成長投資企業、株主還元企業の特徴は?
提供元:野村證券(FINTOS!編集部)
投資家の皆様から関心の高い質問を専門分野のリサーチャーに聞いてみました!
Q.成長投資企業、株主還元企業の特徴は?
企業によって、「成長のための投資」を重視するのか「株主還元」を重視するのかが異なってくるかと思いますが、それぞれの企業(成長投資企業、株主還元企業)の特徴を教えてください。
A. 資本コストと自社株の評価が決め手
企業は、(1)借入金や株式により資金を調達し(資本コスト)、(2)資本コストを上回るリターンが見込めるものに投資(M&Aを含む)し、(3)自社株の評価が低い場合には自社株買い(株主還元)、を行います。
「高成長企業」の特徴とは?
一般的に、この3つが高い水準でバランスしている企業を 『高成長企業』 と呼ぶことが多いと考えられます。すなわちハイリスク・ハイリターンな事業分野で成長している企業は、資本コストは高いものの、(M&Aを含む)新規投資に事欠かないが、株式市場からの評価も高いため株主還元の必要性は乏しい、という組み合わせになります。
「株主還元企業」の特徴は?
逆に、この3つがそこそこの水準でバランスしている企業も(はるかに)多数存在します。資本コストはほどほどで、そこそこ(M&Aを含む)投資分野もあるが、自社の株価もそれほど高くないので株主還元にも積極的、という組み合わせです。JPX400クラスの企業では、ROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)などが経営のKPI(重要業績評価指標)となっていることが多く、近年この3つのバランスがより強く意識されるようになってきています。
「究極の株主還元企業」とは?
なお、極めて稀なケースですが、この3つがバランスしない(または、将来バランスしなくなると見込まれる)企業の場合には、残余財産をすべて株主に還元するという究極の株主還元企業も理論上考えられます。
(野村證券投資情報部 伊藤 高志)