「ETCが便利」から「ETCはマスト」の時代に変化しているらしい
購入前に知っておきたい車とお金のハナシ~高速道路料金編~
自動車を買ったらちょっと遠くに出かけたくなるもの。そんなときに助かるのが高速道路だ。ただし、利用には料金がかかる。できるだけお得に利用する方法はないものだろうか。
そこで、中古車情報メディア「カーセンサー」統括編集長の西村泰宏さんに、高速道路をお得に利用する方法を聞いた。
「深夜」「休日」「平日朝夕」に割引の可能性あり
そもそも、高速道路の料金を把握しているだろうか。実は、明確に料金体系が定められているのだ。
●高速道路の基礎的な料金体系(普通車)
(150円+走行距離×24.6円/km)×1.1
東京・大阪の大都市近郊区間は普通車で1kmあたり29.52円、恵那山トンネル・飛騨トンネルなどの長大トンネル区間については普通車で1kmあたり39.36円(※)の特別料金が設定されている。
※ETC車については令和6年3月31日まで、長大トンネル区間ではトンネル区間料金割引が実施され、普通車1kmあたり24.6円。
「高速道路を利用する時間帯や時期によって、割引制度が適用されることがあります。ただ、高速道路の利用状況や混雑状況によって、適用条件や割引率が変わることがあるので、利用する際にNEXCOのサイトをチェックしてみるといいでしょう」(西村さん・以下同)
ちなみに、2023年4月現在は、ETC車を対象に、次のような割引が実施されている。
●深夜割引
0時~4時の間に高速道路を走行すると、約30%割引される。
「名古屋第二環状自動車道の深夜割引に関しては、注意点があります。2023年3月18日から、条件が変更されたのです。3月17日までは、0時~4時の間に入口料金所を通過すれば、出口は何時に通過しても割引されました。しかし、現在は0時~4時の間に入口も出口も通過しないと、適用されない可能性があるのです。これ以外にも、エリアによって条件が異なるケースがあるので、きちんと確認しましょう」
●休日割引(軽自動車・普通車限定)
土日祝日(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始期間を除く)の0時~24時の間に高速道路を走行すると、約30%割引される。ただし、地方部区間のみ対象で、首都圏・京阪神圏の大都市部区間ならびに名古屋第二環状自動車道は対象外。
●平日朝夕割引
ETCマイレージサービスに事前登録したETCクレジットカードまたはETCパーソナルカードを使い、祝日を除く月~金曜日の6時~9時の間、17時~20時の間に入口または出口料金所を通過すると割引される。ひと月の利用回数が5~9回だと約30%割引、10回以上だと約50%割引となる。ただし、地方部区間のみ対象で、都市部区間は対象外。
※深夜割引と休日割引の両方の適用条件を満たす走行の場合、割引額の大きいものが適用される。
※深夜割引と平日朝夕割引の両方の適用条件を満たす走行の場合、深夜割引が適用される。
2024年度中に「深夜割引」の内容が変更に
さらに、2024年度中には、深夜割引そのものが見直されることが発表されている。
「ほとんどの高速道路では、0時~4時の間に走行していれば、入口や出口を通過した時間に関係なく、走った分すべての料金が割引されました。しかし、今回の見直しで、適用時間帯に走行した分だけが30%割引されることになったのです。一方で、適用時間帯は22時~翌5時に拡大されます」
●深夜割引見直しの概要
・深夜割引適用時間帯に走行した分のみ30%割引
・深夜割引適用時間帯を22時から翌5時に拡大
・深夜割引の見直しにあわせて、400km超の長距離逓減制を拡充
つまり、21時~翌2時に高速道路を走った場合、現在はそのすべてが割引の対象となるが、見直された後は22時~翌2時の分だけ割引され、21時~22時の走行分は通常の料金になるということだ。この変化は押さえておいたほうがいいだろう。
高速道路料金割引のカギは「ETC」
「高速道路料金の割引のカギは、ETCにある」と、西村さんは話す。
「深夜割引、休日割引、平日朝夕割引のすべてが、ETC車を対象にしていることからもわかるように、現在はETC車が得をするというよりも、ETCを搭載していない車が損をする時代になっているといえます。例えば、通常料金1200円だとすると、ETC車で割引条件を満たすと30%引きの840円、場合によっては50%引きの600円になります。大きな差ですよね」
高速道路の入口料金所もETCレーンが増え、通行券を受け取って出口で精算する一般レーンは減ってきている。
「最近はETC専用料金所も出てきていますし、今後拡大していくことでしょう。電車の切符が交通系電子マネーに移行してきているように、ETCが便利な世の中から、ETCを持っていないと不便な世の中に変わりつつあるといえます。これから自動車の購入を検討している方は、ETCを搭載することをおすすめします」
料金所をストレスなく通過できるだけでなく、高速道路の料金にも大きな差を生むETC。まだ搭載していない人は、検討したほうがいいだろう。
(取材・文/有竹亮介(verb))