2024年に生まれ変わるNISA

NISAの「基本」「活用法」をわかりやすく届けるイベントを開催

岡三証券×東証コラボセミナーで解説!「新しいNISAってどう使えばいいの?」

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2023年8月7日、岡三証券室町本店のセミナールームで、「NISAでひらく未来のとびら ~新制度のしくみと活用法を伝授!~」と題されたセミナーが開催された。

岡三証券と東京証券取引所がコラボしたこのセミナーは、タイトルのとおり、2024年に始まる「新しいNISA(少額投資非課税制度)」を解説していくもので、オンラインでの配信も行われた。その様子をお届けしよう。

まずは「NISA」と「投資」の基本を解説


三部構成となった今回のセミナー。第一部は、東証 金融リテラシーサポート部の富田貴之さんが、「NISA」の仕組みを解説する。

まずは、「NISA」の基本をおさらい。売買益や配当金、分配金などのあらゆる利益が非課税になる制度で、本来かかるはずの20.315%の税金がゼロになる。「100万円の利益が出た場合、本来は20万3150円の税金が引かれてしまう」という具体例を出して解説。

続けて、2024年から始まる「新しいNISA」についても紹介していく。現行の「NISA」と比較しながら、「非課税保有期間の恒久化」「非課税保有限度額が1800万円に拡大」「つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能」「非課税枠の再利用が可能」といったメリットとなる変更点が多いことを、図版などを用いて伝える。

具体的な「NISA」の活用法に移る前に、投資の基本も解説する。「投資におけるリスクとは、損をすることではなく、リターンの振れ幅の度合い」と説明したうえで、リスクをコントロールする投資手法として提案されたのが「長期・積立・分散」。この3つを意識して投資を継続することで、リターンにつながりやすくなる仕組みを丁寧に説明。さらに、投資商品についても紹介していく。

「投資先に関しては、少額から分散投資ができる『投資信託』が有力な選択肢になります。投資家から集めた資金をもとに運用するもので、1万円からでも分散投資が可能です。株価指数などへの連動を目指すインデックスファンド、株価指数などを上回る成果を目指すアクティブファンドという2種類に大きく分けられます」(富田さん)

「投資信託の選択で重要なのが、信託報酬と呼ばれるコスト」と説明した信託報酬とは、証券会社に支払う手数料のようなもので、商品によって割合が異なる。一般的にインデックスファンドはコストが低く、アクティブファンドはコストが高い傾向にあり、コストが高いものを長期で保有すればするほど、手数料を多く支払うことになる。

「インデックス型かつ低コストな投資信託の一種として、ETFという選択肢もあります。ETFは指数との連動を目指す投資信託ではあるのですが、証券取引所でリアルタイムで売買できるという特徴があります。また、比較的コストが低いところもポイントです。『新しいNISA』では成長投資枠で購入できる予定なので、選択肢のひとつになってくるかと思います」と、ETFも紹介して、第一部が終了。

「新しいNISA」の活用法と事前準備を提案


第二部は、岡三にいがた証券 商品部・エクイティ情報部の橋本貢浩さんが、「新しいNISA」の活用法を紹介。具体的な手法を話す前に、橋本さんは投資商品選びの考え方を、旅行の荷造りでたとえた。

「荷造りが苦手な人は、荷物を詰めることが目的になってしまいがちですが、荷造りは本来『旅行を楽しみ、円滑に進めるために持っていくものを考える手段』です。投資商品選びも同じで、選ぶことが目的ではありません。投資を理想どおりに進めるための手段なので、まずは投資の目的から考えてみましょう」(橋本さん)

例として挙げられた投資の目的は、「利益追求」「資産形成」「キャッシュフロー」の3つ。「キャッシュフロー」とは、配当金や分配金などの定期的な収入を得ること。橋本さんは「このうち、長い時間をかけて運用する前提となる『資産形成』『キャッシュフロー』は、『NISA』が適している」と話す。

「『新しいNISA』の活用は、3つの方法が考えられる」として、提案した1つ目は株式の活用。「インフレ下にある日本においては、どのような業種の株価が上がりやすいのか、過去の潮流を見ながら判断していくといい」と、解説する。

2つ目は、積立投資。「積み立てで投資を行うと、デフレ下でも成長が期待でき、インフレ下だとさらに成長率が高くなりやすい」と、どのような状況でも安定的に成果を見込めると解説。「積立投資には、指数連動の投資信託や複数の資産に分散した投資信託が適している」と、付け加えた。

3つ目は、好配当株式の活用。主に「キャッシュフロー」の目的で投資を行う人向けの方法とし、「配当利回り3%以上+配当金を年々増やす傾向にある株式を選べるといい」と説明。さらに、「配当金が一株当たりの利益(EPS)を上回っていないこと」「5銘柄以上に分散させること」「投資のタイミングも分散させること」「株価より株数を増やす意識を持つこと」など、株式選択のポイントも、ひとつずつ丁寧に紹介する。

投資の専門家が参加者の疑問を解消

セミナーのラストとなる第三部は、参加者からの質問に橋本さん、富田さんが答えていく。

Q.非課税枠の再利用とは?

「『新しいNISA』で保有している資産を売却すると、非課税保有限度額に空きができて、その分だけ翌年以降に再度購入できるということです。株式や投資信託を買ったときの金額で計算されるので、100万円で買った株式が200万円に上がったときに売ったとしても、再利用できるのは100万円分だけです」(富田さん)

Q.特定口座にある資産は、NISA口座に移すべき?

「いついかなるときでも移したほうが有利とは限りません。非課税効果と課税繰延効果のどちらが大きくなるかで、判断は変わります。あくまで傾向としては、期待リターンを高く見積もるほどNISA口座に移したほうが有利、元本割れが起こる可能性も想定すると特定口座で持ち続けるほうが有利といえます」(富田さん)

Q. 70・80代からの「新しいNISA」の活用法は?

「これからのインフレ下に、現金だけで置いておくのはリスクがあります。現金のいくらかを好配当株式に移し替えてもいいですし、積立投資で現金の価値減少のリスクをヘッジするのもいいでしょう」(橋本さん)

改めて「NISA」の変更点を確認しながら、具体的な活用法にも踏み込んだ今回のセミナー。「新しいNISA」を使うイメージがついた人も多かったことだろう。

今後も東証では、資産形成の考え方や手法を提案するイベントを開催していく予定。気になった人は、遊びに行ってみてはいかがだろうか。

(取材・文/有竹亮介(verb) 撮影/森カズシゲ)

著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
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