「経済や株式会社の仕組みってちょっと難しそう…」
村上佳菜子が東証発「中学生向け経済教室」に参加してみた
プロフィギュアスケーターの村上佳菜子さんが投資の第一歩を踏み出すべく、お金に関する知識を深めていくこの連載。
第四回となる今回は、東京証券取引所(東証)で定期的に開催されている「スクールマネ部!春休みシェア先生の親子経済教室」に参加することに。この日は、中学生が東証社員扮するシェア先生と一緒に、「経済」や「株式会社」の仕組みを学んでいくという内容。
シェア先生のシェア(SHARE)には、「株式」「分かちあう」という意味があり、みなさんと楽しい時間を分かちあいたいという願いがこめられている。
村上さんと10組の親子が揃ったところで、シェア先生の経済教室が始まる。
会社を発展させるために必要な「投資」
東証の紹介も兼ねて、シェア先生が最初に「東証の市場で取引される株式をお金に換算すると、1日いくら?」というクイズを出題。
村上さんは「第一回で富田さんに教えてもらったところですね! 約3兆円だ!」と、この連載での学びを生かして回答。参加している中学生も「2~3兆円」と答える子が多く、村上さんも「みんなわかってるんですね」と感心。
ここから「経済」の仕組みの解説がスタート。経済活動とは、政府・会社・家計(個人)のそれぞれがそれぞれにお金を支払って、サービスを受けたり働いてもらったりして、お金を循環させること。
ここで出てきた「会社」について、より深く知るため、1本のアニメを鑑賞。お菓子屋さんを目指す女性が、会社を立ち上げて株式を発行し、多くの人から資金を集め、商品開発や店舗の拡大に励むというストーリー。
会社は原料を仕入れて、製品を作り、販売することで得た収入を元手に、新たな製品の開発に取り組んでいく。お菓子屋さんを目指した女性であれば、原料となる材料の仕入れや新しいお菓子の開発のための資金が必要になるため、株式を発行したのだ。
株式とは、多くの人から少しずつお金を支援してもらうために発行するもので、このお金の支援のことを「投資」と呼ぶ。投資してくれる人(株主)から多くのお金を集めることができれば、原料の仕入れや新たな製品の開発が可能になる。
ここでひとつの疑問が出てくる。株主は、お金を譲っただけで終わってしまうのか? シェア先生は「株主にとっていいことは4点ある」と、教えてくれた。
●株主から見た株式のいい点
(1)会社の利益の一部が配当金として分配される
(2)会社の価値が上がると株式の価格が上昇する
(3)株主総会に出席し、会社にとっての重要事項の決議に参加できる
(4)優待(自社製品や施設利用券など)を受けられる会社もある
シェア先生から再びクイズが出題される。「配当金の平均利回りはどのくらい?」というもので、選択肢は「2%」「6%」「10%」。村上さんは「確か、配当金の額は会社の人が決められるんですよね。6%くらいだといいな」と予想したものの、正解は「2%」。「思ったより低い」と、村上さんもびっくり。
会社を支援するために購入する「株式」の仕組み
経済教室の中盤で、2本目のアニメがビジョンに映し出される。株式投資に興味を持った男性が株価変動の仕組みを知り、会社や社会の情報を新聞やインターネットを介して集め、投資という形で会社を応援していくというストーリー。
このストーリーの男性のように投資を行うには、株式を買わなければいけない。この株式を売り買いできるのが、東証を含む証券取引所だ。そして、証券取引所で売買できる株式は、上場会社の株式に限られる。
第一回で上場について学んだ村上さんは、「上場には審査が必要なんですよね。ラジオを一緒にやっているブラス(※)の河合社長が『上場できてよかった』って言ってました」と、より理解が進んだよう。
※ブライダル事業を展開する上場企業
シェア先生は、上場によるメリット・デメリットも教えてくれた。
●上場のメリット
・知名度が上がる
・信用力が上がる
・資金調達力が上がる
・経営が安定する
・組織力が上がる
●上場のデメリット
・株主の意向に左右される
・ほかの会社などに自社の株を買い占められるリスクがある
・決算(業績)情報などを公表しなければいけない
・上場維持コストがかかる
具体的な株式売買の方法も伝えていく。株式の売買には証券口座が必要だが、18歳未満の中学生はまだ自分で開設することができない。ただし、保護者の同意を得て開設してもらうことはできるそうだ。
また、株式は1株の価格が公表されているが、売買できるのは100株以上となる。つまり、最低でも株価を100倍にした価格で買うことになるという、現実的な仕組みも紹介。
「株式の価格は、『この会社の業績が良さそうだから、高い値段を出しても株式を買いたい』という人が増えると上がりますが、『業績が悪くなりそうだから、安くてもいいから売りたい』という人が増えると、下がっていきます」(シェア先生)
天候や災害によっても変化する「株価」
そもそもなぜ株を「買いたい」「売りたい」と思うのか。「その理由は、会社が発売する新商品やサービスに対する期待はもちろん、社会全体の景気や物価、為替、自然災害、事故、環境問題が影響することもあるんですよ」と、シェア先生が解説する。
例えば、製品をつくるための材料を1ドル=100円で海外から輸入していた会社は、円高で1ドル=80円になると仕入れ値が安くなる。その結果、利益が増えることで配当金も増え、株式を求める人が増えるため、株価が上がる。
逆に、円安で1ドル=120円になると仕入れ値が高くなるため、利益とともに配当金も減り、株式を売りたい人が増えて、株価が下がる傾向にあるのだ。
そのほかにも、天気が影響することもあるという。夏季限定のアイスクリーム屋さんがあった場合、猛暑であれば利益が増えて株価も上がる可能性があるが、冷夏だと利益が増えず株価が下がってしまうかもしれない。「さまざまな要因で、株価は変動すると考えられます」と、シェア先生。
「記憶に新しいコロナ禍も、さまざまな企業に影響を与えました。緊急事態宣言が発令された2020年は移動が制限されたため、航空会社の株価が大きく下がりました。一方、巣ごもり需要で、インターネットサービスを提供する通信会社は株価が上がりました。しかし、移動制限が緩和されるにつれ、人々の移動が増えたことで、航空会社の株価は徐々に回復傾向にあります」(シェア先生)
具体的な投資の話も出てきたところで、最後にシェア先生が、「ここで経済や株式会社について知ったことを機に、おうちでもお父さんやお母さんと『今後はもっとお金が必要なのかな?』『投資で応援するなら、どんな会社がいい?』と話して、興味を深めていってください」というメッセージを送った。
「中学生の頃の私だったら全然理解できない内容だったと思うので、いまの中学生はすごいなって思いました。私自身は、以前いろいろ教えていただいたおかげで理解できた部分もたくさんあったので、楽しかったです」(村上さん)
中学生と一緒に経済について勉強し、投資への理解が深まった村上さん。次回は、株式投資体験にチャレンジ! 村上さんの投資センスが明らかに!?
(取材・文:有竹亮介/verb 撮影:鈴木真弓)
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