新入社員も夏のボーナスを受け取れる…かもしれない?

新社会人も転職者も知っておきたい「ボーナス」のキホン

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6月終わりから7月前半にかけては、会社から夏のボーナスが支給される時期。大きなお金がまとめて入ってくるが、どうやら会社によってそのシステムは異なるようだ。

そこで、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、ボーナスの基礎知識を教えてもらった。新入社員は、夏のボーナスが入ってくるかどうかも要チェックだ。

ボーナスは「業績」によって金額が左右するもの

「ボーナス(賞与)は、法律で定められている義務ではないので、必ず支給されるものではありません。最近はボーナスを設けていない会社も増えてきています。ボーナスを支給する場合も、会社によって金額やタイミング、回数は異なります」(氏家さん・以下同)

ボーナスにはいくつかの種類があるとのこと。一般的なものを紹介してもらった。

●基本給連動型賞与
「基本給の○カ月分」という形で、あらかじめ支給される金額の基準が明示されるボーナス。日本の企業で採用されていることが多い。例えば、国家公務員の令和4年12月期のボーナスは「2.21カ月分」となっていた。

●業績連動型賞与
会社の業績をもとに支給額を算出するボーナス。業績が良ければ、従業員に還元するというシンプルな仕組みで、外資系の企業で採用されていることが多い。

●決算賞与
決算時期に明確になった会社の業績をもとに、その前後に支給されるボーナス。会社によっては夏と冬のボーナスに加え、業績が良かった際に決算賞与を支給するというところもある。

「種類によって支給の時期や金額の決め方が異なりますが、基本的にボーナスは業績が良かった場合に従業員に還元するものです。基本給連動型賞与も、業績によって上がることも下がることもあり得ます」

業績によって変化するということは、まだ業績に影響するほど働いていない新入社員は、夏のボーナスをもらえないということだろうか。

「新入社員のボーナスに関しても法的な取り決めはないので、会社によって異なります。ただ、支給されるとしても、まだ働き始めて数カ月なので、先輩社員と同程度の水準になるとは考えにくいといえます。ボーナスがある会社であれば、夏のボーナスは気持ちばかり受け取れる可能性があるというくらいに捉え、期待しすぎないようにしましょう」

ボーナスのはじまりは“江戸時代の慣習”!?

一般的に、夏のボーナスは6月から7月にかけて、冬のボーナスは12月に支給されることが多い。決算時期は会社によって異なるが、なぜボーナスの支給は同じ時期になるのだろう。

「諸説あるようですが、そのひとつとして、江戸時代からボーナスのような制度があったことが関係しているといわれています。日本では盆と正月に帰省する習慣があるため、雇用主が『親孝行でもしてきなさい』という意味の心付けとして始めたとされているのです」

その慣習が残り、現在も夏休みや冬休みに入る前にボーナスが支給されるのだ。

「もちろん上半期・下半期が終わって、業績が出たタイミングということもあると思いますが、帰省という日本人の習慣が大きくかかわっていると考えたほうが、時期的には納得がいきますよね」

「ボーナスの手取り」が「給与の手取り」より多い理由

実際にボーナスを受け取ると、普段の給与と比べて引かれている税金や社会保険料が少ないことに気付くだろう。特に基本給連動型賞与だとわかりやすい。この差は、なぜ発生するのだろうか。

「その理由は、ボーナスからは住民税が差し引かれないからです」

住民税は、前年の所得から算出された税額が、翌年の6月に課税されるもの。会社員であれば、基本的に税額を12で割った額が毎月の給与から差し引かれることになる。

「なぜ、ボーナスからは差し引かれないかというと、ボーナスは必ず支給されるとは限らないもので、支給額も明確ではないからだと考えられます。住民税を12で割って毎月の給与から差し引くほうが確実であり、事務手続きもラクなので、ボーナスから差し引かれることがないのでしょう」

「ボーナスを生活費のあてにする」はNG

最後に、ボーナスに関する注意点も聞いた。

「いずれ転職を考えている場合は、ボーナスが支給される基準を確認しておくことをおすすめします。この基準も会社によって異なるからです。例えば、6月30日にボーナスが支給されるとして、支払基準日となる6月1日に在籍していれば受け取れる会社もあれば、支給日の6月30日に在籍していないと受け取れない会社もあります。なかには、退職前の有休消化中に支給日を迎えると、ボーナスが減額されるところもあるようです」

ボーナス支給の基準は、転職のタイミングを決める材料のひとつとなりそうだ。

そのほかにも、精神的な部分での注意点があるという。

「ボーナスは必ず支給されるものではありません。日々の生活費のあてにしようと考えていると、コロナ禍のような緊急事態で会社の業績が悪化し、ボーナスがなくなった場合に生活が立ち行かなくなるおそれがあります。毎月の給与で、日々の生活費をやりくりできるようにすることが大切です」

ボーナスが入ったら、メリハリのある使い方をするのが理想とのこと。

「ボーナスが入ったら、買うものなどの目的を決めて使うのはいいと思います。新入社員で1人暮らしをしているために普段の給与は貯金に回せていないという人もいると思うので、ボーナスをまるっと貯金に回すという方法もあります。なんとなく生活費の補填にするのではなく、目的を持って使いましょう」

給与から貯金ができているようであれば、ボーナスの一部を投資に回すという使い方もあるだろう。夏のボーナスが入ったら、なんとなく使うのではなく、使い道をしっかりと考えよう。
(取材・文/有竹亮介(verb))

お話を伺った方
氏家 祥美
ファイナンシャルプランナー、セカンドキャリアアドバイザー。ハートマネー代表。共働き家族やリタイアメント世代向けに幸福度の高い家計作りを支援するほか、教科書執筆など中立な立場での金融リテラシー教育に力をいれる。Zoomを使ったオンライン家計相談が好評。
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
用語解説

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