「3回以上の分割払い」「リボ払い」は絶対NG!

学生でも安心して使えるのはクレジットカード? デビットカード?

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成年年齢の引き下げにより、18歳から自分の意思で契約できるようになったクレジットカード。大学や専門学校への進学にともない、新規契約したという人もいるのではないだろうか。

「商品やサービスを得た後に代金を支払う」というクレジットカードのシステムには、注意点がたくさんあるようだ。また、クレジットカードとは異なり、即時払いができるデビットカードという選択肢もある。

そこで、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、クレジットカードとデビットカード、それぞれのメリットやデメリットを教えてもらった。

後払いだからこそ計画的な利用が肝心の「クレジットカード」

●クレジットカード
後払い式のカード決済。商品やサービスをクレジットカードで購入した後、その代金はクレジットカード会社から請求される。

●デビットカード
即時払い式のカード決済。銀行のキャッシュカードがそのままデビットカードとなり、商品やサービスをデビットカードで購入した時点で銀行口座から代金が引き落とされる。

「クレジットカードのメリットは、手元にお金がなくても買い物ができること、多くのクレジットカード会社で購入額に応じてポイントがつくことなどが挙げられます。ただし、後払いになるので、利用額を気にせずに使ってしまうと、思いがけない金額を請求される可能性があるのです。アルバイト代が入る想定でクレジットカードを使ったものの、コロナ禍のような非常事態で仕事がなくなり、支払えなくなってしまうケースもあります」(氏家さん・以下同)

クレジットカードを利用する場合は、計画性が重要になりそうだ。さらに、注意するべきポイントがあるという。

「クレジットカード会社から『分割払い』や『リボルビング払い(リボ払い)』を勧められることがありますが、この2つは基本的に使わないようにしましょう。『分割払い』は、3回以上の分割にすると手数料が発生してしまい、商品代金とは別に余分なお金を支払わなければなりません。さらに注意したほうがいいのが『リボ払い』です」

●リボ払い
クレジットカードの利用金額にかかわらず、毎月一定の金額を支払う方法。支払残高がなくなるまで、支払いは続いていく。残高に応じて手数料がかかる。

仮にリボ払いで2万円分の買い物をして、リボ払いで月々1万円+手数料を支払うと、翌月の支払残高は1万円になる。翌月に3万円分の買い物をすると支払残高は4万円に増え、月々1万円+手数料の支払いで、翌々月の支払残高は3万円になる。残高が増えるほど手数料も増していく。

「毎月一定額を支払う『リボ払い』は一度に支払う額が少ないため、買い物に使った金額を意識しにくく、無意識のうちに残高が積み上がりやすいといえます。また、残高に応じて手数料がかかるところも要注意です。さらに気をつけたいのは、月々の返済額のなかに手数料を含んだリボ払いもあるということ。この場合、月々1万円の返済と設定したら、手数料込みで1万円となりますが、毎月手数料の分のお金しか支払っておらず、残高が減っていかないケースもあります」

手数料込みのリボ払いで、リボ払いの支払残高が100万円あり、年利15%の手数料が発生する場合、ひと月の手数料は以下の式で導き出される。

100万円×15%×30日÷365日=1万2329円

「手数料だけでひと月1万2329円になるので、月々1万円の支払いでは残高が減らないどころか、手数料の分だけ残高が増えていってしまいます。たとえ残高が10万円だったとしても、ひと月の手数料は1233円。学生にとっては大きな金額といえるでしょう。このような理由から、『リボ払い』はおすすめできません」

クレジットカードを利用する場合は、「1回払い」に限定することが大事とのこと。

「クレジットカードは『1回払い』しか使わないというルールを決めれば、買い物した金額がまるっと翌月に請求されるので、無理な買い物はしなくなるでしょう。クレジットカードを計画的に利用できるか不安ということであれば、デビットカードをおすすめします」

持っているお金の範囲内で買い物ができる「デビットカード」

日本ではあまり見聞きしないデビットカードだが、買い物したお金がすぐに銀行口座から引き落とされるため、支払いが滞るということはなさそうだ。

「デビットカードだと銀行口座の残高の範囲でしか買い物ができないので、使い過ぎを防げます。口座から現金を引き出す手間が省けるところがメリットといえるでしょう。ただし、クレジットカードと比べると、ポイントを付与している会社が少ないので、プラスの特典はあまり期待できません」

国内での普及率が低いことから、ポイントもつきにくいデビットカードだが、「学生の間はポイント活用よりも、安心して使える決済方法に重きを置くべき」と、氏家さんは言う。

「カード決済を使うのであれば、まずはデビットカードから始めて、現金を持たずに支払う感覚を身につけましょう。アルバイトを始めて、銀行口座の残高にも余裕が出てきたら、『最低10万円は口座に残す』といったルールを決めたうえで、1回払い限定でクレジットカードを使い始めるのもいいでしょう。何かしらの事情で将来的にアルバイトができなくなる可能性も考え、銀行口座の残高を使い切らないことが大切です」

スマホ決済の「オートチャージ」にも要注意!

カード決済について解説してもらってきたが、学生でも利用したことのある人が多いであろう「PayPay」「d払い」「モバイルSuica」などのスマホ決済にも、注意点があるそう。

「学生の間は、現金でチャージして使うほうが安心です。チャージするたびにお金を使っている意識が芽生えますし、チャージした分しか使えないので、無駄遣いをしないで済むでしょう」

スマホ決済をクレジットカードや銀行口座に紐づけて、オートチャージできるようにしたほうが便利だが、際限なくお金を使ってしまう危険性がある。

「オートチャージにすると現金を見なくなるので、お金を使っている意識が芽生えにくく、自分で思っているよりも多く買い物をしてしまう可能性があります。そうなると当然銀行口座の残高も減ってしまうので、まずは現金でチャージするところから始めましょう。そして、チャージした金額の範囲内でお金を使うことを心掛けましょう。クレジットカードでもスマホ決済でも、自分が持っているお金以上に使わないよう、セーブすることが重要です」

現金ではないからこそ、使った金額をしっかりと把握し、管理すべきクレジットカードやスマホ決済。少額から始めて、少しずつ慣れていけるといいだろう。
(取材・文/有竹亮介(verb))

お話を伺った方
氏家 祥美
ファイナンシャルプランナー、セカンドキャリアアドバイザー。ハートマネー代表。共働き家族やリタイアメント世代向けに幸福度の高い家計作りを支援するほか、教科書執筆など中立な立場での金融リテラシー教育に力をいれる。Zoomを使ったオンライン家計相談が好評。
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