グローバル投資環境見通し

2023年中間見通し:全面的に投資すべきとき

提供元:フランクリン・テンプルトン・ジャパン

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本記事は、フランクリン・テンプルトン・インスティテュート「Global Investment Outlook(2023年6月)」の翻訳版を抜粋・再構成したものです。筆者は、フランクリン・テンプルトン・インスティテュートのチーフ・マーケット・ストラテジスト、スティーブン・ドーバーです。

今回の中間展望では、債券、株式、オルタナティブ投資などの魅力について取り上げます。各種投資テーマを掲げる運用チームとの継続的な対話を基に、2023年下半期に向けた当社の市場展望をお届けします。

安定化の手がかり

2022年が投資家にとって何もかもうまくいかない年だったとすれば、2023年前半に事態は逆転しました。この6カ月間に起きたさまざまな災難(企業収益の減少、米国史上最大規模の銀行破綻、景気後退一色に染まった市場コンセンサスなど)にも関わらず、今年の前半は株式、債券ともに力強い回復を見せました。2022年は散々な結果でしたが、60/40に代表される典型的な株式/債券ミックスのポートフォリオは、2023年上半期に+6%のパフォーマンスを記録しました。1

1.  出所:ブルームバーグ、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス。

注:S&P500指数は株式を代表する指標として使用されています。ブルームバーグ 米国アグリゲート債券インデックスは債券を代表する指標として使用されています。インデックスは管理されたものではなく、インデックスに直接投資することはできません。インデックスには報酬、経費、販売手数料は含まれていません。過去の運用実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。

これは今年後半の低迷の予兆なのでしょうか?お馴染みの格言「5月に売り逃げろ」は、2023年の後半2四半期にも当てはまるのでしょうか?私たちはそうは思いませんし、5月に売ることも、あるいは6月や7月に売ることにも賛成しかねます。投資リターンが低迷するとも考えておらず、もちろんリスクの一つではありますが、当社の基本シナリオではありません。

むしろ、2023年後半は様子見から脱却することで、投資家がリターンを得るチャンスではないかと考えています。それには克服すべき課題もあるでしょうし、右肩上がりの強気相場を想定しているわけではありません。しかし、短期的にも長期的にも好機が提供されており、シンプルな結論として、今こそ全面的に投資するタイミングです。

「心配の壁をよじ登る」

2023年前半のグローバルな株式・債券市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な引き締めを行い、企業収益が数四半期連続で低下し、米国史上2番目と3番目となる銀行破綻が発生し、米国政府が債務上限問題でデフォルトの一歩手前まで行き、リセッションが米国および世界的に予想される中、まさに逆境の中で反転となりました。

そのような中、どのようにして株式市場の反発は起きたのでしょうか?「株価は心配の壁をよじ登る」という格言がありますが、今年の株式・債券市場は、高騰したエネルギー価格の呪縛から解放され、賃金インフレがピークアウトしたことによる恩恵を享受しました。地政学的緊張は高まったままですが、前年のショックが繰り返されることもなく、エスカレートすることもありませんでした。

FRBをはじめとする連邦政府や外国の政府当局は、銀行危機を速やかかつ効果的に収束させるために介入しました。米国政府のデフォルトは、妥協と超党派主義によって回避されました。こうした要因のすべてがリスクプレミアムの低減につながり、多くの株式と債券の価格を押し上げたのです。

人工知能(AI)の応用技術への関心が高まったことも米国株式が活性化した要因の一つです。AIでもてはやされた銘柄の一部はすでにS&P500指数銘柄の主要銘柄となっており、急上昇し、市場平均を押し上げました。実際のところ、S&P500指数の中では、そうした一部の幸運な企業と、それ以外の企業の冴えないパフォーマンスとの乖離が2023年上半期には記録的な大きさに達しました。2

2.  出所:ブルームバーグ、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス。

注:S&P500指数は株式を代表する指標として使用されています。ブルームバーグ 米国アグリゲート債券インデックスは債券を代表する指標として使用されています。インデックスは管理されたものではなく、インデックスに直接投資することはできません。インデックスには報酬、経費、販売手数料は含まれていません。過去の運用実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。

一握りの銘柄が牽引する相場は快方へ向かう予兆

さまざまな立場の市場関係者が、この数カ月のグローバル株式市場について一握りの銘柄が牽引する状況は長続きするものではなく、今後問題に直面すると指摘しています。

しかし、私たちの見方は違います。米国企業の利益は、この数四半期は悪化したものの、今後の見通しには明るさが見えてきています。世界的に、中でも欧州(特にドイツ)では業績修正が上向きに転じています。2024年初旬には、米国企業の利益成長の伸びが加速して2桁台になると予想しています。3

3. これらの予測や、予想、見積もりが実現する保証はありません。

この企業分析にはアナリスト特有のやや楽観的なバイアスがかかっていることは事実ですが、それでもいくつかのポイントは強調されて然るべきだと考えます。

●第一に強調されるポイントは、世界的な企業収益の低迷時期は今後来るのではなく、すでに今来ている可能性が高いことです。中国では2022年の第4四半期に落ち込んだ企業収益が、欧州と同様に増加に転じ始めています。

●第二に、景気後退に伴って起きる業績の悪化が、先行して進んだという点です。つまり、投資家は企業業績の悪化という悪材料をすでに現在の株価に織り込んでいます。

●第三に、今回の景気サイクルが、重要な面において従来とは異なることです。具体的には、新型コロナウイルスの大流行(パンデミック)が引き起こした(そしてその後も解消されていない)労働力供給の崩壊が、労働力に対する持続的な超過需要を生んでいることです。端的に言えば、雇用の伸びはこの景気サイクルの現段階で予想されるものよりもはるかに強いです。
それが結果的に、景気後退の可能性を遅らせ、また低減することにつながっています。というのも、家計所得の増加による影響が、米国の最終需要の3分の2以上を占める個人消費にプラスの効果をもたらすからです。

要するに、仮に米国が景気後退入りするとしても(それは今も圧倒的コンセンサスであり、したがって市場価格もそれをある程度織り込んでいますが)、おそらくその時期は遅れ、また以前の景気後退よりも軽微なものになるであろうと考えています。それどころか、現在起きている企業収益の悪化自体が、景気後退が到来する前に終了してしまう事態も想像できないことではありません。

もちろんリスクはある

どの市場予測においてもリスクを正当に評価しなければ予測したとは言えません。さまざまなことが起こりえます。しかし、その結果は、少なくともその一部を分散できる場合もあります。また、もちろんより対応に苦慮する事態になることもあるでしょう。

●深刻な景気後退:
インフレが持続し、世界の中央銀行による協調的な引き締めの強化に、財政抑制が伴った場合(債務上限の妥協案は歳出削減を伴い実行されました。)、米国および世界の経済は私たちの想定よりも早くかつ深刻な景気後退に陥る可能性があります。しかし、投資家が(当社が選好するように)保有ポートフォリオのデュレーションを長期化していれば、グローバル株式や現地通貨建ての新興国債券市場で生じる損失の少なくとも一部は米国債による利益が相殺してくれるでしょう。

●地政学的緊張のエスカレート:
起こりうるシナリオの中には、ウクライナの反攻が成功し、ロシア軍が無秩序に撤退するというケースも考えられます。この場合、ロシアのプーチン大統領は、戦術核を含む危険な武力行使に踏み切るかもしれません。そうなればいくら債券がある程度の避難場所を提供するとは言っても、その余波でマーケットには激震が走ることになります。その他、台湾や南シナ海などの紛争を抱える地域も、引火点となって市場のリスク要因となる可能性があります。

●エネルギー供給の世界的な混乱:
エネルギー・コストが急騰すると、単に世界の経済成長が懸念される以上の事態になる可能性があります。それはインフレと金融政策対応への不安を再燃させる可能性があります。バランス型のポートフォリオにとって、予期せぬインフレは分散することのできないリスクだということは、2022年に投資家が身をもって痛感したことです。

●リターンの低迷:
私たちの予想に反して、企業利益の伸び悩みが続き、世界的に成長が鈍化し、インフレ率が中央銀行の目標水準を上回る状況が根強く続くような場合、株式も債券も(新興国債券市場も)期待するリターンを上げられない可能性があります。
その場合、おそらくボラティリティは高止まりしているため、リスク調整後のリターンはさらに期待できないものになります。今後6カ月間はその可能性があります。しかし、その現象が長く続くとは考え難いものがあります。このリスクは、言い方を変えれば、間違っているということではなく、早過ぎたことの代償と言えるのかもしれません。

投資機会をつかむ

上記から、市場を牽引してきた一握りの銘柄がより幅の広い銘柄に取って代わられる可能性が高く、機敏な投資家にとってより多くの投資機会が生まれることが示唆されます。

収益の足を引っ張っている悪材料が薄れつつあることや、米国と世界の政策金利がピークアウトすること(インフレ率が2023年後半にかけて低下するため)、おそらく米ドル安に向かうこと(FRBが6月にそれまで継続していた利上げを一旦休止したため)などの要因が今後6カ月の株式市場、債券市場、それに為替市場において、数少ないどころか、多くの投資機会を提供することになるでしょう。

本稿では、今年後半の投資機会について議論する際、当社の投資チームから提供された主要ポイントを示す有益な図表を交え、より詳細な見通しをご紹介します。

詳細は、レポート『グローバル投資環境見通し―2023年中間見通し:全面的に投資すべきとき』をご参照ください。

(提供元:フランクリン・テンプルトン・ジャパン)

●当資料は説明資料としてフランクリン・テンプルトン(フランクリン・リソーシズ・インクとその傘下の関連会社を含みます。以下FT)が作成した資料を、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が翻訳した資料です。。
●当資料は、FTが各種データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。
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