日本株の「セクターローテーション」今の局面は?
提供元:野村證券(FINTOS!編集部)
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投資家の皆様から関心の高い質問を専門分野のリサーチャーに聞いてみました!
Q:日本株の「セクターローテーション」とは?
景気と金利の局面ごとに買われやすい業種が移り変わる「セクターローテーション」という考え方があると思います。日本株式市場では、どのような局面でどういった業種の株価が上がりやすいのでしょうか?また、今の日本市場はどの局面にありますか?
A:一般的に4つの局面で捉えることができる
(局面a)『鉱工業生産の減少幅縮小/金利ボトム圏』‥景気回復期待から商品市況が底打ちするのに合わせ、株式市場では鉄鋼・非鉄、化学、商社などの市況敏感セクターの株価が相対的に優位となります。
(局面b)『鉱工業生産の増加加速/金利上昇』‥景気回復が本格化すると数量増で恩恵を受ける、機械、自動車、電機・精密などの景気敏感セクターの株価が相対的に優位となります。
(局面c)『鉱工業生産の増加幅減速/金利ピーク圏』‥景気拡大に陰りが出始めると、医薬品、食品、小売り、通信などの(景気)ディフェンシブセクターの株価が相対的に優位となります。
(局面d)『鉱工業生産の減速加速/金利低下』‥景気後退と金融緩和が本格化すると、金融、公益、建設、不動産などの金利敏感セクターの株価が相対的に優位となります。
ただこの流れは、あくまでも過去の複数の局面でそうなる確率が高かったということで、必ずしも毎回そうなっているわけではなく、また今後の社会構造や金融市場の変化などによってローテンションの順番が入れ替わる可能性もあり得ます。
今の日本市場の立ち位置ですが、(1)YCC(イールドカーブ・コントロール)により永らく長期金利に動きがほぼない、また(2)昨年来のサプライチェーン問題とそこからの挽回生産、という特殊要因が重なっており、様々な意見が交錯した状態です。
今後、『長期金利は低下せず、挽回生産が本格化する』という前提に立てば、(局面c)あるいは(局面d)に短期間滞留していたが、(局面b)の入り口に入りつつある、と考えられます。
(野村證券投資情報部 伊藤 高志)