高速鉄道の開業を宣言
インドネシアの大統領選挙に注目か
提供元:アイザワ証券
インドネシアで24年2月に大統領選挙を実施
インドネシアでは5年に1度の大統領選挙が、24年2月に開催される。インドネシアで実施される大統領選挙は、毎回荒れるケースが多く、このたびの選挙も注目のイベントだ。
現在の憲法では現職のジョコ大統領は出馬出来ないため、ジョコ氏抜きでの大統領選挙となる。今のところ出馬の意向を表明しているのは、プラボウォ氏、ガンジャル氏、アニス氏の3氏だが、前回の大統領でジョコ氏と激戦を演じたプラボウォの支持率が最も高い。比較的すんなり決まりそうだが、SNSの利用、イスラム系勢力の動向次第でどんでん返しもありそうだ。
出馬を表明している3氏の人となりを説明しよう。
まずプラボウォ氏だが、現国防相で、スハルト元大統領の女婿にあたる。スハルト長期独裁政権下で、陸軍特殊部隊や戦略予備軍などにおいて活躍したエリート軍人で、根強い人気を維持している。現在のジョコ大統領は比較的周囲に配慮して融和を図る、という性格だが、プラボウォ氏は「強い指導者」として言いたいことをいうタイプといえよう。
次に、ガンジャル・プラノウォ氏だが、現中部ジャワ州知事だ。最大与党の闘争民主党の正式党員で、党の幅広い支持を得ていることが現在の支持率第2位につながっている。なお、ジョコ大統領は、当初はガンジャル氏への支持が目立っていたが、直近はどちらかというとプラボウォ氏との関係強化が目立っている。
また、最後にアニス氏で、同氏は元ジャカルタ州知事だが、上位2名に差をつけられており、ほぼカヤの外という感じだ。ブラボウォ氏とプラノウォ氏の一騎打ちになりそうだ。
また、選挙関連の話題をひとつご紹介したい。9月25日にインドネシアの新興政党「PSI」が党全国大会を実施したが、そのなかで、ジョコ大統領の次男であるカエサン氏が党首に選出された。同氏は9月23日にPSIに入党したばかりで、入党3日目での党首就任となる。ジョコ氏はこのたび実施される24年2月の大統領選挙には出馬しないため、直接の影響はないと思われるが、今後の選挙戦、政局の行方に注目したい。
高速鉄道がようやく開業宣言
10月2日に、インドネシアのジャカルターバンドン間を結ぶ高速鉄道が予定よりほぼ4年遅れでようやく開通、ジョコ大統領は開業式典を行った。
この高速鉄道プロジェクトは、当初日本が請け負うことでほぼ決まりかけていたが、土壇場で中国が落札。関係者に驚きと失望感を与えた。土地収用問題、コロナ禍による制限、資材費の高騰や人手不足など様々な障害があるなかで、無事に開通にこぎつけたことは素直に評価したい。現在進めている「首都機能移転計画」の進捗にもプラス効果を与えるとみている。ジョコ大統領は開業式典のなかで、「大量輸送の近代的象徴」としており、悪名高い交通渋滞の解消にも、寄与しそうだ。
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