東証「要請」を検証、開示が進む企業/進まない企業の特徴は?

提供元:野村證券(FINTOS!編集部)

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3月以降の状況整理

2023年3月、東証は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を発表しました。

これを受け、株式市場では低PBR(株価純資産倍率)企業が多い状態が是正されるとの期待感が高まりました。その後、日経平均株価は2023年6月に33年ぶりとなる33,000円台を回復しましたが、PBRの上昇による部分は限定的です。更に2022年度決算では、増益となり、総還元性向が上昇したにも関わらずROE(自己資本利益率)は9.8%と、2021年度の10.1%から低下しています。

東証要請を踏まえた企業の開示状況

2023年3月に発表された東証の要請を受けて、2022年度決算発表時には、多くの企業が増配や自社株買い枠を設定するなど、資本効率向上を意識した発表が相次ぎました。

今般の要請では、計画策定や開示の前提として十分な現状分析や検討が求められるため、開示時期に関して具体的な期限を定めていないものの、東証による2023年7月14日時点の集計では、プライム市場に上場する20%(242社)の企業が自社の取り組み等を開示、11%(137社)が検討中と開示しています。

取り組み等を開示している242社を見ると、開示を行っている主な書類は、中期経営計画が33%と最も多く、次いで決算説明資料が29%となっています。

PBRと時価総額水準別開示状況

PBRと時価総額水準別の開示状況を見ると、PBRが低く、かつ時価総額が大きい企業ほど開示が進展しています。プライム市場に上場しているPBR1倍未満、かつ時価総額1,000億円以上の企業では、45%の企業が取り組み等について、何らかの開示を行っています。一方で、PBRが高く、かつ時価総額が小さい企業では、相対的に開示が進んでいない状況です。

業種別の開示状況では、平均PBRが低い業種の方が開示が進展しており、銀行業では検討中と開示している企業を含め、約7割が開示を行っています。一方で、平均PBRが高い情報・通信業、サービス業、小売業などでは、相対的に開示が進んでいない状況です。

今後の東証フォローアップと想定される企業行動とは

東証によると、今般の要請および企業の対応状況について、投資者からは、要請を踏まえた企業の変化について、高い期待を寄せる声が多い一方で、依然として経営者が取り組みの意義・必要性を十分に理解していないケースや、危機感はあっても対応を進める知見やリソースが十分ではないケースが見られるとの指摘などが挙げられています。

東証は今後、既にPBRが高い企業も含めて、改めて適正な開示の取り組み等を求めるとともに、投資者の視点を踏まえた対応のポイントを周知する方向です。こうした動きを受けて、今後は資本効率向上を意識した経営を行う企業とそうでない企業とで、株式市場での評価の格差拡大が予想されます。

中間決算発表時には、持続的な資本効率向上に欠かせない適切な事業ポートフォリオの構築など、WACC(加重平均資本コスト)やROIC(投下資本利益率)を意識した経営を志向する旨を表明する企業が増えるとみられます。

(野村證券投資情報部 寺田 絢子)

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