ユニークな福利厚生や魅力的な制度を導入している企業のご担当者様にインタビュー

社員食堂からコミュニケーションを育み新しい働き方を支える空間として生まれ変わった、日本電気(NEC)のInnovation Hub「FIELD」の魅力に迫る!

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少子高齢化や働き方改革が進む中、多くの企業にとって優秀な人材を安定的に確保していくことは大きな課題となっているのではないでしょうか。

そんな中、社員の満足度を上げ、求職者にとっても魅力的な企業として選ばれるために、職場環境や福利厚生等の制度を充実させることを重要ミッションの一つとして捉えている企業が多いようです。

そこで、福利厚生等の社内制度の充実といった切口から、ユニークな取り組みをしている企業をご紹介!新しい働き方改革に合わせた魅力的な制度導入の背景や現在までの経緯、裏話に至るまで、ご担当者様にセキララに語っていただきました。

今回は、情報通信サービスの提供や情報通信機器の製造・販売を中心に行う、日本を代表するIT企業である「日本電気株式会社(NEC)」のユニークな福利厚生制度をご紹介します。

聞き手・執筆:ファイナンシャルプランナー 高山 一恵

――では、本日はよろしくお願いします。御社は、2021年に社員食堂を大幅にリニューアルされたそうですね。まず、リニューアルに向けての経緯を教えていただけますか?

本日お越しいただいている当社の本社ビルですが、1990年に最先端のC&C技術を駆使したインテリジェントビルとして完成しました。社員食堂も本社ビル完成時に整備され当時は最新鋭の設備だったのですが、だんだんと老朽化してきまして、これまでも若干のリニューアルはしてきたものの、大規模なリニューアルはしていませんでした。

また、昼間の喫食率も伸び悩んでおり、全体的に従来型の古き良き社員食堂、売店スタイルでは社員の満足度が低いことがうかがえました。

当社では、社内文化を変革するチェンジエージェント(C.A)活動というものがあるのですが、第二期C.A活動(2019/11〜2020/7)の一環で社員代表チームの一つから、老朽化した社員食堂のリニューアルに向けた提案が上がり、検討に一緒に取り組みました。

リニューアルする上では、「コミュニケーションを活性化する場」「コワーキングスペースBASEと連携したオフィスとしての活用+食事提供」「New Normalを意識した場づくり」の3つのポイントを意識しました。

実は、リニューアルに向けて動き出しているうちにコロナ禍になってしまったんです。

――社員食堂のリニューアルの提案が上がったのは、コロナ禍になる前だったんですね。

そうなんです。リニューアルに向けた検討中にコロナ禍になりまして、テレワークにより本社ビルの出社者も激減しました。そこで、改めて、New Normalを意識した福利厚生施設の在り方を協議することに・・・。

そして、外部の知見を取り入れながら、当社の働き方改革「Smart Work 2.0」に基づいた社員食堂のリニューアルを推進していくことになりました。

――「Smart Work 2.0」とはどのような施策なのですか?

簡単に申し上げると、これまでのように、出社して皆が同じ机に向かうような働き方ではなく、場所にとらわれず、社内外の方とコミュニケーションをとり、デジタルを活用しながら新しい働き方をしていきましょうといった趣旨の施策です。

この「Smart Work 2.0」に基づき、社員食堂を単にランチを食べる場所だけではなく、「組織、会社の枠を超えてイノベーションを紡ぎだす働き方ができる場所」である「Innovation Hub」のひとつに位置づけ、名前も「FIELD」と名付けました。

――従来の社員食堂のイメージとはかけ離れた、本当に素敵な空間ですよね。

ありがとうございます。FIELDは、「食を通してつながりを高め、イノベーション・コミュニケーション・アイデアを創出する共創空間」をコンセプトに創っています。

例えば、上司と部下の1on1や、チームビルディングなどでも、会議室で話すよりも時にはコーヒーを片手にだったり、食事をしながらの方が堅苦しくなくコミュニケーションが加速する場面も多いのではないかと思います。また、外部のお客様とは、お打合せ後、飲食を交えて歓談する際に、フードサービスに利用できるNECの顔認証決済をその場でご紹介など、社内外の垣根を越えたFIELDの活用範囲は非常に大きいと考えています。

様々な利用シーンが実現できるように、FIELDでは一人で集中して過ごしたい時に利用する「Focus Zone」、窓周りのゆったりとしたソファが置かれた空間で気分を切り替えてオフコミュニケーションもできる「Relax Zone」、イベント・セミナー内容に合わせてテーブル・椅子をフレキシブルに組み替えでき、パブリックビューイングも楽しめる「Event Zone」、キッチンに向かうメイン動線の両側には、偶然の出会いから雑談やコミュニケーションが自然と生まれる「Meet Zone」、と一つの空間の中で多様なアクティビティを叶えるゾーニングにも工夫しました。

他にも半個室で独立したスペースである「Collabo Space」、フードサービス機能には「CAFE&DELI」「“MEN-YA”」、「Plaza」とで、全体の空間を構築しています。

最近は毎日のように「Event Zone」の予約が入るようになりました。特にチーム単位でコミュニケーションを図っているケースが多いですね。社員間の交流促進を目的としたカジュアルなテーマから、組織として目指す姿を話し合うといった堅いテーマまで、また社外の方も交えての勉強会など、工夫しながらコミュニケーションを図っているようです。

そして、オープンな空間で行うことで、沢山の目に触れるので、自チームでも企画してみようと、次々につながりが連鎖していくのも良いところです。

――今の時代、家や近所のカフェでも仕事はできると思いますが、会社にこんな素敵な空間があるのなら、会社に行こうという気分になりますね。

「来て良かった」「この空間でのリアルコミュニケーションだから良かった」と思える環境を提供したいと思っています。

また、誰もがリラックスできるよう、空間全体も色味や雰囲気にこだわり、ウッド調でシックなトーンにまとめています。

また、壁やフロア、照明などにもこだわり、それぞれ意味を持たせています。例えば、多角形模様のポリゴンウォールは、「世界を技術で繋ぐ」NECらしさの発信を意味しており、当社の強みである多様性と発展性を多色パターンで表現しています。

ポリゴンフロアは、地形の起伏を表現することで、賑わいとシークエンスを演出していますし、多灯照明は、手作りで仕上げた吹きガラスの特注照明で、社員一人一人の異なる輝き、技術の起点となる素粒子を表現しています。

FIELDで仕事をしやすいように、モバイルバッテリーの貸し出しを行うガジェットステーションも用意しているのですが、そちらに施されている立体アートは、起伏に富んだアイデアを歓迎し、チャレンジする場所であることを象徴したアートワークとなっています。

――インテリアにも意味を持たせているとは、本当に素敵ですね!空間も素晴らしいですが、個人的にはメニューも気になります。メニューのラインナップを教えてください。

食についても様々なニーズに対応できるように幅広いメニューを用意しています。

FIELDは芝公園側の「パークサイド」、東京湾側の「シーサイド」、に分かれていまして、それぞれ提供するメニューは異なります。

パークサイド側「CAFE&DELI」では、本格的なコーヒーや自家製ベーカリー、サンドウィッチ、野菜スムージー、素材にこだわったプレートランチ、丼もの、スパイスカレー、パスタなどを提供しています。

シーサイド側には、本格麺専門店「“MEN-YA”」、24時間営業の売店「Plaza」があります。「“MEN-YA”」では、そば、うどん、中華麺の専用製麺機を導入し、こだわりの自家製麺と本格派の出汁、スープ、揚げたて天ぷらなどのトッピングを提供しています。自家製麺は、必要な分だけを粉から作るので、余らせることなくSDGsへの取り組みにもなっていると思います。

社員食堂というと、大量に作って提供という給食スタイルが一般的なイメージかと思いますが、FIELDでは多様なワークシーンとそれぞれのニーズにあわせて、バリエーション豊富な食、目の前で調理される熱々の料理を食べることができることを大切にしています。

――大量生産の食事ではなくて、その場で調理された食事が食べられるのはとても良いですね。社員の方の満足度も高いのではないでしょうか。

以前に比べると、女性の利用者が格段に多くなりましたね。一人でも気軽に食事ができ、バリエーションも豊かで女性が利用しやすくなっていると思います。

リニューアルする時に、女性の利用率を高めたいと思っていたので、とても嬉しいです。

また、以前は食事だけする方が多かったのですが、最近は、仕事もしつつ食事をとる社員が増えました。

FIELDの活用により、会社生活の潤いに繋がっていけばとても嬉しいですね。

――FIELDはどの時間帯に利用できるのですか?

朝の7時30分〜22時まで利用できます。ただし、CAFE営業は17時までです。

新コンセプト売店「Plaza」は、24時間営業しています。お弁当やおにぎり、健康食品やお菓子、豊富で珍しい酒類や雑貨などに加えて、セレクト家電も販売しています。また、有名和洋菓子店、全国の名産品等を集めた催事イベントも充実させています。

通常のコンビニとは一味違う商品も提供するようにしていまして、「見て楽しい」「選んで楽しい」ちょっとしたワクワク感や、Well-beingに繋がるよう工夫しています。また、コミュニケーション促進の一環で、17時〜19時まで酒類販売し、「アペロ」(サクッと飲み)が楽しめる環境を作りました。おつまみ、ノンアルコールドリンクも充実させているので、カジュアルに集うにはピッタリです。

――社員の方が羨ましいです。とはいえ、ここまでの素敵な空間にするには、ご苦労があったのではないかと思いますがいかがでしょうか?

社員食堂のリニューアルだけだったら、そんなに難しくなかったかもしれませんが、社員食堂がどうあるべきか、コンセプトから作り上げる必要があったので大変でしたね。ワークショップの実施を重ね、外部の知見もお借りし、何度もディスカッションしました。

それと、先程もお話した通り、リニューアルを進めていく間にコロナ禍になってしまったので、社員の出社が激減しました。コロナ禍がいつまで続くか見通しが立たない中で、当初思い描いていたゴールが揺らぐこともあり、どうするべきなのか非常に難しかったですね。

工事についても、当初はじっくりというスタンスだったのですが、急遽コロナ禍の間に短い期間で工事を進めることになったんです。

元々複数の食堂エリアに分かれた構造をリセットし、一部のバリアフリー化や、ワークスペースにするため空間全体の床上げ・配線引き直しと大規模工事でした。時間と予算との調整に悩みながら、多くのリニューアル関係者との結束の下、全員でゼロからリニューアルプロジェクトを達成。非常に感慨深かったです。

――なるほど。コロナが流行したことで、当初の計画に大きな影響がでたんですね。コロナも5類に移行し、これから利用が増えるのが楽しみですね。

そうですね。万全な感染防止対策に留意しながらリニューアルオープン、出社数激減の中で認知度UPをどう図り、どのように場を成長させていけるか、とにかく手探りでした。

先程もお話の通り、徐々に食事だけの利用から仕事もする方が増え、女性社員の利用率も上がり、積極的なイベント利用が増えていくこれまでの変化を嬉しく感じる一方、まだ伸びしろがあり成長過程と捉えています。今後さらに、他地区への展開やエンゲージメント向上への試行錯誤を重ねていくことで、FIELDの多様な活用が進み真価を発揮するのではないかと期待しています。

一方で課題もありまして、多くの社員が、12〜13時に休憩をとるという従来の仕事スタイルはあまり変わらないんですよね。

いろいろなシーンに合わせて自由に使えるようになったといっても、結局、12時〜12時30分の間が、一番ランチ利用者が集中するということになっています。
できれば分散利用して欲しいと思っています。

今後いかに有効活用できるか、社内の意識改革も重要と感じています。

――なるほど。利用する側の意識改革も必要なんですね。とはいえ、本日お話をお聞きしてきて、御社の社員食堂は、これまでの食堂、売店という発想から解放された次世代型の社員食堂だと感じました。社員の方の新しい働き方を支える空間として、ますますの発展を願っております。では、最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。

Innovation Hub「FIELD」は、「Smart Work 2.0」の一環で構築し、コロナ禍での険しい地道な場の周知活動も経て、今では社員がこの環境でのリアルコミュニケーションを求め、積極的に活用されるようになりました。一方で、今後も時代の流れとともに、ニーズも刻々と変化していく中でも、先々を見通しながらの挑戦を続け、環境整備・活用促進策をバージョンアップしていきたいと考えています。

この記事をご覧になられた企業様、福利厚生ご担当者様にも、当社と同様の試行錯誤や、より良い先進事例をお持ちでいらっしゃるかと思います。機会がありましたら是非、情報交換等させてください。

NECでは「Smart Work 2.0」を基に、社員が最高のパフォーマンスを発揮できるよう施策展開しており、今後も社会価値創造に貢献できるよう努めてまいります。株主の皆様におかれましては、NECグループの企業活動にも何卒ご期待いただけましたら幸いです。

著者/ライター
高山 一恵
(株) Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー(CFP®)
一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株) エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。「マンガと図解でしっかりわかる はじめてのNISA&iDeCo(成美堂出版)」など多数の書籍を出版。
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