベント効果で2023年の訪日客数は19年比6割強の2000万人前後になると見込まれています。

ただ足下の数字ばかりを追いかけ、浮かれているわけにはいきません。持続可能なインバウンドの拡大に向け、課題山積だからです。

コロナ前、2019年当時のニュースを振り返りますと、インバウンドの経済効果をはやす一方、訪日客数の伸び悩みや一人当たり消費額の減少傾向が示され、富裕層のニーズに応えるコンテンツ不足などが指摘されています。また、都市部への客足偏在、オーバーツーリズムによる観光公害(渋滞、騒音、ごみ、文化財の損傷など)もクローズアップされました。

持続可能なインバウンドの拡大には戦略の転換が不可欠。そうしたなか期待される分野として、「MICE」、「サステナブル・ツーリズム」などが注目されています。

「MICE」とは、企業等の会議(Meeting)、企業等の報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等の国際会議(Convention)、展示会・見本市(Exhibition)の略。これらのイベントは参加者に加え、同行者、関係者などの宿泊、飲食、観光など、経済・消費活動の裾野が広く、滞在期間も比較的長いことから、一般的な観光旅行以上に経済効果が大きいと言われています。

今年は5月にG7首脳会議(広島サミット)が開催されます。広島、岡山、高松、松山の瀬戸内4都市は、サミットに合わせて海外メディアに観光資源の魅力を発信する方針を決め、インバウンド需要の掘り起こしに取り組む構えです。

MICEにビジネスチャンスを見出そうとする企業にも要注目です。

JR東日本は2025年に開業予定の「高輪ゲートウェイシティ」に次世代型と位置付けるMICE施設を導入します。ここは高輪ゲートウェイ駅直結で羽田空港も至近という抜群の立地ですが、都心部では少ないと言われる2000人規模の収容力を有し、集合形式とオンライン形式を組み合わせたハイブリッド会議に耐えうる通信インフラを装備します。

ハード面のみならず、環境への配慮を重視する流れにも対応し、たとえば主催者が気に懸ける電力消費量やゴミ、フードロスの量までも計測、集計することができるとのことです。

また、企業のオフィスや商業施設、住宅など、様々な要素からなる高輪ゲートウェイシティの特性を活かし、街ぐるみで参加するプログラムを組み込んでいくことで「地域に開かれたMICE」をアピール。こうした方向性は国際的な潮流に沿うもので、まさに次世代型を標榜する所以と言えるでしょう。

「サステナブルツーリズム」は、観光地の本来の姿を持続的に保つことができるように開発やサービスのあり方を見定め旅行の設定を行うもので、地域の文化や自然環境に配慮し、観光地に住む住民と観光客がともに潤うことを重視します。欧米では非常に重要なテーマとなっており、旅行先を決定するカギとも言われています。

傘下に近畿日本ツーリストやクラブツーリズムをもつKNT-CTホールディングスは昨年4月、高知県と、観光誘客をはじめアフターコロナを見据えた地方創生事業に取り組むと発表しました。現在、県内の自然や歴史、食を生かした長期滞在型の旅行商品の企画販売、農作業や伝統芸能、地域の人との交流など体験交流型教育旅行の提案など観光誘客事業を推進しています。

観光庁は、2020年に国際基準に準拠した「日本版持続可能な観光ガイドライン」を策定。全国各地でモデル事業を実施し、持続可能な観光地としての認知度向上や、サステナブルツーリズムに関心の高い観光客の誘客を支援しています。こうした支援も寄与し、国際的な表彰制度である「世界の持続的な観光地TOP100(2021年)」には日本から12地域(各国の入選地域数では日本が最多)が入選しました。

インバウンドを取り込んだ観光はコロナ禍を経ても成長戦略の柱、地域活性化の切り札と位置付けられます。

持続可能な新しい「カタチ」がしっかりと根付き、国内需要をけん引する――、株式市場も大きな期待を寄せています。

(提供元:ちばぎん証券)

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