マクロ見通し

正常な状態への道筋についての考察

提供元:フランクリン・テンプルトン・ジャパン

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本記事は、フランクリン・テンプルトン・インスティテュート「Macro Perspectives(2023年4月)」の翻訳版を抜粋・再構成したものです。筆者は、フランクリン・テンプルトン・インスティテュートのチーフ・マーケット・ストラテジスト、スティーブン・ドーバーです。

各国中央銀行は、インフレの高止まりに加えて、不安定な経済指標や、銀行セクターの混乱などの問題にどのように対応するかに頭を悩ませています。こうした中で、フランクリン・テンプルトンのエコノミストが、経済成長、金利、インフレ、および債券市場の今後の展開について見解を述べました。

当社のパネル・ディスカッションには、ウエスタン・アセットのポートフォリオ・マネージャーであるジョン・ベローズ、フランクリン・テンプルトン債券グループの最高投資責任者(CIO)であるソナル・デサイ、テンプルトン・グローバル・マクロ・グループの最高投資責任者(CIO)であるマイケル・ハッセンスタブ、フランクリン・テンプルトン・インベストメント・ソリューションズのリサーチ・ヘッドであるジーン・ポドカミナー、およびブランディワイン・グローバルのグローバルマクロ・リサーチ・ディレクターであるフランシス・スコットランドが参加しました。

このディスカッションにおける主なポイントを以下に列挙します。

●3月に激動を感じさせる出来事が起こったものの、当四半期における今後の見通しについては、前四半期からほとんど変わっていません。

強いて言えば、債券の見通しについてはより強気になっており、ポートフォリオにおける債券の役割がより重要になったと考えています。米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とするターミナルレートの予想はやや低下していますが、以前の予想と非常に似通った水準となっています。

●今回の銀行の混乱による影響がまだすべて明らかとなっていない中で、銀行システムに対して信頼を置くにはまだリスクが残っています。

今回の銀行の混乱は、経営に欠陥があり、資産と負債にミスマッチが生じている特定の銀行だけに影響が及んでいるように思われます。しばらく時間が経過し、銀行の業績がどのように推移するか、銀行に対する世間の見方や利用がどのようになるかを評価できるまで、正確に判断することはできません。

●2%のインフレ目標を達成できるかどうかはまだ定かではないため、利上げの一時停止や、政策転換までどのくらいの期間を要するかに関して様々な見方が浮上しています。

一部のパネリストは、インフレが長期にわたり高止まりし、FRBがインフレ目標を達成するために利上げを継続すると見ています。これらのパネリストはターミナルレートが5.25%程度になり、年内はこの水準が維持されると予想しています。

この水準は前四半期の予測をやや下回っています。経済指標の悪化が目立つようになっている中で、利上げの確率が低下しています。1人のパネリストは、経済の混乱がインフレ率の低下につながることから、FRBが近いうちに利上げを打ち止めにすると考えています。

●米ドルは軟調に推移する可能性が高いと思われます。

米ドルは非常に高いリターンを上げていますが、財政赤字、経常赤字、および相対的な成長格差が再注目されれば、米ドルは軟調に推移する可能性があります。米ドルは大幅に下落しないかもしれないが、大きく変動することはほぼ間違いないと考えられます。

●アジア(特に中国および日本)は、堅調な経済成長や投資機会が存在すると思われます。

アジアとその他の国々には成長機会に違いが見られます。中国における経済活動再開により、消費主導の経済活動が生じると考えられます。これにより、アジアや世界全体にわたりプラスの波及効果が及ぶと見込まれます。日本は特に自動化・ロボット化の分野で強みを発揮しており、サプライチェーンが再編される中で、この強みは競争優位性になると考えられます。

●地政学的な対立が依然として主なリスクとなっています。

継続的に注視する必要のある分野としては、米国と中国および米国とロシアの関係が挙げられます。また、世界中の多くの地域における不安定な経済環境や政治情勢を踏まえると、予期しない対立(「未知のリスク」)が生じるリスクもあります。

●昨年とは打って変わって、債券はその他のポートフォリオ資産に対する分散効果を再び示しています。

債券はようやくより多くのインカム収入を獲得できるようになり、株式に対する分散効果も発揮しています。すべてのパネリストが債券に対してより強気になっており、前四半期よりもデュレーションを長期化しています。

イールドカーブの短期ゾーンは割高であるため、当社のパネリストは広範なエクスポージャーに注目しており、デュレーションをニュートラルに変更するか、長期化しています。1人のパネリストはベストの投資機会として5~10年の債券に着目しています。こうした環境下を踏まえ、格付けの高い債券に依然として注目しています。

• ボラティリティが高まったことにより、投資機会が生じています。

市場は、経済的なイベントに対して当初は過剰に反応する場合が多く、これにより投資機会が生じます。このことは判断が難しいものの、覚えておくべき重要な教訓であり、複数のパネリストがこのことを強調しました。

今後の道のりは険しいかもしれませんが、最高の投資機会を捉えるためには、長期的見通しを策定し、十分に分散されたポートフォリオを構築することが重要です。

分散されたポートフォリオを構築することにより、状況の変化を上手く切り抜け、様々なシナリオの下で投資機会を上手く捉えることが可能となります。債券に多く配分することにより、ポートフォリオに多くのインカム収入をもたらし、その他の資産クラスからの市場リスクをある程度ヘッジすることが可能となります。

詳細は、レポート『マクロ見通しー正常な状態への道筋についての考察(PDF)』をご参照ください。

(提供元:フランクリン・テンプルトン・ジャパン)

●当資料は説明資料としてフランクリン・テンプルトン(フランクリン・リソーシズ・インクとその傘下の関連会社を含みます。以下FT)が作成した資料を、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が翻訳した資料です。
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