株式市場のトレンドを把握!株式分布状況調査とは?

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はじめに

イーロン・マスク氏がツイッターの筆頭株主になり買収を行ったことは記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。他にもマスク氏はテスラ株を何度も売却し何千億円というお金が動いたことなど、大株主の動向はよくニュースになりますね。投資家にとって他の投資家がどんな株式を売ったり買ったりしているのか、とても気になるポイントだと思います。
今回は、株式が1年間で売買を繰り返された結果、分布状況がどうなっているのか調査した株式分布状況調査に注目していきましょう。

そもそも株式分布状況調査とは?

全国の証券取引所では、株式所有の実態を把握するために毎年株式の分布状況に関する調査を実施しています。これが株式分布状況調査(以下、「本調査」)です。

本調査は毎年7月に公表しており、今年の調査対象は、2023 年 3 月末時点で全国の取引所に上場していた内国上場会社3,927 社です。一部調査対象外の会社(上場後の株主の状況を把握することができない会社等)もありますので、調査対象になるかならないかの基準などについては、本調査の末尾に記載されている調査要綱もご覧ください。

なお、株主数については、上場会社間の名寄せを行うことができないため、全社ベースの集計値の算出にあたっては、各上場会社の株主数を単純に合算した「延べ人数」を用いています。例えば、1 人で 10 銘柄保有している株主は、本調査では 10 名の株主としてカウントされています。

調査でどんなことがわかるの?

主に所有者の属性別に、様々な角度から調査を行っています。属性は大きく分けて(1)政府・地方公共団体、(2)金融機関、(3)証券会社、(4)事業法人等、(5)外国法人等、(6)個人・その他の6種類。金融機関のなかに都銀・地銀、信託銀行、保険会社等々、さらに細かいカテゴリーに分かれています。

特に調査結果で興味深いのは、個人投資家についてのデータです。個人株主数の推移や増減の分析、個人の売買動向や業種別保有比率等の状況が公表されており、昨年との比較も出ています。個人投資家がこの1年間でどんな動きをしていたのかが理解できます。

調査はPDF 17ページ分と少々ボリュームがありますが、冒頭3ページに調査結果の概要が記載されていますので、そちらを読むだけでもおおよその傾向がわかります。

個人投資家の傾向を把握しよう

では、実際に個人株主数はどう変化したのか、具体的に見ていきましょう。

図1 個人株主数(延べ人数)の推移

実は、株主全体の約98%は個人であり大半を占めています。今年は前年度比521万人増の6,982万人と9年連続で増加となり過去最高を更新しています。

表1 個人の売買動向

次に、個人の売買動向をチェックしてみましょう。2020年度までは個人の株を買った金額よりも売った金額の方が大きい年が続いていましたが、2021年から買った金額が上回った状態、いわゆる買い越しに転じています。

表2 個人・その他の業種別保有比率等の状況

では、どんな業種が個人投資家に人気だったのか、詳しく見てきましょう。

個人・その他では、33業種中30業種で保有比率が上昇する結果となっています。

特に注目すべきなのは、保有比率が上昇した業種の上位3つの海運業、鉄鋼、倉庫・運輸関連業です。この3業種は株価騰落率(株価指数の変動がどれくらい大きいか)の絶対値(プラスマイナスの符号をとった値)が大きいことが特徴として挙げられます。

株価が不安定だと売りたくなるという心理が働く人が多いと思いますが、その中でこれらの業種の保有比率が伸びていることは面白いですね。

株式投資をするとき、投資家は周りが何の銘柄をどうやって売買しているのかが特に気になるポイント。今回ご紹介した個人株主の動向以外にも、本調査では、外国法人等や金融機関などのカテゴリーの状況についてもとりまとめていますので、同じように状況確認してみてはどうでしょうか。新たな発見があるかもしれません。

(東証マネ部編集部)

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