利用しても年金額そのまま

国民年金「全額免除」「学生納付特例」「産前産後の免除」年金額が一切減らないのはどれ?

提供元:Mocha(モカ)

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学生、自営業、フリーランスといった国民年金の第1号被保険者は、国民年金保険料を自分で納める必要があります。しかし、40年の間に、収入が一時的に減るなどして、国民年金保険料の納付が難しくなることもあり得ますよね。

そのような時のために、国民年金保険料の「全額免除」「学生納付特例」「産前産後の免除」といった免除制度が用意されています。このなかに、利用しても年金額が一切減らない制度があります。それはどれか、紹介します。

国民年金にかかわる「受給資格期間」と「保険料納付済期間」

20歳から60歳未満の日本国内に住む日本人は、国民年金の加入者となります。所定の国民年金保険料を納めることで、原則65歳から国民年金(老齢基礎年金)をもらうことができます。

国民年金をもらうには、保険料を原則納付している「受給資格期間」が10年間以上必要です。受給資格期間が10年に満たないと、年金が受給できません。

また、国民年金の年金額は国民年金保険料を納付した「保険料納付済期間」が何カ月あるかで決まります。2023年度の67歳以下の国民年金の年金額は「79万5000円×保険料納付済月/480カ月」で算出されます。

つまり、国民年金保険料を納めていない「未納」の期間があるなどして、保険料納付済期間の対象にならない期間があると、その分年金額が減ってしまいます。

もし国民年金保険料の納付に困ったら?

国民年金保険料を納めることが難しい場合、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を利用できます。具体的には、次のような制度があります。

●全額免除
「全額免除」は本人・世帯主・配偶者の前年所得(7月~12月に申請される方)、もしくは前々年所得(1月~6月に申請される方)が一定以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが難しい場合に手続きが可能な制度です。

国民年金の全額免除を受けた場合は、国民年金保険料を納付しなくても、受給資格期間、保険料納付済期間としてカウントされます。しかし、全額免除を受けた期間の年金額は、全額納付した場合の年金額の2分の1(平成21年3月分までは3分の1)となります。

なお、免除には全額免除以外にいくつか種類があり、所得の基準により「3/4免除」、「1/2免除」、「1/4免除」となる場合もあります。

●学生納付特例制度
国民年金保険料の納付は20歳から始まりますが、学生であるため所得が少ない人もいます。そんな方のために「学生納付特例制度」があります。日本年金機構が定める所得基準より少なく、学生である場合に学生納付特例制度が使用できます。

学生納付特例制度を利用している期間中は、受給資格期間としてカウントされますが、保険料納付済月としてはカウントされません。したがって、受給額は学生納付特例期間の年金額分、少なくなります。

●産前産後期間の免除制度
出産前後は出産・育児に備えて仕事をセーブするため所得が少なくなりがちです。そのため出産予定日または出産日の月の前月から4カ月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日の月の3カ月前から6カ月間)国民年金保険料が免除されます。これが産前産後期間の免除制度です。

産前産後期間の免除制度を利用している期間は、受給資格期間も保険料納付済期間どちらも保険料を納付したものとされます。さらに年金額も前述の全額免除などと異なり、満額の保険料を納付したこととして取り扱われます。つまり、産前産後期間の免除制度を利用しても年金額は一切減らないのです。

免除制度・納付猶予制度を使って減額した年金額を増やす方法は?

今回ご紹介した3つの制度のうち、免除制度と学生特例制度を使った場合、将来の年金額は本来の年金額よりも少なくなります。

もし年金額を増やしたい場合は、納付期限から10年以内であれば、国民年金保険料をあとから納める「追納」ができます。追納をした期間は、本来の国民年金保険料を納めた場合と同じ額の年金がもらえます。

ただし、3年目以降の追納は当時の保険料に加算額が上乗せされます。加算額が気になる場合は免除制度を利用してから2年内に追納するといいでしょう。

納付期限から10年以上過ぎている場合は、追納ができません。この場合は、60歳から65歳未満までの5年間にわたって国民年金の任意加入をすることで受給資格期間・保険料納付済期間を増やすことができます。仮に5年分(60カ月)任意加入すると、年金額は年およそ10万円増える計算です。

国民年金保険料の納付に困ったら未納にせず手続きを

国民年金保険料の「全額免除」「学生納付特例」「産前産後の免除」をご紹介しました。産前産後の免除は利用しても年金額が減りませんが、他の制度は国民年金保険料を追納しないと本来よりも年金額が減ってしまいます。ですから、国民年金保険料はできるだけ追納するようにしましょう。

また、今回ご紹介した制度はすべて事前に手続きが必要です。手続きをしないまま保険料を滞納すると「未納」となってしまいます。未納となった期間は、過去2年までしか追納できないうえ、受給資格期間・保険料納付済期間にもカウントされないため、免除を受けた場合よりも年金額が少なくなります。

国民年金保険料の納付に困ったらお住まいの役所、もしくは年金事務所に相談し、必要な手続きを行いましょう。

[執筆:ファイナンシャルプランナー 金子圭都]

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