親の税金が増える意外な盲点

子どものバイト「稼ぎすぎ」に要注意。親の税金はいくら増えてしまうのか

提供元:Mocha(モカ)

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子どもが高校生・大学生になると、アルバイトを始めることがあります。バイト先での社会経験が大人になってから生きることもあるでしょう。

ぜひがんばってもらいたいものですが、気をつけなければいけないのは「稼ぎすぎ」。子どもがバイトで稼ぎすぎると、親の税金がアップする可能性があります。どういうことか、解説します。

子どもの扶養控除で親の税金が安くなる

所得控除は、所得税の金額を計算するときに、本人や家族の状況、災害や病気といった個別の事情を税額に反映させるための制度です。所得控除は、全部で15種類あります。

そのうちの1つ、扶養控除は、扶養親族がいる場合に適用できる控除です。

●扶養控除で控除できる金額

(株)Money&You作成

高校生の子どもを扶養している親は、扶養控除によって所得税の計算の元となる所得を38万円差し引くことができます。また、大学生の子どもの場合は「特定扶養親族」に該当するため、所得を63万円差し引くことができます。

所得税は、扶養控除を含む所得控除を行った後の課税所得に所定の税率をかけて計算します。ですから、扶養控除をすることで課税所得が減れば、税金の負担も減ります。

子どもを養っている家庭は、そうでない家庭よりも経済的な負担が大きくなります。そこで、扶養控除をすることで税金の負担を減らしてあげよう、というわけです。

子どものバイト代が「103万円」を超えると親の扶養から外れる

扶養控除の対象となる人は、生計を一にする(生活費を共有している)16歳以上の親族で、年間の合計所得金額が48万円以下の人です。なお、配偶者は扶養控除の対象ではなく、「配偶者控除」「配偶者特別控除」という、別の所得控除の対象になります。

「年間の合計所得金額が48万円以下」となる年間の収入は、103万円です。働いて給与をもらう人は、所得から働く人の経費にあたる給与所得控除を差し引くことができます。この給与所得控除の最低額は55万円なので、

年間の収入103万円−給与所得控除55万円=年間の合計所得金額48万円

となります。

つまり、子どもの収入がバイト代だけの場合、年間のバイト代が103万円以下ならば合計所得金額が48万円以下になるため、扶養控除の対象になる、ということです。

しかし、子どもがアルバイトでたくさん稼ぎ、年間のアルバイト収入が103万円を1円でも超えてしまうと、子どもは親の税金の扶養から外れてしまいます。それによって、親は38万円・63万円の所得控除が受けられなくなるため、税金が高くなってしまうのです。

親が所得税10%(住民税は所得税率にかかわらず一律10%)の場合に増える親の税額は、単純計算で

・大学生の場合 63万円×20%=12万6000円
・高校生の場合 38万円×20%=7万6000円

となります。

所得税の税率は所得によって5%から45%まで、段階的に上昇します。したがって、年収が高いほど、子どもが扶養から外れたときの税額が多くなってしまいます。特に大学生の場合は、扶養控除の金額も大きくなるため、扶養から外れた場合に増える税額も多くなることには注意が必要です。

子どもが対象の「勤労学生控除」もあるが…

子どもの年収が103万円を超えると、子ども自身が税金を払う必要があります。しかし、学生ならば所得控除のひとつ「勤労学生控除」が利用できます。

勤労学生控除は、納税者が高校生や大学生などのときに利用できる所得控除。子ども自身の所得を27万円差し引くことができます。つまり、子どもが年収130万円以下ならば、子どもの所得税も非課税にできます。

しかし、勤労学生控除が利用できても、扶養控除から外れることで親の税金が増え、世帯の年収がかえって減ってしまうこともありえます。

さらに、子どもの年収が130万円を超えると、親の社会保険の扶養からも外れてしまいます。こうなると、国民健康保険料や国民年金保険料の支払いが発生します。扶養控除が受けられなくなって親の税金が増えるだけでなく、子どものバイト代の手取りも減ってしまうことになります。

子どものおこづかいを増やして、バイト代は「年収103万円以内」に

子どものバイト代と親の扶養控除の関係を紹介してきました。子どもが稼ぎすぎて、年収103万円を超えると、親は子どもの扶養控除を受けられなくなり、税金が大幅に増えてしまいます。子どもにも勤労学生控除があるものの、親の税金が増えるケースのほうが多いでしょう。

したがって、高校生・大学生の子どもが働く場合は、年間のバイト代を年103万円以内にしてもらったほうがいいでしょう。あらかじめ子どもと相談して、子どものおこづかいを増やすなどの調整を行い、扶養内で働いてもらうようにしましょう。

[執筆:マネーコンサルタント 頼藤太希]

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